『古文書の科学 料紙を複眼的に分析する』全文公開サイト
2023年3月29日公開!
下の目次から直接PDF・テキストを見ることが出来ます。
古文書や古記録類に用いられた紙は、果たしてどんなモノなのか。
人文学ではなく、古文書を自然科学的に調べていくと、そこから何がわかるのか。
古文書研究に自然科学を結びつける入門として、基礎的な情報を紹介していく「古文書の科学」のガイドブック。古文書に残された痕跡から、肉眼では見えない部分にアプローチする方法を紹介していく、まさに料紙研究の新常識!。
第1部では、古文書研究、日本史研究、異分野連携研究という3つの視点から、料紙が注目されてきたそれぞれの背景と経緯を紹介。第2部では、料紙の科学分析について、繊維、添加物、植物材料のDNAの三つを取り上げて解説。第3部では、史料調査と料紙分析の連携によって見込める成果について、第4部は、分析データの記録・保存ツールの紹介や情報基盤との連携の意義、国際的研究にむけての展開の必要性を、事例を交えて考察する。
本書は古文書研究に新たな可能性を見出そうとするものであると同時に、東アジア全体における歴史資料の科学研究へ貢献できる射程を持つものである。
古文書研究のみならず、大学、自治体、博物館、文書館、図書館など歴史資料の研究・保存・継承に従事する方に必携の書。
執筆は、本郷恵子/渋谷綾子/高島晶彦/天野真志/貫井裕恵/山家浩樹/大川昭典/富田正弘/湯山賢一/石川隆二/野村朋弘/尾上陽介/小倉慈司/中村 覚/山田太造/後藤 真。
■書籍版の案内はこちら
ISBN978-4-86766-004-1 C0021 A5判・並製・240頁 定価:本体1,900円(税別)
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-86766-004-1.html
【目次】
はじめに(渋谷綾子)
1.古文書と科学――料紙という結節点/2.料紙研究の新常識を提唱する/3.本書の読み方
第1部 古文書料紙への視点
1.はじめに/2.富田正弘による料紙論総括:黒板勝美
3.富田正弘による料紙論総括:伊木寿一
4.富田正弘による料紙論総括:中村直勝
5.富田正弘による料紙論総括:小野晃嗣・寿岳文章
6.富田正弘による料紙論総括:田中稔・上島有
7. 富田・湯山らによる古文書料紙研究
1.近世文書への眼差し
2.近世古文書学・史料学の確立に向けた議論
3.近世料紙研究の現在地点/4.新たな料紙研究への展望
3 異分野連携からの視点(渋谷綾子)
1.異分野連携とは何か/2.繊維素材とネリへの注目
3.添加物と糊への注目/4.料紙の製作時期と成分への注目/5.まとめ
COLUMN 料紙研究を語る
(渋谷綾子・貫井裕恵・天野真志・高島晶彦・山家浩樹
協力:大川昭典・富田正弘・湯山賢一)
1.はじめに/2.料紙分析を始めたきっかけ/3.研究データの可視化と共通認識
第2部 料紙の構造をさぐる
1.はじめに/2.各繊維の特徴
1.料紙の添加物/2.デンプン粒/3.鉱物
4.繊維、柔細胞、細胞組織/5.まとめ
1.植物を識別する/2.植物ゲノム/3.どこまでわかるのか
4.カジノキの識別/5.畑のコウゾ/6.MIG-seqによる解析/7.神さまのコウゾ
第3部 料紙から古文書を読む
1.はじめに/2.松尾大社所蔵の史料群について
3.松尾大社所蔵の史料から見えてくるもの/4.おわりに
1.はじめに/2.陽明文庫所蔵史料の概要/3.料紙研究の可能性/4.おわりに
1.マイクロスコープを知る/2.マイクロスコープを選ぶ
3.マイクロスコープで観察・撮影する/4.マイクロスコープでわかる
5.まとめ
1.土御門家旧蔵の『延喜式』/2.原表紙か後補表紙か
3.書写時期・書写者による料紙の違い
第4部 料紙研究を広げる
1.はじめに/2.caidについて/3.監視フォルダの設定
4.アプリケーションの操作/5.画像とノード/6.メイン画面
7.データの編集/8.アノテーション編集画面
9.ノード情報編集画面/10.画像一覧画面/11.設定画面
12.フォーム編集画面/13.データのエクスポート/14.まとめ
2 史料の形態データと内容データを関連付ける ―複合的史料研究推進に向けた史料情報統合―(山田太造)
1.はじめに/2.複合的史料研究/3.史料情報統合管理システム/4.おわりに
1.国際化と英語化/2.料紙研究のオープンサイエンス
3.世界の「紙」研究/4.まとめ─世界のなかで考える
COLUMN 紙資料の「データ解析」が持つ 変革とコラボレーションの可能性(後藤 真)
1.質的研究と量的研究/2.量的研究のための「ステップ」
3.量的基準・質的基準/