国立歴史民俗博物館・上野祥史・松田睦彦編『REKIHAKU 特集・3Dからみえる研究』(国立歴史民俗博物館)
2月下旬刊行予定です。
国立歴史民俗博物館・上野祥史・松田睦彦編
『REKIHAKU 特集・3Dからみえる研究』(国立歴史民俗博物館)
ISBN978-4-86766-074-4 C0021
A5判・並製・112頁・フルカラー
定価:本体1,091円(税別)
発行 国立歴史民俗博物館
発売・編集協力 文学通信
国立歴史民俗博物館発! 歴史と文化への好奇心をひらく『REKIHAKU』!
いまという時代を生きるのに必要な、最先端でおもしろい歴史と文化に関する研究の成果をわかりやすく伝えます。
特集は「3Dからみえる研究」。
情報を記録するメディアは、写真から映像へ、そして映像から3Dデータへと変化してきた。リアリティの高い3Dデータは、われわれの身近なところにひろがっている。体感性の高い仮想現実を提供する3Dデータは、確実にわれわれの感覚や認識を変えている。3次元という新しいデータが、われわれの認識や、研究にどう反映されてゆくのか。
3D計測と手実測は二者択一なのか。X線CTの効用はなにか。大量の3Dデータの先になにが見通せるのか。3Dデータは遺跡と人のかかわりを変えるのか。3D仮想空間を用いた研究はどう進んでいるのか。これからの博物館にとっての3Dデータとは、等々。三次元情報の原点としても模型の存在までを視野に入れ、資金と時間に応じて広く深くなり、研究が主か、3Dが主かわからなくなってしまったほど深化してきた3D。その研究を「なぜ」に注目して、今後を展望していきます。特集は、中村耕作、上野祥史、中尾 央、菊地大樹、金田明大、末森 薫、鹿納晴尚、吉井秀夫が執筆。
特集以外の記事も、好評連載・鷹取ゆう「ようこそ! サクラ歴史民俗博物館」、石出奈々子のれきはく!探検ほか、盛りだくさんで歴史と文化への好奇心をひらいていきます。
歴史や文化に興味のある人はもちろん、そうではなかった人にもささる本。それが『REKIHAKU』です。年3回刊行!
●特集趣意文
情報を記録するメディアは、写真から映像へ、そして映像から3Dデータへと変化してきた。リアリティの高い3Dデータは、われわれの身近なところにひろがっている。
しかし、3Dデータの利用がどんどん身近になる反面、その制作はどんどんと深化し、専門化している。一般に、3Dデータをみた、動かした、という人は多いだろうが、3Dデータをつくったという人は限られるだろう。今の私は3Dデータにずいぶんのめり込んでいるが、一〇年ほど前にはその自分が予想さえできなかった。GIS を手がける大学院生への指導や、大型研究プロジェクトへの参加で、3Dデータの作成やその活用に少しずつなじんでいった。この経験がなければ、今も3Dデータは縁遠いものであったように思う。エンターテインメントの一つとしてみるか、研究情報として二次元情報とさほど大きくは変わるまい、という認識でいたかもしれない。
3Dデータの強みは、仮想現実の体感性が高いということである。目の前に、現実が存在しなくとも、より高い身体性でそれを体感できることにある。新しいように思えるが、国立歴史民俗博物館では三〇年前からそれを実践してきた。総合展示では、時代を象徴する、代表的な資料を複製して展示し、その時代を体感することを旨としてきた。貴重な、重要な資料が、一堂に会して目の前に広がること、実物であればそうそうには実現しない。いや、実現しても企画展など一過的で、いつでも体感できるわけではない。3Dデータは、この歴博の展示室のような空間を、誰でもいつでも場所を問わずに体感できることを可能にするのである。
それぞれ経験が3Dデータと人のかかわりを左右するように思えるが、体感性の高い仮想現実を提供する3Dデータは、確実にわれわれの感覚や認識を変えている。3次元という新しいデータが、われわれの認識や、研究にどう反映されてゆくのか、今後の研究の方向を見定める必要もあるだろう。3Dデータは便利、というひとことでは済まない分岐にいるのではないだろうか。3次元の世界が研究をどのように変えてゆくのか、いくつかの視点からながめることにしたい。(上野祥史)
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【編者紹介】
国立歴史民俗博物館(こくりつれきしみんぞくはくぶつかん)
千葉県佐倉市城内町にある、日本の考古学・歴史・民俗について総合的に研究・展示する博物館。通称、歴博(れきはく)。歴史学・考古学・民俗学の調査研究の発展、資料公開による教育活動の推進を目的に、昭和56年に設置された「博物館」であり、同時に大学を中心とする全国の研究者と共同して調査研究・情報提供等を進める体制が制度的に確保された「大学共同利用機関」。
〒285-8502 千葉県佐倉市城内町 117
https://www.rekihaku.ac.jp/
上野祥史(うえのよしふみ)UENO Yoshifumi
国立歴史民俗博物館准教授(東アジア考古学) 【著書・論文】『金鈴塚古墳と古墳時代社会の終焉』(編著、六一書房、2022年)、「社会の変化と動物表象・造形の変化」(松本直子編『心とアートの人類史』雄山閣、2022年)、『秦帝国と封泥―社会を支えた伝送システム』(共編著、六一書房、2024年) 【趣味・特技】3Dデータいじり
松田睦彦(まつだむつひこ)MATSUDA Mutsuhiko
国立歴史民俗博物館教授(民俗学) 【著書・論文】「外交文書に見る朝鮮海通漁の成立--貿易規則から通漁規則へ」(『国立歴史民俗博物館研究報告』239、2023年)、『人の移動の民俗学--タビ〈旅〉から見る生業と故郷』(慶友社、2010年) 【関心事】独立系書店めぐり
【目次】
特集・3Dからみえる研究
【3D計測と手実測は二者択一なのか】
縄文土器の3Dデータ研究実践(中村耕作)
【X線CTの効用はなにか】
X線CTと三次元情報(上野祥史)
【大量の3Dデータの先になにが見通せるのか】
大規模三次元データの共有と解析(中尾 央)
【骨と三次元、意外に思える相性の良さ】
動物考古学の中の三次元世界(菊地大樹)
【3Dデータは遺跡と人のかかわりを変えるのか】
遺跡を三次元で記録する(金田明大)
【進む3D仮想空間を用いた壁画研究】
3Dモデルを応用した古代壁画の研究(末森 薫)
【これからの博物館】
被災文化財等の3Dデジタルアーカイブと博物館での3Dデータの活用(鹿納晴尚)
【三次元情報の原点】
三次元記録としての模型─京都大学所蔵例を中心に─(吉井秀夫)
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たかが歴史 されど歴史
日本と世界をつなぐポップカルチャーの中の日本史
(アルト・ヨアヒム)
博物館マンガ 第13回
ようこそ! サクラ歴史民俗博物館
たくさんの人が支えている博物館
(鷹取ゆう)
のれきはく!探検 第13回
それは、一月じゃなくてもいい
(石出奈々子)
フィールド紀行
沈黙を破る 島々の歴史証言
─八重山・宮古・奄美─
第1回 ねらわれた楽園
(村木二郎)
誌上博物館 歴博のイッピン
古代国家の北方支配の拠点
多賀城復元模型と多賀城碑
(林部 均)
歴史研究フロントライン
地域文化研究の領域展開を目指して
(川村清志)
EXHIBITION 歴博への招待状
企画展示「時代を映す錦絵―浮世絵師が描いた幕末・明治―」
(大久保純一)
SPOTLIGHT 若手研究者たちの挑戦
考古資料から、人の移動を読み解く
(山下優介)
歴史デジタルアーカイブ事始め 第12回
Omekaでデジタルアーカイブを作ろう
(橋本雄太)
くらしの植物苑歳時記
特別企画「伝統の桜草」のご案内
博物館のある街
愛媛県西宇和郡 佐田岬半島ミュージアム
佐田岬半島にある博物館
(高嶋賢二)
くらしの由来記
暦の上では
(小池淳一)
研究のひとしずく
年輪から読む人と木の歴史
第3回●縄文人にも愛された栗
(箱﨑真隆)
Kaleidoscope of History
Shōsōin Documents Archived
outside the Repository at
the National Museum of
Japanese History
(小倉慈司)
歴博友の会 会員募集
英文目次