吉崎志保子著・小川剛生[編集・増補修訂]『増訂新版 正宗敦夫の世界―階上階下すべて書にして―』(文学通信)

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5月中旬刊行予定です。

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吉崎志保子著・小川剛生[編集・増補修訂]
『増訂新版 正宗敦夫の世界―階上階下すべて書にして―』
ISBN978-4-86766-126-0 C0095
A5判・上製函入・394頁
定価:本体4,800円(税別)


近代国文学研究の裾野はこうして広がり、高みに達した。その原点がわかる書。
学術史上の巨人、正宗敦夫(まさむねあつお。正宗白鳥の弟[1881〜1958])の幻の伝記、復刊。

在野の学究・正宗敦夫は、地方で国史・国文に親しみ、作歌に励んだ。万葉集に惹かれひとりでこれを繙き『万葉集総索引』を完成させる。書物の閲覧の不便に抗い学問を続けるなか、文献資料の複製・影印・翻刻など出版も手がけ「日本古典全集」(全6期、266冊)を刊行する。果たしてどうやってこれだけの仕事を遺せたのだろうか。何のために取り組んだのだろうか。

本書から見えてくるのは、敦夫の利他の精神である。敦夫は自身の学問上の発見を世に問うこともなかった。

さまざまな理解者、森鷗外、井上通泰(みちやす)・柳田國男兄弟、与謝野寛(鉄幹)・晶子夫妻、山田孝雄(よしお)、齋藤茂吉と、錚錚たる人物のなかで、正宗敦夫は、果たして何を考えていたのか。

近代国文学研究の原点を見つめ直し、今に活かすために、必携の1冊。編集・増補修訂、小川剛生(慶應義塾大学文学部教授)。

本書は、正宗敦夫に私淑した著者が同じく「利他の精神」で、私家版『正宗敦夫の世界 階上階下すべて書にして』(平成元年11月1日に吉崎一弘により発行)として安価に頒布した書の、増訂新版である。

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【著者紹介】

吉崎志保子(よしざき・しほこ)

出身、東京都台東区。1927年生、2001年没。
著書に、歌集『しるびやしじみ』・『サフランの蘂』・『写真集 備前』(吉崎一弘と共著)、『幕末女流歌人の研究』・『歌人小野節の略伝』。論文に「備前社軍隊」・「明治三十年代の岡山の文芸雜誌」など。郷土史研究優秀賞(新人物往来社)1979、岡山県文化奨励賞(学術部門)1984、岡山出版文化賞(日本文教出版社)1987、両備檉園記念財団学術文化教育部門賞1988。
所属、樹木社(短歌)会員・現代歌人協会会員、岡山地方史研究会会員・地方史研究協議会会員。

【編集・増補修訂者紹介】

小川剛生(おがわ・たけお)

1971年、東京都生まれ。1997年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程中退。熊本大学、国文学研究資料館を経て、現在、慶應義塾大学文学部教授。
【主要編著書】『正宗敦夫文集 ふぐらにこもりて』(東洋文庫 916,928、2024,25年)、『中世和歌史の研究 撰歌と歌人社会』(塙書房、2017年)、『兼好法師』(中公新書、中央公論新社、2017年)、『二条良基』(人物叢書、吉川弘文館、2020年)など。

【目次】

はじめに

第一章 正宗家の人々

 一 生家の亀屋について
  四国多度津の岡田家との縁組
  優秀家系
 二 正宗雅敦・直胤の兄弟
  正宗雅敦の伝
  狂歌人による南陀羅像
  正宗直胤の伝
 三 正宗鹿野子をめぐって
  かの子御落胤説
  歌人鹿野子と奉納三十六歌仙
  正宗雅広の離縁

第二章 歌学者への歩み

 一 生い立ち
  父の言葉のままに
  井上通泰との出会い
  「吉備歌人伝資料」より
 二 井上通泰をめぐって
  井上通泰と岡山
  歌人井上通泰
  松浦辰男に入門
  松浦辰男の歌論
  松波遊山に会う

第三章「くいなのおとずれ」にみる青年期

 一 独学の日々
  「くいなのおとずれ」と小野節
  木下幸文日記・萩原広道消息・
  図書館一件(書簡1)
  井上通泰岡山を去る(書簡2)
  くいなのやと号す(書簡3)
  古今集新釈及び広道消息の悪口
  熊沢蕃山のうきことの歌
  井上大人よりの手紙(書簡6)
  水鶏廼舎漫筆(書簡7)
  岡山の同世代の新派歌人
 二 池袋清風と『かゝしのや集』7
  敦夫の師池袋清風
  山陽新報の池袋清風伝
  歌集『かゝしのや集』の編纂(書簡8)
  鎌田正夫の怒り(書簡9~11)
  『かゝしのや集』の刊行(書簡12・13)
  池袋清風の歌
 三 書物への傾斜
  謄写印刷による頒珍会
  『清園後草』その他(書簡14)
  頒珍会の歌文叢書
  二四歳の春(書簡18)
  児童図書閲覧所
  西薇山の自刃(書簡21)
  敦夫の縁談(書簡23)
 四 日露戦争の頃
  正宗得三郎の出征(書簡22~30)
  木下幸文について(書簡31)
  敦夫の幸文研究
  明治三十八年の春(書簡32~35)
  敦夫の「桂園一枝註釈」(書簡36・37)
  通泰校閲を断る(書簡41)

第四章 歌学雑誌『国歌』

 一 出版事業の計画
  印刷機械の購入と歌文叢書(書簡38・39)
  『扶桑』と『たづぞの』
  敦夫の出版業
  『国歌』の発刊計画(書簡40・42)
  菅沼斐雄について
  『菅沼斐雄家集』
 二 『国歌』の創刊
  創刊号について
  鎌田正夫の反応(書簡44)
  井上通泰の立腹(書簡46)
  フケば飛ぶような叙景歌
  西山拙斎翁詩鈔略見積書(書簡47~49)
 三 『国歌』をめぐって
  井上通泰の小野節宛て書簡
  雑誌継続上の困難(書簡51)
  源語歌註のもつれ(書簡52)
  常磐会と『国歌』第十六号の目次
  松浦辰男と会う(書簡53)
  「くいなのおとずれ」終わる(書簡54)
 四 『国歌』の終刊
  『国歌』誌上の左千夫と千樫
  伊藤左千夫と『国歌』
  古泉千樫と『国歌』
  左千夫・千樫と敦夫との出会い
  『国歌』終刊と歌文珍書保存会

第五章 国文学者としての展開

 一 壮年期のみのり
  『万葉集新考』と『伊呂波字類抄』の出版
  歌集『鶏肋』
  『万葉集総索引』
  森鷗外と敦夫
 二 与謝野寛、晶子と敦夫
  与謝野寛との出会い
  日本古典全集の刊行
  与謝野夫妻の岡山来遊
 三 正宗文庫
  財団法人正宗文庫の設立

第六章 晩年について

 一 戦時体制の下で
  『蕃山全集』刊行と井上通泰の死
  歌集から見た戦中戦後
 二 老碩学として
  大学教授となる

正宗敦夫逝く


補注

(付)
正宗白鳥の少年時代とキリスト教
正宗敦夫著作目録(編纂・解題・刊行書を含む)
正宗敦夫略年譜

おわりに

書評(工藤進思郎)
解説(小川 剛生)

索引【原則として本文中の主要な人名・書名・作品名、一部の結社名を立項した(書名・叢書名は引用文中からも採った)。備前・備中に関する事項を優先して採用した】