用語集★『古文書の科学』全文公開

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用語集

本文中に出てくる専門用語や補足の必要な用語について解説します。

【あ】

アノテーション
データに対して、メタデータと呼ばれる情報タグを付与する作業。

一塩基多型(いちえんきたけい)
SNP(スニップ):Single Nucleotide Polymorphism。生命の設計図であるゲノムDNAの塩基配列が一つ分だけ他の塩基に置き換わっていることを指す。

遺伝子多型
遺伝子を構成するDNA 配列の個体。

糸目(いとめ)
抄紙で用いる簀は、カヤやタケのひごを絹糸や化繊の糸で1本1本編んで、規格の寸法の大きさに作る。編んだ糸の上は紙料液が抜けないため、紙になると糸跡を確認できる。

打紙(うちがみ)
石盤の上で、木槌で打ってつやを出した紙。

裏打ち
本紙にハケや霧吹きで水分を与え、しわを伸ばした上で、裏から別の紙をあてて補強する作業。

塩基
DNA(デオキシリボ核酸)を構成する主要な成分。

【か】

核ゲノム
真核生物(動物、植物、菌類、原生生物など、身体を構成する細胞のなかに細胞核と呼ばれる細胞小器官を有する生物)の細胞核に含まれるDNA。

可視光
電磁波のうち、ヒトの目で見える波長のもの。可視光線は380~780nm(ナノメートル、1nm=0.000001mm)の範囲を指す。

供試材料(きょうししざい)
分析用サンプル。

系統樹
生物の進化の道筋を描いた図。

ゲノム
ゲノムとは、遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、DNAのすべての遺伝情報のこと。

交雑
遺伝的組成の異なる2個体間の交配。

高等植物
維管束を持つ植物(シダ植物・裸子植物・被子植物)をさす。これに対し維管束を持たない植物(菌類・地衣類・藻類)を下等植物という。

五摂家(ごせっけ)
藤原氏のうち近衛、九条、二条、一条、鷹司の5家をいう。

固有種
特定の国や地域にしか生息・生育・繁殖しない生物学上の種。

コロタイプ印刷
写真製版法によってゼラチン上につくった版で印刷する方法。

【さ】

在来種
ある地域に古くから存在する生物種やその系統を指す。

雑種
遺伝的に異なる生物の間の交雑によって生じた個体。

紫外光
紫外線ともいい、可視光線よりも波長が短い光の総称。約1~400nm(ナノメートル、1nm=0.000001mm)の範囲を指す。

紙背(しはい)
紙の裏、特に文書の裏。

種(しゅ)
species。生物学・分類学における階級で、界・門・綱・目・科・属・種のうち、最小階級である。

抄紙(しょうし)
紙漉き。

詔書(しょうしょ)
天子の命令、またはその命令を直接に伝える国家の公文書。

上知令(じょうちれい)
江戸幕府や藩による知行召し上げ命令(収公令)。1870年代には、明治政府によって土地没収命令が出された。

植物育種学
育種学は生物を遺伝的に改良し、新品種を育成するのに必要な理論とその応用に関する学問。対象とする生物の種類によって、植物育種学(作物育種学)、動物育種学(家畜育種学)、林木育種学、水産生物育種学、微生物育種学などの分野がある。

紙料(しりょう)/紙料液
紙に漉く直前の材料/材料液。

宸翰(しんかん)
天皇自筆の文書のこと。

スペクトル
spectrum。分光器で分解したときに得られる、波長(周波数)の順に並んだ帯状の光の像。

赤外光
赤外線ともいう。可視光線の赤色より波長が長く(周波数が低い)、電波より波長の短い電磁波である。ヒトの目では見ることができない光。

宣旨(せんじ)
律令期以降の日本において天皇・太政官の命令を伝達する文書の形式名。朝廷が出す文書の形態の一つ。

走査型電子顕微鏡
SEM:Scanning Electron Microscope。電子線を用いて、数10倍~100万倍程度の表面の拡大像を取得できる顕微鏡。


genus。生物学・分類学における階級で、界・門・綱・目・科・属・種のうち、下から2番目の階級にあたる。属の下に亜属を設けることがある。

【た】

多型(たがた)
遺伝子を構成しているDNAの配列の個体差。

竪紙(たてがみ)
漉いた紙を規格のまま使用する形を竪紙という。

電気泳動(でんきえいどう)
主にタンパク質やDNAの分離に用いる。タンパク質やDNAは電圧をかけたときに移動する性質があるため、この移動距離の違いによって分離を試みる方法。

典籍(てんせき)
中国の古い本(漢籍)、万葉集などの日本の古い本(国書)、仏教のお経・教えを書いた本(仏典)、西洋で発行された本(洋本)などのこと。江戸時代末までの近代以前に作られた書物を古典籍という。

デンプン粒(でんぷんりゅう)
高等植物の種子や果実、茎(幹)、葉、根などに貯蔵された植物のエネルギー源となる物質であり、アミロースとアミロペクチンから成る。安定した化学構造をもつ。

填料(てんりょう)
添加物。

透過光
物体を通過した光。

【な】

内樹皮(ないじゅひ)
樹皮は樹木外周の保護層であり、内樹皮は樹木の生長に関わる役割を、外樹皮は樹体内部を外界から保護する役割を担っている。

ネリ
粘剤。和紙を作るとき、ネリを原料の入った水に混ぜて紙を漉くことによって、原料である植物の繊維をうまく絡ませることができる。

粘質多糖(ねんしつたとう)
粘性をもち、複数の糖からなる水溶性の多糖類(加水分解によって2分子以上の単糖類を生じる糖類)。

【は】

バイオマーカー
生体情報を数値化・定量化した指標。

胚乳(はいにゅう)
胚の発生における栄養を貯蔵した種子内の組織。

白土(はくど)
カオリンやモンモリロン石を主成分とする白色粘土。

端裏書(はしうらがき)
文書の右端を端といい、その裏に書かれた文字が端裏書である。

反射光
物体に当たって跳ね返った光。

斐紙(ひし)
雁皮紙。ジンチョウゲ科のガンピから作られる紙のこと。

微量元素
minor element。物質中にごくわずか(ppm単位以下)に含まれる元素。

品種
同一種の栽培植物や飼養動物で、形態や性質の変異が遺伝的に分離・固定されたもの。

フーリエ変換

赤外線分光分析
FT-IR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy。物質に赤外光を照射して得られる測定結果より、未知の物質がどの程度入っているのか(定量)、どのような組成なのか(定性)、評価することができる。

偏光ポラライザー
偏光とは特定の方向にのみ振動する光(電磁波)であり、ポラライザーはある一方向の偏波(電波の空間に対する向き)のみを透過させる機能を持つ装置である。

放射性炭素

14年代測定
radiocarbon dating。放射性炭素年代測定は、生物由来の炭素系物質が存在した客観的な年代を推定のための方法。その年代は、試料の放射性炭素(C14)の量を測定し、国際的に使用されている標準物質と比較することによって推定できる。詳しく知りたい方は、「遺跡発掘調査報告書放射性炭素年代測定データベース」(https://www.rekihaku.ac.jp/up-cgi/login.pl?p=param/esrd/db_param)等を参照願いたい。

【ま】

膜状物質(まくじょう)
細胞壁構成成分のヘミセルロース(植物細胞壁に含まれる、不溶性であり非結晶性の多糖類の総称)。

メタデータ
データのデータのことであり、本体であるデータの属性や特徴を表す付帯情報が記載されたデータを指す。

【や】

葉鞘(ようしょう)
葉の基部が鞘状になり、茎を包む部分のこと。

葉緑体
植物の細胞に含まれる色素体が分化した、光合成を行う細胞小器官。

【ら】

粒径(りゅうけい)/粒径範囲
デンプン粒の粒子の大きさ、その大きさの範囲を粒径範囲という。

粒子励起(れいき)X線
分光法

PIXE:Particle Induced X-ray Emission。高エネルギーの粒子線を分析対象の試料に照射して、放出される特性X線のエネルギーを分析して、元素の同定・定量を行う方法。

DNA
デオキシリボ核酸。細胞のなかにあり、長い鎖のような形をしている。4種類の塩基、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)で遺伝情報が書かれている。

Inter-SSR
(ISSR)

Inter-Simple Sequence Repeat。ゲノム中でマイクロサテライト(DNA上で塩基の配列中に、同じ構造を持つ部分が2-5対繰り返し並んでいる部分)にはさまれた領域を示す。隣り合う二つのマイクロサテライト配列をPCRのプライマー(増やしたい配列の両端に結合するように作られた合成DNA)に使うことで、はさまれた領域を増幅することができる。

INDEL
インデルと読む。ゲノムへのDNAの塩基配列の挿入(insertion)または欠失(deletion)のどちらか、あるいは両方を意味する。挿入欠失ともいう。

PS-ID
葉緑体ゲノムの領域の一つ。

PCR法
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)。生物の遺伝情報をもつDNAを複製して増幅させる方法。

R
統計処理のための計算やグラフ化を行うための言語・環境。オープンソースで、無料で使用できる。

R言語
統計解析に特化しているプログラミング言語。