第1部 古文書料紙への視点 3 異分野連携からの視点★『古文書の科学』全文公開
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異分野連携からの視点
渋谷綾子
1.異分野連携とは何か
学際研究、または学際的研究とは、単独の学問分野では解決の難しい研究領域に対して、二つ以上の分野を統合して横断的に進める研究や、一つの目的・関心のもとに多くの隣接する学問領域が協業する研究を指す。学際研究には、異分野連携と異分野融合の二つがある。両者はどうちがうのだろうか。
異分野連携は、多数の分野がそれぞれの範疇において共通の目標を達成しようとすることであり、異分野融合はほかの分野と対話して、自分と異なる研究観や世界観と触れることで自身の専門分野のとらわれから解放し、新たに自身の専門観を再構築することである(京都大学2019)。古文書や古記録類の料紙は、古文書学(本書第1部参照)や歴史学(本書第1部参照)の分野だけでなく、植物学、製紙科学、文化財科学などほかの研究分野でも、形態情報や物理的性質に関する検討が進められている。つまり、異分野連携による研究成果が蓄積されている。この章は、①料紙の原料である繊維素材とネリ(粘剤)、②添加物と糊、③料紙の製作時期と成分、という三つの検討項目に沿って、どのような異分野連携の研究が進められているのか、近年の動向を紹介する。
2.繊維素材とネリへの注目
(1)繊維素材とDNA研究
料紙の繊維素材であるコウゾ(Broussonetia kazinoki Sieb. x B. papyrifera (L.) Vent.)、ミツマタ(Edgeworthia chrysantha Lindley)、ガンピ(Diplomorpha sikokiana (Franch. Et Savat.) Honda)【注】1は、植物学や製紙科学、文化財科学においても、製紙原料としての特徴や製紙技術の変化に関する研究が進められている(たとえば有岡2018; 伊東ほか2011; 前松・元木1963)。なかでもコウゾは、近年、植物遺伝学的な研究が積極的に進められ、成果が拡充されている。
コウゾはクワ科カジノキ属の植物で、ヒメコウゾ(Broussonetia x kazinoki Siebold)とカジノキ(Broussonetia papyrifera (L.) Vent.)の雑種である。カジノキ属は、カジノキ、ヒメコウゾ(Broussonetia x kazinoki Siebold)、ツルコウゾ(Broussonetia kaempferi)の3種と雑種コウゾで構成される。これら4種はすべて、製紙原料として用いられている(伊東ほか2011; 鍾ほか2020)。しかし、繊維を生産するために、世界各地で栽培されたものが野生化しており、また植物の呼び名も地方によって異なるため、現在では名称の意味や定義が混乱・混同されてしまい、4種のそれぞれの分布や起源、本来の原産地についてわかっていないことが多い。
たとえば、私たちが2021年5月に実施した茨城県常陸大宮市西ノ内和紙(五介和紙)の調査で、コウゾや和紙生産の関係者たちに植物名称について尋ねたところ、西ノ内の地域では畑で栽培するものを「サトコウゾ」といい、もとは栽培していて山で野生化したものを「ヤマコウゾ」と呼んで区別し、それぞれを原料とした和紙や両者を混合した和紙を現在も生産していると言われた。また、鍾たちの調査(鍾ほか2020)によると、日本の和紙製作者やコウゾ栽培者のなかには、コウゾを樹皮・繊維・樹皮繊維の加工のしやすさから赤楮・青楮という種類に区別したり、カジノキのなかでコウゾに似た繊維品質などをもつ手折・黒楮・真楮など複数の種類を使い分けたりしているという。
このような課題を背景として、近年は現生カジノキ属のもつDNA情報を解析して植物学的に区別し、それらの起源や分布範囲を特定する研究が進められている(本書第2部参照)。鍾たちの調査では、日本のコウゾと韓国のダグナム(Broussonetia hanjiana、韓紙の材料)は同じ雑種起源で、ヒメコウゾはコウゾの母親種であること、またコウゾは単一起源であるという可能性が指摘された(Kuo et al. 2022; 鍾ほか2020)。さらに、遺伝子多型(遺伝子を構成するDNA配列の個体差)を用いて、アジアからポリネシアにかけてのカジノキ類がどう伝播してきたのかについても提示された(Kuo et al. 2022; Payacan et al. 2017; Peñailillo et al. 2016)。
現在は複数の研究グループによって、より広範囲のカジノキ属のゲノムデータの収集と解析によるコウゾの地理的な起源地の解明が行われており、料紙の生産地との関係が検討されている。コウゾのように、ガンピやミツマタもゲノム情報から植物自体の起源と料紙の生産地との関係について研究が行われ、成果が蓄積されれば、料紙全体の歴史的変遷についての解明につながるだろう。
(2)ネリ原料と生産の現状
ネリは、漉舟(紙を漉くときに紙料を入れる水槽)に入れた水のなかで繊維素材を1本1本均一に分散させ、紙料液中の繊維の凝集と沈殿をおさえる天然の分散剤である(石川1978; 小泉ほか2016)。このネリの原料には、トロロアオイ(Abelmoschus manihot Medik)やノリウツギ(Hydrangea paniculata Sieb. et Zucc.)が一般的に用いられるが、ほかにアオギリ(Firmiana simplex)、タブノキ(Machilus thunbergii)、ギンバイソウ(Deinanthe bifida)なども使用される(園田1994; 町田2000)。
これらの植物のうち、トロロアオイは根に含まれる粘質多糖がネリとして使用される(石川 1978; 伊東ほか2011; 増田2009)。トロロアオイの作用は、コウゾ等の繊維の分散を促進して維持することである。トロロアオイを加えて紙料液が簀の隙間から漏出するのに時間をかけ、沪水性(紙料が漉き取られた後の水切れの良さ)を低下させて、均一に繊維を広げる。さらに、簀の表面に繊維がへばりつくことで、簀の扱いも楽になる(菊池ほか2020; 増田2009)。トロロアオイは30~35度の高温で著しく粘度が低下するため、通常は収穫後にクレゾールなどの保存液中に保存される(上嶋2015; 小泉ほか2016; 友田・鈴木1978)。
2019年4月、このトロロアオイの生産が中止されるという報道が行われた(朝日新聞2019; 菊池ほか2020)。このニュースの後、各地の和紙生産者や職人、文化財修理関係者などがクラウドファンディング【注】2を行うなどの動きがあった。現在も、トロロアオイの生産量の確保や安定的な供給が目指されている【注】3(菊池ほか2020)。
一方、ノリウツギは内樹皮に含まれる粘質多糖がネリとなる(友田・佐藤1976; 橋本・川名1935)。ノリウツギの採取は晩秋が適しており、木を採取して水に浸した後で樹皮を剥ぎ、内樹皮を刃物で削って布袋に入れて水中に漉すとネリができる(伊東ほか2011)。
ネリとしては、自生のノリウツギが主に使用されている。しかし、近年のシカの食害などによって、自生ノリウツギは大きく減少してきている(たとえば増子ほか2001; 橋本・藤木2014)。そこで、自生地の一つである北海道標津町では、文化庁・和紙産地(奈良県吉野町の宇陀紙)・植物学者を含む有識者・林業試験場の連携によって、2021年度から試験栽培が開始された(北海道新聞2021)。これは、原料産地と和紙産地との交流とともに、生産性を高める収穫・栽培技術の開発を目的としており、ノリウツギを用いた地域の活性化も期待されている。
トロロアオイもノリウツギも、伝統技術や地域の歴史文化を支えるため生産量の確保・安定的な共有が目指されており、植物学、文化財科学、製紙科学の研究テーマとして注目され、研究が進められている。
3.添加物と糊への注目
(1)料紙の添加物
添加物の種類や特徴、分析のポイントなどは後の章(本書第2部参照)で解説しているため、ここではどのような研究が行われているのかを概観する。
古文書等の料紙を顕微鏡などの機器で観察すると、繊維の間や上に小さな粒子が散在して見られる。これらのうち、繊維に凝集しているものは、製紙過程で紙料液に加えられる添加物(填料)の粒子である。填料を用いる理由は紙を白くするためであり、填料が配合された料紙の表面は柔らかくなっている(大川2017; 富田2013)。さらに、填料は主に米粉が用いられるため、米粉由来のイネ(Oryza sp.)【注】4のデンプン粒(デンプンの粒子)が多くの史料で確認されてきており、鉱物質の白土も利用されているが、米粉と比較すると利用例が少ない傾向にあるという(大川2017)。
繊維素材の特定や繊維の配向性(紙を構成する繊維が一定の方向に向いてそろっている状態や並び方)に関する研究事例に比べると、填料のデンプン粒や鉱物などの粒状物質、楮紙などに含まれる柔細胞(表皮や維管束を除いた基本組織である柔組織を構成する細胞壁の薄い細胞)は、それら自体の詳細な分析事例が少なく、植物学的・鉱物学的な検討についてもほとんど行われてこなかった。こうした課題を克服するため、近年は、文化財科学や製紙科学などの複数の分野と連携した研究が進められている。研究事例をいくつか紹介する。
先行研究では、料紙における填料の有無を「米粉(多い・普通・少ない)/白土(多い・普通・少ない)/無」のように、調査者の感覚に左右された相対的な項目で分類し、種類の植物学的・鉱物学的な同定、料紙に含まれる量や紙全体における密度の測定はほとんど行われてこなかった(渋谷2020)。しかし、考古学や文化財科学、植物学の手法を応用して米粉由来のイネのデンプン粒と同定し(たとえば渋谷ほか2022; 渋谷ほか2021; 箱石ほか2022)、また白土に由来すると考えられる鉱物の種類を特定するとともに(渋谷ほか2022; 渋谷ほか2021)、それらの量・密度の数値データ化を目指す動き(渋谷ほか2022; 高橋2018)がある。さらに、填料自体の特性を調べるため、実験用の紙サンプルを用いて熱重量分析(TGA:Thermogravimetric Analysis、試料の温度を上げながらその重量変化を測定して、その物質の特性を分析する方法)を実施した研究(江前2003)、吸水性や強度を調べる実験(木下ほか1998)なども行われている。
なお、デンプン粒については、ネリに用いられたトロロアオイのデンプン粒(稲葉2002; 渋谷ほか2021)、利用実態は明確ではないが、イネ科穀類などのデンプン粒(江南2022; 坂本・岡田2017; 実践女子大学文芸資料研究所2021)なども報告されている。さらに、料紙の繊維素材と関係する柔細胞については、江前敏晴が楮紙の史料に含まれた柔細胞を検討し、米粉由来のイネのデンプン粒と膜状物質(細胞壁構成成分のヘミセルロース)を識別、これらがネリ由来の物質ではないことを提示した(江前2010, 2012)。
このように、料紙の添加物については複数の分野の研究手法が応用され、研究が進められている。
(2)料紙の糊と製法の復元
古文書や伝世品に使用された糊のうち、生麩糊(小麦粉から分離、沈澱させて抽出したデンプンの糊)とは異なって茶褐色や暗褐色で接着力が強く、耐水性があるという特徴をもつ糊は、古代の史料に記述された「大豆糊」であると考えられている(大橋ほか2016; 岡田・秋本1998)。さらに、平安時代後期以降の典籍類の糊に対し赤外分光分析(IR:infrared spectroscopy、物質に赤外光を照射し、透過または反射した光を測定することで、対象物の分子構造や状態を知る方法)を行った事例(早川2014)では、糊のスペクトルがダイズ(Glycine max)のスペクトルとほぼ一致し、ダイズから作られた糊である可能性が指摘されている。しかし、大豆糊の製法は現在では伝わっておらず、不明な点が多い。そこで、文化財修復や文化財科学の分野では、大豆糊を試作して接着強度や時間経過に伴う変色度を測定し、フーリエ変換赤外線分光分析(F T-IR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy)による成分比較を行うなど、製法の復元に関する研究が進められている。
糊の製作実験では、豆乳を加工したもの(遠藤1987; 岡田・秋本1998; 早川2014)と粉砕した豆粉から作成したもの(嶋野1999; 中村・成瀬2013)の2種類が検討されている。前者の研究では大豆糊は豆乳を煮詰めて作ったと考えられている。『正倉院文書』『延喜式』の記述をふまえて、吸水したダイズ粒を砕き、布で漉して豆乳を得、それを煮詰めて糊が作られた。後者の研究では、大豆粉を煮てそれを布で漉して作られた糊が分析対象となった。豆乳糊・豆粉糊それぞれ単体での実験が行われるなか、大橋有佳らの研究(2016)では両者を試作してIRを実施、典籍類の糊のスペクトル(早川2014)との比較が行われた。大橋らの分析の結果では、岡田文男らの研究(1998)で実施された接着強度や変色度合いの測定では、大豆糊がほかの伝統的な糊類よりも古文書料紙の糊に類似する特徴をもつことが指摘されたが、改めて行われた文献調査では大豆粉から製造された可能性が指摘できること、またIRスペクトルによる比較では、豆粉糊の方が典籍類の糊のスペクトルに類似したことが提示された(大橋ほか2016)。
大豆糊の製法の特定には、こうした製作実験と多様な分析の結果を比較・検討することが重要となるが、同時に、糊部分の目視観察や顕微鏡を用いた糊の形態観察(ダイズのデンプン粒の糖化状態など)も有効である。今後、大豆糊の製法が復元され、古文書等の料紙における糊利用の変化が解明できれば、史料の修復や長期保存の方法の改良につながるだろう。
4.料紙の製作時期と成分への注目
(1)料紙の製作時期の検討
料紙の製作時期がわかれば、生産地と消費地との関係、史料のもつ地域的特性や時代的変遷などを知る手がかりとなる。書かれた時期が明確に記されている史料、内容から時期が推定される史料については、それらが示す年代よりも前に料紙が製作されたと考えることができる。しかしながら、必ずしも料紙の製作時期がわかるわけではない。そうした背景を受けて、料紙の年代測定を実施し、史料の製作時期を検討した連携研究がある。
小田寛貴は、古文書や経典類、古筆切(古写本の断簡)の料紙と書跡(書道の優れた作品(古筆)や禅宗のお坊さんが書いた書(墨蹟)など)の解析と、放射性炭素14年代測定(以下、14C年代測定)の実施によって、史料の製作年代の検討を行った(たとえば小田2007, 2018; 小田ほか2012)。それらの結果から、対象としたそれぞれの史料の製作年代が提示された。また、チベット・サムエー寺所蔵の料紙片に対する研究(Han et al., 2021) では、14C年代測定や走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)【注】5による観察、熱分解ガスクロマトグラフ/質量分析法(Py-GS/MS:Pyrolysis-Gas Chromatography/Mass spectrometry)【注】6、プロテオーム解析【注】7を行ってコムギのデンプン粒やヤクの乳由来のタンパク質を検出し、これらの分析が古代チベットの製紙法の検討に有用であると提示した。ただし、一連の研究は、数mgという微細な採取量だが、史料そのものの破壊分析が行われており、この点が問題視される【注】8。
文化財の調査では現在、多様な科学的な手法が存在するが、貴重な文化財を「壊さない」「汚さない」「触らない」ことが大原則である。特に、2019年6月に報道された文化財の無断「破壊調査」の発覚後は、文化財の科学的な分析研究を推進する日本文化財科学会からも、『文化財の科学調査に伴う手続きの重要性について』という声明文【注】9が出されており、文化財を対象とした科学分析への目は非常に厳しくなっている。
古文書や古記録類も、非破壊による観察・分析が徹底される必要がある。所蔵機関や史料の現況によっては、カメラや顕微鏡などの機器による撮影・観察も困難な場合がある。学術調査とはいえ、史料へ影響を与えないことは調査の前提条件である。破壊分析は避け、まずは非破壊調査・分析を試みることが望ましいだろう。
(2)料紙の成分分析
料紙には素材である植物の成分(元素)が含まれている。植物中に含まれる元素はその植物が育った地方の土壌などの影響を受けているため、微量元素を測定すれば植物の生息地が推測できる。料紙の生産地と原料となる植物の産地は同じであり、微量元素分析によって料紙の産地が推定できると考えられる(安田ほか1999)。
非破壊での分析が可能な粒子励起X線分光法(PIXE:Particle Induced X-ray Emission)による研究では、現在生産されている和紙には、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)などの元素が含まれており、マグネシウム、マンガン(Mn)、銅(Cu)、スズ(Zn)、ストロンチウム(Sr)の元素の比から産地の同定ができる可能性が提示された(安田ほか2001, 2002; 安田ほか2000; 安田ほか1999)。これらの研究は、現在生産されている和紙を対象としており、実際の史料への応用は行われていない。
同じような分析としては、2022年度に開始された共同研究【注】10において微量元素分析の実験が開始されている。こちらは、繊維素材の種類、産地別での微量元素の特徴を識別する目的で行われており、今後、産地同定につながる元素の特定と史料への応用が期待される。
5.まとめ
本章では、異分野連携研究という視点から、①繊維素材とネリ、②添加物と糊、③料紙の製作時期と成分、という三つに沿って、それぞれどのような研究が行われているか、近年の動向を中心に概観した。①では植物の起源と料紙の生産地との関係、原料生産の現状改善に関する研究、②では填料や糊についての近年の研究、また③では非破壊分析の重要性と料紙の産地同定に関する研究について述べた。自然科学分析の多くはモノの物理的性質や化学構造の解明を目的とするため、理化学的な用語に慣れていない方がたにとっては、本章はやや難しい内容になっているかもしれない。さらに詳しく知りたい場合は、関係の書籍や論文などを参照していただきたい。
植物学や文化財科学、製紙科学などにおける料紙研究は、分析手法の開発とともに進展してきた。つまり、分析手法が改良されれば事例の蓄積も増加するため、料紙研究の今後の可能性を秘めている分野である。古文書学や歴史学が積み重ねてきた研究成果と総合すれば、古文書の歴史研究に対してさらに多くの情報を提示することができるだろう。
【注】
1 本書では、「楮/コウゾ」、「三椏/ミツマタ」、「雁皮/ガンピ」、「竹/タケ」と、漢字とカタカナの表記が混在する。漢字の場合は主に紙の製品名からの表記(楮紙や雁皮紙など)を示し、カタカナの場合は植物学的な名称として用いている。
2 https://camp-fire.jp/projects/view/387877(2022年5月24日アクセス)。
3 科学研究費助成事業でも安定的な供給を目指した研究が行われている。
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K01105/(2022年5月31日アクセス)。
4 イネ科イネ属は複数の種が存在する。古文書料紙の填料として利用されたイネはおそらく栽培イネ(Oryza sativa L.)と考えられるが、厳密な同定が行われているわけではないため、本書では学名を属(sp.)でとどめておく。
5 電子顕微鏡の一種であり、電子線を照射することで放出される二次電子・反射電子・エックス線などを検出して、試料の表面を観察する。
6 プラスチックなどの有機物を急速熱分解し、熱分解生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分離、質量分析計(MS)で同定、定量化する分析である。
7 プロテオームは細胞内で発現している(発現する可能性をもつ)全タンパク質を指し、プロテオーム解析は生物のもつタンパク質の構造や機能を網羅的に解析する研究である。
8 史料の修理時に、微量の繊維を可能な箇所から採取し、顕微鏡を用いた形態観察と染色液による呈色反応で繊維の識別を行うことがある。ただし、これは修理方法を決めるために行う作業であり、修理後は原本史料とともに戻される。そのため、ここで問題視する破壊分析とは目的が異なる。
9 http://www.jssscp.org/index.php/85-information/203-2019-06-24-10-08-47(2022年6月3日アクセス)。
10 令和4年度加速器科学総合育成事業https://www2.kek.jp/oi/GrowthProgram.html(2022年6月3日アクセス)。
引用文献
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安田啓介・伊藤慶文・多仁昭廣「PIXEによる和紙の元素分析」『平成12年度財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究成果報告集』3、2000
安田啓介・伊藤慶文・笹瀬雅人・多仁昭廣「PIXEによる和紙の微量元素分析(その3)」『平成13年度財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究成果報告集』4、2001
安田啓介・伊藤慶文・笹瀬雅人・多仁昭廣「PIXEによる和紙の微量元素分析(その4)」『平成14年度財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究成果報告集』5、2002