海野圭介、神作研一、ジョシュア・モストウ、ミシェル・ヴィエイヤール゠バロン編『百人一首リサーチ』(文学通信)

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6月上旬刊行予定です。

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海野圭介、神作研一、ジョシュア・モストウ、ミシェル・ヴィエイヤール゠バロン編
『百人一首リサーチ』(文学通信)
ISBN978-4-86766-090-4 C0095
A5判・並製・352頁
定価:本体2,800円(税別)

カルタとしても楽しまれ、いまや皆に親しまれている『百人一首』。
いつ頃に作られ、どのようにして広がったのでしょうか。
そもそもそれらは簡単に答える事ができるものなのでしょうか。
実は『百人一首』の成立や伝来は、確定できる記録が残っておらず、依然として謎に包まれています。
断片的な資料の検討の継続によって様々な解釈が出され、理解の更新が重ねられ今に至っているのです。

本書はそんな『百人一首』の謎を解き明かし、魅力を深く自在に解きほぐせるよう、全部で5つの視点(成立・力・ビジュアル・翻訳・研究の手引)からリサーチしていきます。

第Ⅰ部「どのように成立したのか」では、謎めいた成立事情を探り、第Ⅱ部「百人一首が持つ〈ちから〉」は、さまざまな百人一首の受容に関して探ります。第Ⅲ部「ビジュアル・カルチャー」は、絵入り絵本、浮世絵、漫画などに展開されてきたのかた百人一首について紹介。第Ⅳ部「どのように翻訳してきたか」では、東西ヨーロッパにおける「百人一首翻訳史」をたどります。第Ⅴ部「百人一首研究の手引」は研究史をたどり、現在にのこる主要本文を比較検討できるように、掲載しています。ここでは最新の研究についても学ぶことが出来ます。

執筆は編者の海野圭介、神作研一、ジョシュア・モストウ、ミシェル・ヴィエイヤール゠バロンのほか、今西祐一郎、Orsolya Karolyi、木村孝太、小山順子、舘野文昭、Daniel Struve、寺田澄江、徳原茂実、村尾誠一、山下則子、吉海直人。

これから『百人一首』をどう読んでいくのか。必携のリサーチブックです。

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【編者紹介】

海野圭介(うんの・けいすけ)
早稲田大学教授。専門は中世文学・和歌文学。著書に『和歌を読み解く 和歌を伝える―堂上の古典学と古今伝受』(勉誠出版、二〇一九年)、『天野山金剛寺善本叢刊 1~5』(共編著、勉誠出版、二〇一七~二〇一八年)、「後陽成天皇と歌学」(橋本政宣編『後陽成天皇―秀吉と対峙しつつ宮廷文化・文芸を復興させた聖王』宮帯出版社、二〇二四年)など。

神作研一(かんさく・けんいち)
国文学研究資料館教授、総合研究大学院大学教授(併任)。専門は日本近世文学、特に和歌史・学芸史専攻。著著・論文に『近世和歌史の研究』(角川学芸出版、二〇一三年)、「Transition of Kasho Focusing on the Early Edo Period」(『国文学研究資料館紀要(文学研究篇)』四六号、二〇二〇年三月)、『江戸の通信添削 美濃加治田平井家のものがたり』(ブックレット書物をひらく34、平凡社、二〇二〇年)など。

Joshua S. Mostow(ジョシュア・モストウ)
ブリティッシュ・コロンビア大学教授。専門は和歌、テキストとイメージの相関関係、ジェンダー研究。著書・論文に 『伊勢物語 創造と変容』(共編、和泉書院、二〇〇九年)、「若衆〜もう一つのジェンダー」(国文学研究資料館編『もう一つの日本文学史』〈亀田和子訳〉、勉誠出版、二〇一六年)、「図像と写し―『伊勢物語』と俵屋宗達」(島尾新・彬子女王・亀田和子編『写しの力―創造と継承のマトリクス―』(思文閣出版、二〇一三年)など。

Michel Vieillard-Baron(ミシェル・ヴィエイヤール゠バロン)
フランス高等実践研究院教授(パリ)。専門は和歌と藤原定家。論文にFujiwara no Teika et la notion d'excellence en poésie, Théorie et pratique de la composition dans le Japon classique, Paris, Collège de France, Institut des Hautes Études Japonaises, 2001., Les enjeux d'un lieu, architecture, paysages et représentation du pouvoir impérial à travers les poèmes pour les cloisons de la Résidence des Quatre Dieux Rois Suprêmes, Saishô shitennô-in shôji waka (1207), Paris, Collège de France, Institut des Hautes Études Japonaises, 2013., Kokin waka shû, Recueil de poèmes japonais d'hier et d'aujourd'hui, Paris, Les Belles Lettres, 2022.など。

【目次】

はじめに─『百人一首』リサーチ─(海野圭介・神作研一)
1 謎に包まれた『百人一首』/2 いつ頃に作られ、どのようにして広がったのか?/3 本書の構成

凡例

総論

1 小さな百人一首の大きな力─百人一首国際化の視点─ 付、恋歌として「かささぎの」歌を読む(吉海直人)

はじめに/1 百人一首の成立と享受史/2 小さな百人一首の大きな力/3 かるたとの融合/4 国際化に向けて/5 百人一首の翻訳について/6 百人一首の問題点/まとめ
付●問題提起/1 「かささぎ」の初出は?/2 七夕と霜の取り合わせ/まとめ

Ⅰ どのように成立したのか

2 『百人一首』の未来─非定家撰説の是非を問う─(吉海直人)
はじめに/1 『百人一首』非定家撰の是非/2 『百人秀歌』の発見/3 二条流歌道における権威付け/4 田渕の発言集成/5 その後の微妙な軌道修正?/おわりに(本論執筆の意図)

3 和歌史・短歌史の中の『百人一首』(村尾誠一)
はじめに/1 正岡子規/2 浮世風呂/3 百人一首宗祇抄/4 和歌史の一五世紀と『百人一首』/おわりに

4 百人一首はいつ、何のために作られたか(徳原茂実)
はじめに/1 『百人一首』成立の下限について/2 文暦二年五月二七日のエピソード/3 『百人一首』の制作意図についての一仮説/4 詞書の長い歌について/5 実績が乏しい歌人たちについて/6 和歌の教訓性について/7 『秀歌大体』とのかかわり/8 『百人一首』から『百人秀歌』へ

5 和歌史の中の秀歌撰─百人一首と時代不同歌合─(寺田澄江)
はじめに/1 撰歌基準としての勅撰集/2 公任の評価/3 撰歌の在り方/4 今を生きる歌、未来を生きる歌

Ⅱ 百人一首が持つ〈ちから〉

6 「このたびは幣もとりあへず」は誰の歌だったのか─『百人一首』菅原道真歌私見─(今西祐一郎)
1 道真の歌/2 従来の解釈/3 和歌の代作/4 詠歌の場/5 道真の歌にして道真の歌にあらず

7 『百人一首』の講釈と伝受(海野圭介)
はじめに/1 〝小さな伝授〟としての『百人一首』講釈/2 三部抄というまとまり/3 『百人一首』講釈から連歌・聯句へ/4 『百人一首』講釈と和歌を学ぶこと、詠むこと/5 三部抄切紙/おわりに

8 浮世草子における『百人一首』─『好色一代男』の中の『百人一首』─(ダニエル・ストリューブ(翻訳 寺田澄江))
はじめに/1 八例の検討/結論

Ⅲ ビジュアル・カルチャー

9 江戸の百人一首─絵入り本と〈和歌絵本〉と─(神作研一)
はじめに/1 絵入り本と〈和歌絵本〉と─歌仙絵の継承と革新─/おわりに

10 江戸時代後期の絵入り注入り『百人一首』版本とジェンダー(ジョシュア・モストウ(翻訳 今井和彦))
はじめに/1 天智天皇歌の注釈/2 持統天皇歌の注釈/3 大伴家持歌の注釈

11 国文研蔵浮世絵『小倉擬百人一首』を読み解く(山下則子)
はじめに/1 天智天皇「秋の田の〜」の見立て/2 持統天皇「春すぎて〜」の見立て/3 山辺赤人「田子の浦に〜」の見立て/4 猿丸太夫「奥山に〜」の見立て/5 藤原興風「誰をかも〜」の見立て/6 見立ての考案者・社会背景・意義

12 百人一首と漫画─学習漫画、『超訳百人一首 うた恋い。』、『ちはやふる』─(小山順子)
はじめに/1 『百人一首』関連の学習漫画/2 杉田圭『超訳百人一首 うた恋い。』/3 末次由紀『ちはやふる』/4 名探偵コナン『から紅の恋歌』/結び

Ⅳ どのように翻訳してきたか

13 『百人一首』のハンガリー語訳(カーロイ・オルショヤ)
はじめに/1 なぜハンガリー人は日本に興味をもったか/2 初期ハンガリー語訳の特徴/3 『百人一首』ハンガリー語訳史/まとめとこれからの課題

14 『百人一首』の仏語訳の歴史(ミシェル・ヴィエイヤール゠バロン)
はじめに/1 フランスにおける『百人一首』翻訳者たち/2 フランス語訳を読む/結び

Ⅴ 百人一首研究の手引

15 『百人一首』研究史(成立論)(舘野文昭)
1 成立論に関わる主要な資料/2 有吉論以降/総括

16 『百人一首』の本文について─本文整理に対する問題意識─(木村孝太)
はじめに/1 『百人一首』『百人秀歌』の違い/2 『秀歌型一首』の存在/おわりに【『新編国歌大観』所収『百人一首』の本文を見出しに上げたうえで、冷泉家時雨亭文庫蔵『百人秀歌』、国文学研究資料館蔵紹巴筆『百人一首』(紹巴筆本)、宮内庁書陵部蔵堯孝筆『百人一首』(堯孝筆本)、国文学研究資料館蔵梁盛筆『百人一首』(堯恵奥書本)、を列記したものを掲載】

おわりに
執筆者一覧

【執筆者一覧】(五十音順)

今西祐一郎(いまにし・ゆういちろう)
国文学研究資料館名誉教授。専門は平安時代文芸。著著に『源氏物語覚書』(岩波書店、一九九八年)、『蜻蛉日記覚書』(岩波書店、二〇〇七年)、『古今集遠鏡』(東洋文庫七七〇、平凡社、二〇〇八年)など。

Orsolya Karolyi(カーロイ・オルショヤ)
同志社女子大学大学院修了。専門は和歌文学、百人一首。論文に「『百人一首』の英訳史―一九八四年からの訳を中心に」(『同志社女子大学大学院文学研究科紀要』一八、二〇一八年三月)。

木村孝太(きむら・こうた)
公益財団法人五島美術館大東急記念文庫学芸員助手。専門は中古・中世和歌の伝本研究。論文に「『百人一首』要調査主要伝本一覧抄」(久保木秀夫と共著、『百人一首の現在』青