地方史研究協議会編『ここまでわかった京都の歴史』(文学通信)

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10月下旬の刊行予定です。

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地方史研究協議会編
『ここまでわかった京都の歴史』(文学通信)
地方史はおもしろい08
ISBN978-4-86766-112-3 C0221
新書判・並製・272頁
定価:本体1,650円(税別)

現代社会のその先を作るために。日本の歩みを記憶として地域から残し伝え考えるための本。
日本史ファン、研究者必携のシリーズ8冊目は、京都!

京都は文化の多様性と歴史的重層性におおきな特徴があり、それは日本の歴史文化の基軸ともなっている。
語り尽くされたかのように見える京都ですが、これまで「あまり」もしくは「ほとんど」ふれられてこなかった「京都の歴史」を、京都研究の第一線にたって活躍する著者たちによって、縦横無尽に語り尽くします。

第1部「ガイドブックに載らない歴史を求めて」では古文書を繙くことで初めて見えてくる歴史を明らかにします。第2部「失われた空間を復元する」では公家たちの邸宅、城郭、宗教施設に焦点を当てて探求。第3部「祭礼をまなざす」はあまた継承される京の祭礼のなかで、王城守護の社、町衆が誇る祇園会、そして練供養の行事に着目。第4部「信仰と美のかたちを読みほどく」では、仏教美術や立花(いけばな)を取り上げます。第5部「史料を徹底解読する」では公家や古社寺に伝わる古文書から村々に残る古文書まで、さまざまな史料の読みで歴史の見方が転換していく醍醐味を堪能できます。第6部「共生のあり方を探る」では、被差別身分や身体障害者など、歴史の表舞台では語られにくかった人々に注目し、その生と社会のありようを考えます。

この一冊を手に、知られざる京都へ。
観光地図にはない風景と歴史を訪ね歩く旅に出かけてみませんか。

執筆は、野地秀俊・村上絢一・鍛治宏介・小林丈広・山田邦和・福島克彦・岸本香織・小出祐子・宇野日出生・西山 剛・福持昌之・井上一稔・本多潤子・細川武稔・河内将芳・平野寿則・玉城玲子・小林ひろみ・松中 博・岸 博実の20名。

【歴史都市京都では、残っている史料が多く、その全容を把握するのが困難ですが、実際に調査にあたった方が、その成果を元に新しい知見を論述することで、本当の京都研究が生まれるのでしょう。本書はその試みの集成として提示したいと思います。】...はじめにより。

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【編者】

地方史研究協議会

地方史研究協議会は、各地の地方史研究者および研究団体相互間の連絡を密にし、日本史研究の基礎である地方史研究を推進することを目的とした学会です。1950年に発足し、現在会員数は1,400名余、会長・監事・評議員・委員・常任委員をもって委員会を構成し、会を運営しています。発足当初から、毎年一回、全国各地の研究会・研究者と密接な連絡のもとに大会を開催しています。また、1951年3月、会誌『地方史研究』第1号を発行し、現在も着実に刊行を続けています(年6冊、隔月刊)。

◆入会を希望される方は、事務局宛に下記URL内のフォーム、または郵送・FAXでお申込ができます。おって会費の振込用紙を送付いたします。
◆『地方史研究』の購読は、HPよりお申し込みください。

〒111-0032
東京都台東区浅草5-33-1-2F 
地方史研究協議会事務局
FAX 03-6802-4129
URL:http://chihoshi.jp/

【目次】

序文 [地方史研究協議会会長 久保田昌希]

はじめに─ここまでわかった京都の歴史 [宇野日出生・小林丈広]


第1部 ガイドブックに載らない歴史を求めて


【失われた名所を復元する手がかり】
1 京の案内記の歩き方─雲居寺と経書堂 [野地秀俊]
1 案内記成立の背景/2 失われた雲居寺の石塔のいわれ―鬼女舎利をめぐって/
3 経書堂の信仰の変遷―小石か経木か/4 おわりに

【この地はなぜ人々を魅了するのか】
2 「しこぶちさん」鎮まる山里の歴史と暮らし─京都市最北端の町・久多 [村上絢一]
1 はじめに/2 久多の歴史/3 久多の神さま・仏さま/4 久多の行事/5 むすびにかえて

【京で働く女性の行く末】
3 幕末期祇園の芸者菊葉と縁切り証文 [鍛治宏介]
1 江戸時代後期の祇園/2 一生不通養子娘「とく」/3 「とく」の両親による縁切り証文

【在野歴史学の戦後】
4 森浩一と日本史研究会 [小林丈広]
1 はじめに/2 創立期日本史研究会の入会者/3 敗戦前後の森浩一/4 森浩一の入会/
5 結びにかえて


第2部 失われた空間を復元する


【古代都城はいかに計画されたか】
5 平安京とその邸宅配置の復元法 [山田邦和]
1 はじめに/2 平安京の構造復元/3 文献史料による平安京の邸宅復元/
4 地図史料と発掘調査からみた平安京の邸宅/5 おわりに

【京都北縁に築かれた大規模山城の実像に迫る】
6 明智光秀の周山築城と京都 [福島克彦]
1 はじめに/2 研究史と問題の所在/3 周山城の特質/4 文献史上の周山城/
5 織田期長坂街道と京都/6 おわりに

【忘れられつつある朝廷をとりまく存在】
7 公家町周辺の人々 [岸本香織] 
1 公家町の成立/2 近世の公家町/3 公家町に住まう「公家」/4 公家である門跡/
5 公家である比丘尼御所/6 まとめ

【「学問の神様」をまつる空間の再編】
8 近代初頭の北野天満宮 [小出祐子]
1 はじめに/2 境内建物の破壊と空洞化/3 境内の再編/4 おわりに


第3部 祭礼をまなざす


【日本屈指の古社の祭礼は何が圧倒的なのか】
9 賀茂別雷神社の御棚会神事 [宇野日出生]
1 はじめに/2 神社と賀茂六郷/3 御棚会神事とは何か/4 御棚会神事の現在/
5 むすびにかえて

【神輿をめぐる駆け引き】
10 町の内側からみた祇園会──「当町年寄ニ付町儀控」を中心に [西山 剛]
1 はじめに/2 近世の祇園会の特徴/3 宴席での出来事から/4 おわりに

【無形民俗文化財登録への道のり】
11 お練り供養と呑海節──即成院で二十五菩薩を迎える [福持昌之]
1 はじめに/2 練供養の典型例―當麻寺を参考に―/3 即成院の練供養と御詠歌/
4 旧節の呑海節とは/5 枚方宿鍵屋と吉川呑海/6 氷解した謎―御詠歌の家元―/
7 即成院の練供養の成立時期/8 結びにかえて


第4部 信仰と美のかたちを読みほどく


【さとりのかたちを読みほどく】
12 京都市の如来像 [井上一稔]
1 はじめに/2 釈迦如来像/3 薬師如来像/4 阿弥陀如来像/5 むすび

【一幅の僧侶の絵姿はなぜ特別視されるのか】
13 夢にあらわれた肖像とその儀礼──高峰顕日頂相を中心に [本多潤子]
1 はじめに 頂相とは/2 相国寺の祖師像/3 相国寺と慈照院に伝来する高峰顕日頂相/
4 慈照院への到来と応夢譚/5 儀礼における荘厳/6 まとめ 応夢像として

【現在も続くいけばな展の由緒をたどる】
14 六角堂・池坊の七夕会 [細川武稔]
1 七夕会とは/2 六角堂・池坊での開催/3 開催権をめぐる争い/4 年中行事としての賑わい


第5部 史料を徹底解読する


【いくら寄付すれば願いは叶う?】
15 豊臣秀吉の願いがこめられた文書 [河内将芳]
1 伏見稲荷大社に残された一通の文書/2 大政所の煩いと寺社/3 大政所の煩いの経過/
4 一万石の奉加

【一族の歴史にとどまらない史料の価値】
16 「蔵書の家」文化人の歴史と信仰──神田家文書からひもとく [平野寿則]
1 はじめに/2 両替商津国屋の歴史/3 神田家と真宗の信仰/4 むすびにかえて

【広域自治はいかに達成されたか】
17 桂川西岸の広域連合「西岡郷」について [玉城玲子]
1 はじめに/2 西岡と西岡郷/3 山崎・樫原への助人馬役と西岡郷/
4 「西岡定目」にみる入用銀徴収の仕組み/5 おわりに


第6部 共生のあり方を探る


【洪水対策に貢献した被差別民のくらしの実態】
18 幕末京都の市街地周縁──非人小屋「水車」を中心に [小林ひろみ]
1 はじめに―京都の市街地周縁と「今村家文書」/2 非人小屋「水車」と悲田院町/
3 幕末京都の非人の仕事/4 非人小屋「水車」の長屋群/
5 非人小屋「水車」の小屋頭の居宅/6 おわりに

【だれがその費用を負担するのか?】
19 宿場をめぐる村々の対立──樫原宿の近世 [松中 博]
1 宿駅ではない樫原宿/2 文政七年の幕府役人の通行/
3 公用に対する、岡村と西岡の村々の立場の違い/4 文政八年の訴訟の行方/5 おわりに

【「ともに生きる」あり方を更新する】
20 京都盲唖院の盲生同窓会が挑んだこと [岸 博実]
1 はじめに/2 盲生同窓会の結成/3 日本盲人会の結成、全国盲学校同窓会連盟の発足へ/
4 京都府立盲学校同窓会の事業活動/5 医学・文化などへの貢献


あとがき [野本禎司]
執筆者紹介
シリーズ刊行にあたって


【執筆者紹介】※五十音順
井上一稔(いのうえ・かずとし)一九五六年生。同志社大学文学部文化史学科。主要業績『奈良・平安彫刻の文化史的研究』(法蔵館、二〇二五年)

宇野日出生(うの・ひでお)一九五五年生。元京都市歴史資料館。主要業績『近江の神道文化』(サンライズ出版、二〇二〇年)

鍛治宏介(かじ・こうすけ)一九七三年生。同志社大学文学部文化史学科。主要業績「民間社会からみる書物文化と医療の実態」(上野大輔・小林准士編『日本近世史を見通す』第6巻、吉川弘文館、二〇二三年)

河内将芳(かわうち・まさよし)一九六三年生。奈良大学文学部史学科。主要業績『都市祭礼と中世京都―表象と実像―』(法藏館、二〇二四年)

岸 博実(きし・ひろみ)一九四九年生。元京都府立盲学校。主要業績『盲教育史の手ざわり─「人間の尊厳」を求めて─』(小さ子社、二〇二〇年)

岸本香織(きしもと・かおり)一九七一年生。公益財団法人冷泉家時雨亭文庫。主要業績「冷泉家における光格天皇拝領品」(飯倉洋一・盛田帝子編『文化史のなかの光格天皇』勉誠出版、二〇一八年)

小出祐子(こいで・ゆうこ)一九七四年生。大阪芸術大学芸術学部建築学科。主要業績『カラー版図説 日本建築の歴史』(共著、学芸出版社、二〇二〇年)

小林丈広(こばやし・たけひろ)一九六一年生。同志社大学文学部文化史学科。主要業績『明治維新と京都―公家社会の解体―』(臨川書店、一九九八年)

小林ひろみ(こばやし・ひろみ)一九六一年生。公益財団法人世界人権問題研究センター。主要業績「近世京都の市街地近郊の被差別民―大仏柳原庄の場合」(全国部落史研究会編『部落史研究』第九号、二〇二四年)

玉城玲子(たまき・れいこ)一九六一年生。向日市文化資料館。主要業績「桂川西岸における地域史の取り組み─乙訓郡誌の編さんを通して」(地方史研究協議会編『京都という地域文化』雄山閣、二〇二〇年)

西山 剛(にしやま・つよし)一九八〇年生。京都府京都文化博物館。主要業績『輿をかつぐ人びと 駕輿丁・力者・輿舁の社会史』(思文閣出版、二〇二四年)

野地秀俊(のち・ひでとし)一九六九年生。京都市歴史資料館、佛教大学非常勤講師。主要業績「京都宿屋考―中近世都鄙間交流の拠点として―」(地方史研究協議会編『京都という地域文化』雄山閣、二〇二〇年)

平野寿則(ひらの・としのり)一九六六年生。大谷大学文学部歴史学科。主要業績『近世仏教治国論の史料と研究』(共編著、清文堂出版、二〇〇七年)

福島克彦(ふくしま・かつひこ)一九六五年生。大山崎町歴史資料館。主要業績「中世大山崎の都市空間と『保』」(仁木宏編『日本古代・中世都市論』吉川弘文館、二〇一六年)

福持昌之(ふくもち・まさゆき)一九七〇年生。京都市文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課。主要業績「真如堂における十夜法要と双盤念仏―僧侶の念仏から世俗の鉦講へ」(『宗教と社会』第二一号、二〇一五年)

細川武稔(ほそかわ・たけとし)一九七三年生。華道家元池坊総務所池坊中央研究所。主要業績『京都の寺社と室町幕府』(吉川弘文館、二〇一〇年)

本多潤子(ほんだ・じゅんこ)一九八三年生。相国寺承天閣美術館。主要業績「近世相国寺における「太上天皇」足利義満―後水尾院期の尊称変更を中心に」(『禪學研究』第一〇三号、二〇二五年)

松中 博(まつなか・ひろし)一九七〇年生。京都市歴史資料館。主要業績『叢書 京都の史料13 京郊農村の近代 葛野郡岡村事務日誌』(京都市歴史資料館、二〇一四年)

村上絢一(むらかみ・じゅんいち)一九九二年生。和泉市教育委員会。主要業績「中世後期における近江国葛川の領有体系」(『史林』第一〇二巻第四号、二〇一九年)

山田邦和(やまだ・くにかず)一九五九年生。同志社女子大学現代社会学部社会システム学科。主要業績『京都の中世史7 変貌する中世都市京都』(吉川弘文館、二〇二三年)