【連載】vol.0「自己紹介など」 - 現役大学生が有り余る行動力で和本に触れてみた件ーー和本探しに出かけてみよう!ーー #和本有り
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自己紹介など
Q あなたについて教えてください。
はじめまして、青山学院大学に在籍している河建佑(ハゴンウ)と言います。韓国・ソウル出身で兵役義務を終えてから外国人留学生入試を受け、今の大学に入学しました。大学では現在、井原西鶴を中心に勉強しています。他に東アジア(漢文漢字文化圏)での儒教思想や経済、貿易、商人、長者譚などに興味があります。趣味はベース演奏とゲームとアニメ鑑賞など。よく聴く音楽ジャンルはAOR、フュージョンジャズ、ファンク、ソウルなど。好きな食べ物はプリンとラムレーズンのアイスです!
Q いつから日本語を勉強しましたか?
小学5年生から独学で3年間勉強し、それから外国語を教える塾で4年間勉強しました。それからは特に机に向かって勉強することはなく、日本で生活しても支障がないほどには話せるようになっていたので、「ONE PIECE」や「NARUTO」を日本語で読んだり、アニメーションの原作のライトノベルを読んだりと自由気ままに日本語に触れていました。
Q 日本語を知ったきっかけは?
子供の頃に観た「デジモンアドベンチャー」というアニメーションがきっかけです。日本のアニメーションはよく実在する場所を風景として描きますが、このアニメーションでも「お台場」や「光が丘」を背景としています。しかし、韓国で放送されるときはその地域名がソウルに実在する「ヨイド」や「ハンガン」に変えられていたため、私はてっきり近所でもあった「ヨイド」に行くと主人公たちやデジモンたちに会えると思い、母を連れて行ってみたものでした......。後になって日本のアニメーションだと知り、日本と日本語に興味を持つようになりました。
また、韓国では一時期、本編は吹き替えにするけれど、オープニングとエンディングは日本語のままで放送していました。日本語をはじめて聴いた私は、美しい発音の言語だなと感じたのも少なからず影響しています。余談ですが、一番好きだったアニソンは「鋼の錬金術師」のオープニングだったポルノグラフィティの「メリッサ」でした。
Q なぜ日本へ留学に来ることになりましたか?
実はもともと私は、物理学部を志望していました。しかし、受験がうまくいかず軍隊に行くことになり、兵役生活を送っていた1年と9カ月間悩んだ末、自分が今まで諦めずに好きでいつづけている日本語に関連した学部に入ろうと思ったのです。そして、兵役義務を終えた後、和本に出会ってから日本文学、特に古典を勉強したいと強く思えるようになりました。
Q その和本との出会いについて教えてください。
2016年の夏です。私は、兵役を終え幼馴染たちと大阪に旅行に行きました。そこで、とある古本屋でとても古い本をなんと1000円で売っているのを見つけました。タイトルは『実語教画本』。後から気づくのですが、江戸時代以前から存在している日本の道徳教科書だそうで、儒教を重んじる韓国人の私が購入したのも何か運命を感じました。
韓国に帰ってきて読み進めてみると、まるで「CSI:科学捜査班」になって暗号解読する気分になり、一文字一文字手探りで探す感覚がとても楽しくなっていきました。
写真1 岡田玉山『実語教画本』巻之三(享和二(1802)年刊)の表紙。半紙本。題箋欠け。綴じ直しが必要。
写真2 同書の八ウ・九オ。柱題に「実語教畫本」。虫食いの跡はほぼ見られない。
Q 海外の方がくずし字を学ぶことは大変なことでしょうか?
そんなことはないと思います。私の場合、そもそもひらがなもゼロから勉強しましたから、新しい文字を覚えるのには慣れていました。また、たまたま私が初めて購入した和本(上記の『実語教画本』)が江戸後期のもので読みやすかったのもあります。
とはいえ、海外の方で、もしくずし字にチャレンジしてみたいという方は第一に興味のある時代の、好きなジャンルを選ぶことをオススメいたします。ちなみに、私が欲しかった井原西鶴の『好色一代男』は欲しくても高すぎて手に入りそうにありません......いずれ縁がありますように(笑)。
Q 和本の面白さについて教えてください。
主観的な答えになりますが、一つは「意味が分からない」だから「気になる」というところに面白さを感じています。古本屋さんで和本を探しているとなんだかレコードショップで掘り出し物を探しているような気分になります。そして「この和本を今買わなければ永遠に出会えないかも知れない」と、一期一会だと思ってつい購入してしまうのです(もちろん、学生ですから安いもので......)。
それからは、家に帰って少しずつヒマさえあれば暗号解読するような気分で挑戦します。また、カフェでコーヒーを飲みながら優雅にチャレンジするのもよし、学校の図書館でウトウトしながら読むのもよし。電車の中で読むのもよし。今という時間の流れで私とこの和本だけはその時代に止まっているという気持ちにもなりつつその内容を一つずつ知っていく。これが私の感じている和本の面白さです。
最後に、韓国では日本のように糸で綴じられた本はもはや滅多に目にすることはありません。地方の古本屋に行けばあるかないかくらい。しかし、日本では東京ですら安ければ数百円で買えます。それも200年以上前のものを。そうした本はオリジナルで、二度と同じものが作られることはありません。大変貴重なものになっていくはずです。そうしたものを一つ一つ、もちろん買い占めや転売目的ではなく自分が好きなジャンルの本を集めていく、とても楽しい趣味になっていくはずです。買うなら今ですよ!
Q このブログの目標について教えてください。
私もそして読者の方々ももっと和本を知り、好きなっていく時間になれたらと思います!もちろん、和本のどこに面白さを感じ、好きになるかは人それぞれですが、そもそも和本はどこに行けばあるのか。どこに行けば買えるのか。何十万円もするものなのではないか。と、私を含む学生の間では和本はあまり知られていません。
よって、私自らがオススメのお店やイベント、図書館などを廻り、主に小中高生・大学学部生向けに和本を紹介していきたいと思います。
このブログの記事をきっかけに、皆さん一人一人が、和本とよい出会いがあることを心から願っています。