岩田秀行・小池章太郎『役者絵の図像学 錦絵八犬伝を読む』(文学通信)
6月下旬刊行予定です。
岩田秀行・小池章太郎『役者絵の図像学 錦絵八犬伝を読む』(文学通信)
ISBN978-4-86766-050-8 C0074
A5判・上製・304頁・フルカラー
定価:本体5,000円(税別)
誰を見ても同じ顔に見えるのはなぜだろう?
役者絵を鑑賞・研究するための入門・基礎・実践!
役者をどう見分ければいいのか。役者絵から何がわかるのか。役者絵という図像をトータルに理解できる書。
全体を三章に分けて構成。「Ⅰ 対談」は役者絵入門編。たんなる説明ではなく、問題となる事柄を取り上げつつ理解が深まるよう試みた。「Ⅱ 役者絵を読む」では、役者絵の基礎編として、似顔のもつ価値と意義を考える。「Ⅲ「八犬伝犬の草紙」を読む」では、実践編として、見立揃物「八犬伝犬の草紙」五十枚について、一枚一枚それぞれから何が読み取れるのか、解読を行う。最後に「役者絵この三十年」によって、文献を辿りつつ、この三十年の役者絵認識の変化を述べる。専門的に役者絵を学びたい人のための参考文献にもなっている。役者絵の世界に踏み込み、面白さを味わうために。フルカラー。
【まず、役者絵を見る場合にいちばん重要になってくるのが似顔という問題です。この似顔を認識するということが実に難しくて、最初はみんな同じ顔に見えてしまうわけです。それはわたしなどが、例えばアイドルグループとかのメンバーの顔が見分けられないのと、まったく同じような状態だと思うんです。】......「Ⅰ 対談」より
●Amazonでの予約・購入はこちら
https://amzn.to/3yq2qBR
入金を確認次第、すぐに発送(送料無料)。
案内をメールでお送りいたします。
【著者紹介】
岩田秀行(いわた・ひでゆき)
1949年 香川県生まれ。1982年、早稲田大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程満期退学。1994年、跡見学園女子大学文学部教授。2018年退職。専門は、近世日本文学、役者絵、江戸庶民風俗。
単著に『江戸芸文攷 黄表紙・浮世絵・江戸俳諧』(若草書房、2019年)、校注に『新日本古典文学大系 明治編 9』(共編、岩波書店、2010年)、『新日本古典文学大系72 江戸座点取俳諧集』(共編、岩波書店、1993年)、『誹風柳多留 三篇』(社会思想社、1985年)など。
小池章太郎(こいけ・しょうたろう)
1935年 静岡県浜松市生まれ。前進座文芸部長を経て、跡見学園女子大学文学部教授。2006年退職。専門は、近世演劇・文学。
単著に『考証江戸歌舞伎』(三樹書房、1979年)、『鶴屋南北の世界』(三樹書房、1981年)、『江戸の残照』(思索社、1982年)、『芸能語源散策』(東京書籍、1985年)、編著に『江戸砂子』(東京堂出版、1976年)、『千種日記』(古典文庫、1984年)、『藤岡屋日記』全15巻(三一書房、1987〜1995年)、『未刊江戸歌舞伎年代記集成』(新典社、2017年)など。
【目次】
はじめに
Ⅰ [対談]役者絵を鑑賞・研究するための六つのポイント─本書を読む前に
① 似顔を見分けよう
誰を見ても同じ顔に見えるのはなぜ?
江戸愛好家は逍遙以降も存在した
似顔が物語の発想や理解につながっている
役者中心で歴史を見る
役者の顔を認知するためには訓練あるのみ
「画師によって似顔絵の描き方が違う」問題
② 頭を見分けよう
役柄を鬘から見分ける
『戯場訓蒙図彙』の鬘の図の注意点
写実的な生え際と鬘の歴史
鬘の難しさの理由
③ 衣裳を見分けよう
腰帯に注目する
附帳とは何か?
④ 色と摺に注意
歌舞伎の色彩に関わる約束事
浮世絵の色彩
浮世絵の摺
⑤ 画師と役者に代々あり
似顔絵のはじまり
画師の代数と役者の代数
⑥ 絵の年代を調べよう
番付を利用して役者絵を考証する
上演以前に描かれた見立て役者絵
最後に 「八犬伝犬の草紙」の特色と価値
Ⅱ 役者絵を読む
第一章 似顔という視点
1 似顔絵の効用
2 似顔絵と写真
3 似顔の表現とその解読
4 五代目松本幸四郎
5 五代目岩井半四郎
6 似顔研究の方向
第二章 似顔による考証例
1 似顔と考証
2 似顔と考証(その二)
3 役者群像について
4 役者群像について(その二)
Ⅲ 「八犬伝犬の草紙」を読む
1 「八犬伝犬の草紙」とは
2 目録
3 役者見立て一覧
4 図1〜図50 解説
図1 大序 里見義実(三代目助高屋高助)
図2 左第一番 森口九郎(中村玉助)
図3 右第一番 木曽之助(五代目市川団蔵)
図4 左第二番 山下柵左衛門(三代目嵐璃寛)
図5 右第二番 神余妾玉章(坂東しうか)
図6 左第三番 金鞠八郎(三代目坂東三津五郎)
図7 右第三番 大輔母こあき(岩井杜若)
図8 左第四番 里見息女伏姫(坂東しうか)
図9 右第四番 金椀大助(二代目嵐璃珏)
図10 左第五番 蚊牛和尚(三代目嵐音八)
図11 右第五番 飛鳥(三代目藤川花友)
図12 左第六番 大塚番作(十一代目森田勘弥)
図13 右第六番 下男糠助(市川広五郎)
図14 左第七番 荘官蟇六(四代目大谷友右衛門)
図15 右第七番 蟇六妻亀笹(二代目中山文五郎)
図16 左第八番 簸上宮六(中村翫太郎)
図17 右第八番 〓(備の木編)木五倍次(四代目浅尾奥山)
図18 左第九番 浪士左母次郎(松本錦升)
図19 右第九番 蟇六娘浜路(三代目岩井粂三郎)
図20 左第十番 犬川荘助(四代目市川小団次)
図21 右第十番 犬山道節(尾上梅寿)
図22 左第十一番 犬塚信乃(八代目市川団十郎)
図23 右第十一番 足利成氏(坂東竹三郎)
図24 左第十二番 山林房八(四代目中村歌右衛門)
図25 右第十二番 犬田小文吾(五代目市村竹之丞)
図26 左第十三番 房八女房おぬい(二代目尾上菊次郎)
図27 右第十三番 古那屋文五兵衛(二代目助高屋高助)
図28 左第十四番 外山妙真(二代目沢村田之助)
図29 右第十四番 船頭梶九郎(片岡市蔵)
図30 左第十五番 十条力二郎(中村福助)
図31 右第十五番 十条尺八郎(六代目市川団蔵)
図32 左第十六番 力二郎妻引手(六代目岩井半四郎)
図33 右第十六番 尺八女房ひとよ(岩井紫若)
図34 左第十七番 浪四郎(四代目坂東彦三郎)
図35 右第十七番 毒婦船虫(瀬川路考)
図36 左第十八番 馬加大記(五代目松本幸四郎)
図37 右第十八番 犬坂毛野(三代目岩井粂三郎)
図38 左第十九番 赤岩一角(市川白猿)
図39 右第十九番 犬飼現八(三代目嵐吉三郎)
図40 左第二十番 犬村大角(五代目沢村宗十郎)
図41 右第二十番 大角妻雛衣(四代目尾上梅幸)
図42 左第廿一番 籠山逸藤太(三代目関三十郎)
図43 右第廿一番 赤岩牙次郎(坂東三津右衛門)
図44 左第廿二番 蜑崎十一郎(二代目関三十郎)
図45 右第廿二番 泡雪奈四郎(中村鶴蔵)
図46 左第廿三番 石亀屋治団太(二代目尾上多見蔵)
図47 右第廿三番 山賊酒顚次(市川鰕十郎)
図48 左第廿四番 犬江親兵衛(岩井杜若)
図49 右第廿四番 尼妙椿(瀬川路考)
図50 大尾 里見義成(八代目市川団十郎)
●コラム
実悪役者・三代目関三十郎
八代目市川団十郎の犬塚信乃
●つけたり
役者絵この三十年
あとがき