堀川貴司『五山文学探究 資料と論考』(文学通信)

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5月下旬刊行予定です。

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堀川貴司『五山文学探究 資料と論考』(文学通信)
ISBN978-4-86766-053-9 C0095
A5判・上製・392頁
定価:本体10,000円(税別)

その歴史と広がり、表現はどのようなものだったのか。五山文学を探求し続ける論考、全20章。
第一部「総論 五山文学の歴史と広がり」では、中国詩総集および五山詩総集、五山文学別集それぞれについて編成の特徴についての論考や、五山の文学や学問が、公家社会と交流していく様子を時代を追って通覧できるようにしたもののほか、生きた唐物である来日僧の語録や墨蹟を取り上げて、五山あるいは広く日本社会における意義を考えた論考、五山における出版活動についての論考、同時代の他ジャンル、あるいは文化全体との関わりでは重要性を増してくる、この時期の五山文学を概観したものなどの論考を収録。
第二部「各論 五山文学の表現」では、作品の生成の場や資料、作品そのものの読解と位置づけなどを論じる。
第三部「資料紹介・書評」では、一休の言説がその門弟らによって変形流布し、近世の一休像とつながっていくことを『自戒集』関連資料によって推測した「一休関係資料紹介―『自戒集』関連資料と『一休老和尚不審物』―」ほか、重要資料の解題・翻刻を収めた。
全体像を見渡し、細部にも注目する、五山文学研究の最前線。

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【著者紹介】

堀川貴司(ほりかわ・たかし)

1962年、大阪府生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。
東京大学(助手)、帝京平成大学、愛知県立女子短期大学・愛知県立大学、国文学研究資料館、鶴見大学を経て、現在、慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授。博士(文学)。
著書に『瀟湘八景―詩歌と絵画に見る日本化の様相』(臨川書店、2002)、『詩のかたち・詩のこころ―中世日本漢文学研究―』(若草書房、2006/【補訂版】文学通信、2023)、『書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む』(勉誠出版、2010)、『五山文学研究―資料と論考』(笠間書院、2011)、『続 五山文学研究―資料と論考』(笠間書院、2015)等がある。

【目次】

はじめに

第一部 総論 五山文学の歴史と広がり

第一章 五山文学における総集と別集─編成を中心に─
はじめに
一 総集(詩集)について
二 別集について(一) 偈頌と詩という視点からの概観
三 別集について(二) 横川景三の例
四 別集について(三) 琴叔景趣の例
五 別集について(四) 小規模詩集の例
おわりに

第二章 公家の学問と五山
はじめに
一 南北朝期
二 室町前期
三 室町中期
四 壬生雅久の活動
おわりに

第三章 壬生雅久の文事─「公家の学問と五山」補遺─
はじめに
一 横川景三との交流(1)
二 横川との交流(2)
三 万里集九・月舟寿桂との交流
おわりに

第四章 唐物としての書と書物─無学祖元を例に─
はじめに
一 書(墨蹟)の作品─「重陽上堂偈」─
二 書(墨蹟)の作品─「上堂語」─
三 書物(語録)
おわりに

第五章 五山版をどう考えるか
はじめに
一 五山版の定義について
二 禅籍─『勅脩百丈清規』を例として─
三 外典─『三体詩』を例として─
四 南北朝以前の状況
五 室町中期以降の状況
おわりに

第六章 室町後期の五山文学
一 概観
二 学問の集大成─抄物と類書─
三 地方への普及─学問と創作─
まとめ

第二部 各論 五山文学の表現

第七章 富士山像の変遷
はじめに
一 平安時代文学のなかの富士山
二 五山文学の始発─鎌倉後期(一三世紀半ば〜一三三三)
三 五山文学の確立─南北朝期(一三三四〜一三九二)
四 宋濂「賦日東曲」の伝来と影響
五 五山文学の安定─室町前期(一三九三〜一四六六)
六 五山文学の普及─室町中期(一四六七〜一五二五)
七 五山文学の解体融合─室町後期(一五二六〜一五七三)・安土桃山(一五七四〜一六〇三)
おわりに
付・江戸初期(一六〇四〜一六四三)

第八章 故事の利用─邵康節を例に─
はじめに
一 故事(一)花外小車
二 故事(二)天津橋の上で杜鵑を聞く
三 五山の作品での扱い方
おわりに

第九章 人物の受容─謝霊運を例に─
一 『錦繍段』の詩
二 逸話(一)
三 逸話(二)
四 逸話の利用
まとめ

第一〇章 画賛の表現─能楽に関わって─
はじめに─賛と画賛
一 禅宗との関わり
二 「観世小次郎画像」賛
三 宮増弥左衛門親賢画像賛
おわりに

第一一章 「観世小次郎画像(賛)」再考
はじめに
一 作品本文と読み下し
二 構成と典拠
三 内容の検討
四 諸本概観
おわりに

第一二章 五山僧侶の教養─古澗慈稽を例に─
はじめに
一 疏について
二 作品とその読解
三 典拠表現について
四 『膾余雑録』の逸話

第一三章 後陽成天皇時代の漢詩文─英甫永雄を例に─
はじめに
一 牧庵という人物
二 英甫永雄の法語
三 英甫の詩偈
おわりに

第一四章 『江湖風月集』注釈の展開─中世から近世へ─
はじめに─『江湖風月集』と『江湖風月集略註』─
一 『略註』の出版と近世における展開
二 近世注釈書のなかの中世
おわりに─「知」の交通と出版活動─

第三部 資料紹介・書評

第一五章 一休関係資料紹介─『自戒集』関連資料と『一休老和尚不審物』─
はじめに
一 『自戒集』関連資料
二 『一休老和尚不審物』

第一六章 『〔叔悦禅懌詩巻〕』解題と翻刻

第一七章 『〔文選聞書〕』解題と翻刻

第一八章 上村観光来簡集『交遊帖』解題と翻刻

第一九章 森大狂来簡集『列岳名匠尺牘』解題と翻刻

第二〇章 書評 川本慎自著『中世禅宗の儒学学習と科学知識』

初出一覧
あとがき
索引