日本近世文学会編『和本図譜 江戸を究める』(文学通信)
11月上旬刊行予定です。
日本近世文学会編『和本図譜 江戸を究める』(文学通信)
ISBN978-4-86766-025-6 C0095
B5判変形・並製・176頁
定価:本体1,900円(税別)
掲載図版200点超!
歴史のかなたにある遠いもの...と感じられがちな江戸の和本。身近に思えるよう、いままでになかった視点・着眼点から、写真で魅せていく和本のグラフ誌。48のキーワードから和本のいろはが総天然色で楽しめます。江戸時代の本がみなさんにぐっと近づいてくること請け合いです!
また研究の楽しさも伝える「研究のバックヤード」も掲載。7人の研究者に研究者がインタビューを試み、研究者の頭の中や、論文に秘められた面白さが解き明かされます。
間口は広く奥行きは果てしなくを合い言葉に作った、パラパラ眺めてもじっくり読んでも楽める、江戸の本と研究についての本。江戸時代の和本を身近に感じ、研究することの醍醐味に触れるために。底なし沼のオアシスはすぐそこです。本書から、はじめの一歩を踏み出してみてください!
本書の担当は以下。[全体統括・はじめに]木越俊介[第一部]天野聡一、有澤知世、門脇大、長田和也、速水香織、松永瑠成[第二部 interviewee]揖斐高、久保田啓一、篠原進、延広真治、原道生、深沢眞二、古井戸秀夫[第二部 interviewer]稲葉有祐、神林尚子、小財陽平、佐藤かつら、高松亮太、長谷あゆす、韓京子[第二部コーディネイター・用語集]石上阿希、木越俊介、佐藤至子、丸井貴史。
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【ページ見本紹介】
【編者紹介】
日本近世文学会(にほんきんせいぶんがくかい)
http://www.kinseibungakukai.com/
昭和26年12月、日本近世文学研究を促進しその発展に資することを目的として設立。研究発表大会の開催、機関誌『近世文藝』の発行(年2回)のほか、くずし字の読み方や和本を知ってらうための「出前授業」を実施している。平成17年度から、若年研究者(40歳以下)に、「近世文藝」登載の論考を対象として、「日本近世文学会賞」を授与している。
【執筆者】
[全体統括・はじめに]木越俊介
[第一部]天野聡一、有澤知世、門脇大、長田和也、速水香織、松永瑠成
[第二部 interviewee]揖斐高、久保田啓一、篠原進、延広真治、原道生、深沢眞二、古井戸秀夫
[第二部 interviewer]稲葉有祐、神林尚子、小財陽平、佐藤かつら、高松亮太、長谷あゆす、韓京子
[第二部コーディネイター・用語集]石上阿希、木越俊介、佐藤至子、丸井貴史
【目次】
はじめに―間口は広く、奥行きは果てしなく(木越俊介)
日本近世文学会とは
第一部 ビブリオグラフ和本
外ノ巻 outside
輝く●漆黒に輝く黄金の本
[『源氏物語蒔絵箱』国文学研究資料館]
目を惹く●愉しき、ジャケ買い。
[『草双紙書袋表紙貼込帖』『白縫譚』国文学研究資料館]
装う ●ザラリ、キラリ
[『絵本金花談』『柿本朝臣人麿勘文』『耳底記』『偏類六書通』『狂歌渓の月』『徂徠先生答問書』『古今畸人伝画像集』『俳諧御傘』『仙洞御添削百首』すべて国文学研究資料館]
厚い ●ずっしり、どっしり
[個人蔵]
おさめる●手のひらに、つつまれるように。
[『袖中本古今和歌集』個人蔵]
摺る●版木から和本ができるまで
[『春色辰巳の梅』・同版木 個人蔵]
直す●削って、埋める
[『艶郭通覧』東京大学国文学研究室/『傾城畸人伝』早稲田大学図書館/『高尾一代記』個人蔵/『店絃連弾』早稲田大学図書館]
縁どる●作品を彩る、〈飾り枠〉の世界。
[『天竺悳兵衛』『本朝酔菩提全伝』『昔話稲妻表紙』『青砥藤綱摸稜案』国文学研究資料館]
組む●共通点は何でしょう?
[『日本書紀』国立国会図書館/『徒然草』早稲田大学図書館/『曽我物語』国文学研究資料館]
交ぜる●印刷と手塗りのコラボレーション
[『曽我物語』国文学研究資料館]
白く●日本印刷史上屈指の美白
[『方丈記』国文学研究資料館]
うっすら●グレーゾーンに宿る超絶技巧
[『昔話稲妻表紙』神戸大学図書館/『善知安方忠義伝』専修大学図書館/『阿古義物語』関西大学図書館 中村幸彦文庫]
黒く●墨を際立たせる彫りと摺り
[『浮牡丹全伝』早稲田大学図書館]
彩る●幕末の人々が見た、色とりどりの「世界」。
[『万国舶旗図譜』筑波大学附属図書館]
仕掛ける●その絵をめくると......!?
[『本朝酔菩提全伝』国文学研究資料館]
みひらく●冊子で味わう、一枚の芸術。
[『狂歌百千鳥』ほか、『光琳画譜』国文学研究資料館]
撚る●たとえ筆と墨が無くとも......!
[『平野国臣像』『平野国臣紙撚文書』京都大学]
踊る紙面●まるでAR(拡張現実)
[『六帖詠藻』国文学研究資料館、『鬼児島誉仇討』専修大学図書館、『偐紫田舎源氏』国立国会図書館]
叱られる●不自然な空白の理由(わけ)―「アウト!」は六十年後
[万宝全書(元禄七年版)国文学研究資料館/万宝全書(明和七年後印)個人蔵/個人蔵『御成敗式目絵鈔』個人蔵]
書き入れる●生々しい思考の痕跡
[『伊勢物語』国立国会図書館]
複製する●微妙だけど確かに違うこの復元をみよ
[内閣秘伝字府(万治二年版) 個人蔵/内閣秘伝字府(正徳二年版)]
見極める●違いに気づいた学者たち
[『改算記大成』元禄六年版 元禄十三年版 東北大学附属図書館、『伊勢物語』木下甚右衛門版 菊屋七郎兵衛版 東京都立中央図書館]
捺す●古典籍に捺された所蔵者たちの痕跡
[『諸家蔵書印一覧』国立国会図書館蔵]
遺る●文豪の、江戸と地続きの読書生活
[『皋鶴堂批評第一奇書金瓶梅』東京大学総合図書館鷗外文庫、『新編金瓶梅』早稲田大学図書館、『鷗外森林太郎』国立国会図書館デジタルコレクション]
内ノ巻 inside
信仰する●行きつく先は、神頼み。
[『伊勢参宮名所図会』国文学研究資料館、『御蔭参文政神異記』徳島県立図書館森文庫]
占う●ついつい頼りにしちゃうんです。
[『人相小鑑大全』、『元三大師百鬮和解』京都大学附属図書館]
詠む●詩中に画有り、画中に詩有り
[『百人一首像讃抄』『唐詩選画本』早稲田大学図書館]
にらむ●市川團十郎歴代お目見え!
[『古今俳優似顔大全』国立国会図書館]
遷る●鉢かづき姫十三変化
[『稗史億説年代記』国立国会図書館/『契情お国哥舞妓』早稲田大学図書館]
華やぐ●さてさて、けふは何して遊ばうか─
[『日用雑録/婦人珠文匣』、『源氏物語画帖』国文学研究資料館]
役立つ●しらなきゃ困る「女の嗜み」
[『女重宝記』国文学研究資料館]
嗜む●煙草を通して見る世界
[『蔫録』早稲田大学図書館]
身体をはる●はい、注目!
[『腹筋逢夢石』専修大学図書館、『踊獨稽古』国立国会図書館、『於都里伎』早稲田大学]
笑う●神も人も化物も
[『福神黄金水』日本銀行金融研究所貨幣博物館、『かつらかさね』国立国会図書館、『於吹島之館直之古狸退治図』国際日本文化研究センター/『傾城禁短気』『浮世風呂』『東海道中膝栗毛』いずれも国文学研究資料館]
謎の生物●新種発見!
[『化物大江山』『無益委記』『化物和本草』『龍宮羶鉢木』『箱入娘面屋人魚』東京都立中央図書館加賀文庫/『見立百化鳥』国文学研究資料館]
文字絵●文字? それとも絵?
[『新法狂字図句画』立命館大学付属図書館/『奇妙図彙』東京大学附属駒場図書館/『奇樹金のなる木』国際日本文化研究センター/『新文字ゑつくし』国立国会図書館/『文字の智画』国立国会図書館/『新法狂字図句画』立命館大学付属図書館]
まねぶ●反復練習あるのみ
[『人物草花魚貝略画』国文学研究資料館、『略画早指南』同上、『鳥獣略画式』同上、『画筌』早稲田大学、『小野篁哥字づくし』神戸大学]
育てる●花咲くまでの長き日々
[『菊花壇養種』国立国会図書館]
切り開く●体の中は?
[『房事養生鑑』『飲食養生鑒』国際日本文化研究センター/『解体新書』国文学研究資料館]
鑑定する●右手に現物、左手に書物
[『新撰古筆名葉集』『古今墨蹟鑑定便覧』『古今銘尽』『古今銘尽合類大全』(『万宝全書』のうち)早稲田大学図書館]
窮める●地球は動いている!
[『遠西観象図説』、『刻白爾天文図解』ともに早稲田大学図書館]
夢みる異国●ここはどこ?
[『白縫譚』国文学研究資料館]
網羅する●紙面のなかの小宇宙(森羅万象)
[『薩摩鳥譜図巻』『外国珍禽異鳥図』『潮干のつと』『魚貝譜』国立国会図書館/『画本虫撰』『北越雪譜』国文学研究資料館]
ひきうつす●本を標本する
[『光琳畫譜』国文学研究資料館/『昔話稲妻表紙』神戸大学付属図書館/『近世奇跡考』国文学研究資料館/『骨董集』国文学研究資料館/『花街漫録』個人蔵]
デザインする●めくるめく、江戸のデザインブック。
[『手拭合』国文学研究資料館、『御ひいなかた』お茶の水女子大学図書館、『小倉山百首雛形』武雄市歴史資料館、『雛形曙桜』お茶の水女子大学図書館、『小紋雅話』国文学研究資料館、『今様櫛きん雛形』国文学研究資料館、『小紋雅話』国文学研究資料館]
江戸の艶●うつくしき
[『夜の梅』メトロポリタン美術館/『風俗四季歌仙・水無月』国立国会図書館/『紅葉舞美人』東京国立博物館/『雪中相合傘』ボストン美術館]
旅する●旅に出よう、本を片手に。
[国文学研究資料館蔵『木曽路名所図会』『岐蘇路安見絵図』『東海木曽 両道懐宝図鑑』/『続膝栗毛』八篇上]
寿ぐ●めでめで、たしたし。
[鍬形惠斎『江戸名所図会』福生市郷土資料室、『四時交加』国立国会図書館、『御誂向鼠嫁入』「〔井戸端の美人〕」すみだ北斎美術館、『腹之内戯作種本』国立国会図書館]
第二部 研究のバックヤード
古井戸秀夫氏に聞く
●歌舞伎の深層にどう入り込むのか 実証的調査に基づく着想
interviewer=佐藤かつら
夢はいったいどこで見るのか/他人の魂が夢の中に入り込み、夢を見させられる/亡魂は遺骸にとどまる/女の心が見た、男の体のなかでの夢/女形の「額の生え際」から女形の役柄の変遷を見通す/若女形の役柄の開拓と、生え際の表現との闘いの歴史/資料博捜の絶え間ない努力と、秀逸な発想/学会へのメッセージ
延広真治氏に聞く
●江戸と明治の落語を追って 烏亭焉馬「咄の会」と三遊亭円朝の欧米小説翻案物
interviewer=神林尚子
①「咄の会」をめぐって─烏亭焉馬の足跡/研究のきっかけ、執筆中の思い出/「世紀の大発見」・焉馬自筆『太平楽巻物』/落語との出会い――幼少期からの足跡/②「英国孝子之伝」と"Hard Cash"─円朝の翻案物/円朝の翻案の手法―「骨格」と肉付け/以後の典拠発見と、円朝研究の「新時代」/翻案物と怪談咄の魅力――変転する時代と落語/おわりに――未来へのメッセージ
深沢眞二氏に聞く
●パラダイム・チェンジを起こす 文学史・俳諧史を三次元で考える
interviewer=稲葉有祐
俳諧は笑いであり、滑稽だ/この句を巡って一体何が起こっていたのか/藤原清輔『袋草紙』「井堤の蛙の干物」のパロディ?/「古池や」句による数寄者・風狂者の宣言/晩年に改められる句の理解/固定的な読みからの解放/和漢俳諧を、和漢聯句史の中に位置付け直す/芭蕉が手の届かなかった世界、和漢聯句を見るビジョン/複数テーマをクロスさせる研究
揖斐高氏に聞く
●人間の営みを深く掘り下げる 柏木如亭論はこうして実を結んだ
interviewer=小財陽平
柏木如亭はライフワークではない?/江戸漢詩との出会い/普遍的な詩として/倦怠と憂鬱/儒学的枠組みの功罪/『木工集』という書名/黙斎をめぐって/評論的な解釈/自己の問題として/日本近世文学会に向けて
篠原進氏に聞く
●入念な調査と独自の推論で導く「答え」 西鶴の創意工夫をどう解き明かすのか
interviewer=長谷あゆす
はじめに/若き日の篠原氏/『好色一代女』とは/謎解きの魅力/一代記としての読み/論文の執筆動機/研究の原動力/おわりに
久保田啓一氏に聞く
●江戸の人間に近づく材料はふんだんにある 歌壇研究・和歌研究のその先へ
interviewer=高松亮太
堂上派歌人を抜きにして近世和歌は語れない/卒業論文―「雅」への問題意識が芽生える/偏った歌壇史にゆさぶりをかける/近世中期以降の江戸歌壇史を捉え直すための一歩/俗文芸も含めた文化の裾野が見えてくる/人間を見据えずに文学を語れるだろうか
原道生氏に聞く
●芝居が見たくなる論文 近松浄瑠璃の作劇の妙
interviewer=韓京子
近松とその作品を、生きた形で捉えたい/異質の二世界分かつ戸口/現代にも通じる深みや柔軟性を持つ作劇/「真の価値ある本当の自分」を取り戻したいという願望/「明るいやつし」から「暗いやつし」へ/近松の洞察力と暗い世相/日本近世文学会へのメッセージ
用語集
参考文献一覧
デジタル画像出典一覧
執筆者一覧