瀧田 浩『武者小路実篤文学の構造と同時代状況』(文学通信)

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3月上旬刊行予定です。

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瀧田 浩『武者小路実篤文学の構造と同時代状況』(文学通信)
ISBN978-4-86766-032-4 C0095
A5判・上製・504頁
定価:本体4,000円(税別)


これからの新しい武者小路実篤の文学像のために。
武者小路文学における構造と同時代の社会・文壇に焦点を当て、精密に分析・調査する書。
相反する、あるいは無関係なベクトルが断片的に存在・交錯しているようにしか見えない作品について、テクスト分析や同時代資料の活用により「構造」を取り出して示すことで、読者がその見取図を参照しながら、それぞれの作品・資料の固有の意味を理解できるようにする。
第Ⅰ部 武者小路実篤文学の構造と同時代の状況、第Ⅱ部 『白樺』派文学への新視角、第Ⅲ部 英文論文、で構成。

【書名に掲げた「構造」とは、作品の構造と、同時代における諸言説と文学テクストとの関係性という二つを主に念頭に置いたものである。研究が共有されるリソースであるならば、文学研究ももっと「構造」的で明解であってよいというのが私の考えである。相反する、あるいは無関係なベクトルが断片的に存在・交錯しているようにしか見えない作品について、テクスト分析や同時代資料の活用により「構造」を取り出して示すことで、読者はその見取図を参照しながら、それぞれの作品・資料の固有の意味を理解できるようにするというのが、私の研究の流儀と言うことができるかもしれない。】......序より

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【著者紹介】

瀧田 浩(たきた・ひろし)

二松學舎大学教授(文学部 国文学科)。専門は日本近代文学、文化研究。著書・論文に「武者小路実篤「人間万歳」と人類/動物表象―ポスト・ヒューマニズム/アニマル・スタディーズの観点から―」『有島武郎研究』26(2023年5月)、 「武者小路実篤「友情」の周辺―一九一九(大正八)年の新聞連載小説として―」『さいたま文学館紀要』2(2022年4月)、「夏目漱石が『こころ』を朗読する時―アンドロイドによる文学教育の試み―」『二松学舎大学人文論叢』103(2019年10月)、「六〇年代詩と七〇年前後のポップスの状況―渡辺武信と松本隆を中心に―」『敍説』Ⅲ期9号(2013年3月)など。


【目次】

はじめに

第Ⅰ部 武者小路実篤文学の構造と同時代の状況

第一編 第一創作集『荒野』にみる〈文学〉生成の過程

第一章 『荒野』の時点―トルストイ主義と文学―
はじめに
1 トルストイ主義の曲線
2 『荒野』の時点―拮抗する文学―

第二章 「解決の文学」としての『荒野』―若きトルストイアンの本―
1 一九〇八年の文壇の状況と「概念的人間」の文学
2 〈トルストイ主義文学〉の成功と訣別

第二編 『白樺』創刊前後における創作方法の転回

第三章 『荒野』後の状況―散逸小説「楽天家」を中心に―
1 『荒野』後の小説としての「芳子」―主観の露出と感情の噴出―
2 「三百枚」の「楽天家」
3 原「お目出たき人」としての「楽天家」―「旧稿の内より(潔の日記)」を媒介に―

第四章 「それから」受容と歪んだ三角関係―「生まれ来る子の為に」と「ある家庭」をめぐって―
1 三角関係の物語としての「それから」の発見
2 歪んだ欲望の三角形の物語―「生れ来る子の為に」と「ある家庭」―

第三編 第二創作集『おめでたき人』発表当時の文壇状況と戦略

第五章 「お目出たき人」論の前提―〈主観〉の文壇・よそおいのイヒロマン―
1 〝沈滞〟の文壇と〝主観〟の流行―命題とモードとしての創作主体―
2 志賀ノートの〝重見〟と武者小路の創作論―形式的‐主観的イヒロマンの位相―
3 「よそおい」のイヒロマン―技巧の〈主観〉・思想主体の〈作者〉―

第六章 『おめでたき人』という回路―仰視と俯瞰の技法―
はじめに
1 単行本『おめでたき人』の〈語り手〉―変則的な枠物語の案内者―
2 虚構の一人称としての「自分」―序文の「自分」と「お目出たき人」の「自分」―
3 附録作品群における仰視と俯瞰―入子型の構造と循環の機構―
4 仰視と俯瞰の変移―世間への反発から、恋人への憧れへ―
5 「目の翼」と「熊と妖精」―『おめでたき人』の意匠と語り手―

第四編 初期戯曲作品における〈自己主義〉再考

第七章 「或る日の一休」論―すでに捨てていて、そして駆ける―
1 「貧のぬすミは偸盗戒にハあらず」を受け継ぐ思想
2 悲劇の時代の憂愁を振り払う〈風〉

第八章 「その妹」論―戦後受容の問題と障害学の観点から―

はじめに
1 戦後における上演劇の受容と「エゴイズム」・「ヒューマニズム」観の混乱
2 自己を生かせぬエゴイストたちのうめき
3 障害者と「その妹」における自己観の接点

第五編 長編非戦戯曲「ある青年の夢」の同時代状況と構造

第九章 「ある青年の夢」論の前提―非戦文学の評価と同時代の非戦言説をめぐって―
1 同時代評における非戦という視点の不在
2 人道主義の戦争反対から相対的反戦論まで
3 中国における非戦論受容と大正的言説のひび割れ
4 第一次大戦時の非戦言説

第一〇章 「ある青年の夢」論―宙吊りの非戦文学―
1 同時代ヨーロッパ文学と「ある青年の夢」―ロマン・ロランとモダニズム文学を参照して―
2 「ある青年の夢」の構造―入子型の構造とイデオロギーの多層化―
3 イデオロギーを錯綜させたままの「芸術」―宙吊りの非戦論―
4 神と女神を若い男と女が演じるということ―劇中劇と「内側の観客」の機能―
5 「ある青年の夢」のリアリズムー―修正原稿にみえるナショナリズムへの配慮―

第六編 新しき村在村期に書かれた代表作品再考

第一一章 「友情」の周辺―一九一九(大正八)年の新聞連載小説として―
はじめに
1 一九一九年の武者小路実篤と「友情」
2 一九一八年の「野島先生の夢」
3 需要過剰の文学市場と熾烈な新聞拡販競争の時代に
4 薄田泣菫新設の『大阪毎日新聞』創作欄
5 『大阪毎日新聞』寄稿をめぐる薄田泣菫宛書簡
6 新聞連載の状況と単行本との異同

第一二章 「人間万歳」と人類/動物表象
―ポスト・ヒューマニズム/アニマル・スタディーズの観点から―

1 隣の宇宙から人類を俯瞰し相対化する―覚醒・滅亡・余興の祝福―
2 人類の絶滅を思考する―ポスト・ヒューマニズムとの接点―
3 アニマル・スタディーズと武者小路の「慾望」観―動物の他者化と包摂―
4 武者小路の動物表象の問題―言語の失効の可能性―

第七編 戦中期における東洋思想への傾斜の問題

第一三章 武者小路実篤と漢学―勘解由小路家・高島平三郎からの影響と『論語私感』―
1 武者小路実篤の生涯と儒道の家としての勘解由小路家
2 高島平三郎の武者小路実篤への影響
3 『論語私感』にみる武者小路実篤の変化

第一四章 武者小路実篤と仏教―『維摩経』が書かれた「仏教復興期」をめぐって―
1 昭和九年の文壇から遠く離れて
2 「仏誕二千五百年」としての昭和九年
3 大東出版社『仏教聖典を語る叢書』の〈看板〉執筆者として
4 武者小路実篤『維摩経』―大乗仏教の思想と武者小路の思想―
5 昭和九年の仏教界における問題系
6 ラジオ番組「聖典講義」と『仏教聖典を語る叢書』
7 真理運動の武者小路との接点と三木清による仏教復興批判

第Ⅱ部 『白樺』派文学への新視角

第一章 里見弴「かね」論―貨幣蒐集と欲望―
1 動機なき行動者の時空―イニシャルの場所・半現実の時間―
2 中沢新一の「小僧の神様」解釈をめぐって―Aと「作者」の純粋贈与―
3 欲望なき貨幣へのフェティシズム―騙されない者はさまよう―
4 自意識なき純粋贈与の可能性―媒介形式の問い直しの時代に―

第二章 〔資料紹介〕『有島武郎全集』未収録・有島武郎の志賀直哉宛書簡
―原田喬氏より白樺文学館への寄贈資料―

はじめに
1 書簡翻刻
2 注解
3 本書簡の所蔵について

第三章 本多秋五の〈野性〉と〈後退〉―「『白樺』派の文学」への接近―
はじめに
1 本多秋五の〈柔かい心〉という問題
2 トルストイ「ハジ・ムラート」の〈野性〉
3 一九四九年における近代主義批判と〈古典的ヒューマニズム〉
4 鶴田知也「コシャマイン記」・宮本百合子「古き小画」と〈野性〉
5 〈野性〉と『白樺』派への〈後退〉

第Ⅲ部 英文論文

 Mushakōji Saneatsu's Early Works and the Historical Role of Civilization: Structure of "Pure Inner Space"

初出一覧
あとがき
参考文献一覧
索引