前田雅之『なぜ古典を勉強するのか 近代を古典で読み解くために』(文学通信)

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6月上旬の刊行予定です。

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前田雅之
『なぜ古典を勉強するのか 近代を古典で読み解くために』
ISBN978-4-909658-00-5
C0095
四六判・上製・336頁
定価:本体3,200円(税別)





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電子(個人向け)●前田雅之『なぜ古典を勉強するのか 近代を古典で読み解くために』(電子版/PDF) 価格 \3,456(税込)

電子(図書館向け)●前田雅之『なぜ古典を勉強するのか 近代を古典で読み解くために』(電子版/PDF)

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「昔の人は教養があったのか」「注釈学事始め」を期間限定全文公開(2018.7.16)
https://bungaku-report.com/blog/2018/07/post-217.html

「「日本共産党」の古典的意義 」「藤原俊成の古典意識―生き、活動する原点にあるものとは」を期間限定全文公開(2018.7.19)
https://bungaku-report.com/blog/2018/07/post-223.html

「日本人論を終わらせるために――優越感なる劣情からの脱却」を期間限定全文公開
https://bungaku-report.com/blog/2018/07/2-2018227130016455.html

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なぜ古典を勉強するのか。私たちが生きるこの時代は、古典的教養とは不要なものなのであろうか。過去とつながっている、今この時代を読み解く、実践的古典入門。全体を「古典入門」、「古典で今を読み解く」、「古典と近代の歴史を知る」に分け、レクチャー。「近代を相対しうる最も強力な装置が古典である」という著者の思想のもと、今とつながっている古典文学の新しい見方を次々と繰り出し、読む者の視界を広げ、古典を勉強する意義を伝える、刺激的な書。

【大きく断絶しているとはいえ、我々の言葉は過去と繋がっているといった意味で、古典的世界=前近代社会の延長にある現在に生きていることも否定できない事実としてある。古典と近代を相互批判しながら、古典的世界を破壊した近代を批判し評価していくことを通して、より新鮮な気持ちで古典的世界、と同時に近代的世界と対峙することが可能となるのではないか。その先にはまだ見たことのない世界像が立ち現れるのではないか、勉強をしていて何が快感か。世界像なるものが見えるような線がうっすらと浮かんで来る時である。】

【著者紹介】

前田雅之(まえだ・まさゆき)

1954年生まれ。1979年、早稲田大学教育学部国文科卒。1987年、同大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程を単位取得退学退学。東京女学館短期大学教授、東京家政学院大学人文学部教授を経て、現在、明星大学人文学部日本文化学科教授。専門は古典学。
著書に、『今昔物語集の世界構想』(笠間書院、1999年)、『記憶の帝国 「終わった時代」の古典論』(右文書院、2004年)、『古典的思考』(笠間書院、2011年)、『古典論考 日本という視座』(新典社、2014年)、『アイロニカルな共感 近代・古典・ナショナリズム』(ひつじ書房、2015年)、『保田與重郎 近代・古典・日本』(勉誠出版、2016年)など。
編著に、『〈新しい作品論〉へ、〈新しい教材論〉へ 古典編』(共編、右文書院、2003年)、『中世の学芸と古典注釈 中世文学と隣接諸学5』(編著、竹林舎、2011年)、『アジア遊学 もう一つの古典知 前近代日本の知の可能性』(編著、勉誠出版、2012年)、『高校生からの古典読本』(岡崎真紀子、千本英史、土方洋一共編著、平凡社ライブラリー、2012年)、『幕末明治 移行期の思想と文化』(青山英正、上原麻有子共編著、勉誠出版、2016年)などがある。

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★前田雅之・CiNii論文検索結果(本文あり)はこちら

【目次】

はじめに―勉強をしていて何が快感か

  1―研究者としての生き方から
  2―西洋的思考と論理では歯が立たない世界
  3―どうして非近代的=非論理的な古典世界を勉強するのか
  4―勉強をしていて何が快感か

Part.1 古典入門 その1...教養と伝統の世界を知る

1 昔の人は教養があったのか
  1―いつも言われる若者批判を糸口にして
  2―旧制高校生は凄いか
  3―江戸時代・中世の人は教養が深かったか
2 注釈学事始め
  1―注釈とは学問である
  2―日本四大古典
  3―実際の注釈を見る
3 古典的公共圏とは何か―和歌が滅びなかった秘密
  1―公共圏とは
  2―代表具現的公共圏の内実
  3―古典的公共圏と和歌
4 伝統の作られ方
  1―ロッカーの出で立ちから分かること
  2―伝統の起源
  3―作られたものとしての伝統
  4―徂徠の「道」論

Part.2 古典で今を読み解く その1...歴史・伝統・古典

1 「日本共産党」の古典的意義
  1―日本人にとって思想やイデオロギーは倫理に他ならない
  2―「日本共産党」、その不寛容の伝統と根拠
  3―日本の伝統から生まれた「日本共産党」
2 アメリカ、「新大陸」における伝統とは何か
  1―dreamが妄想ではない国
  2―知性主義が駆逐されたアメリカ
3 天皇制度を永続させるために
  1―天皇制度のア・プリオリ性
  2―前近代における「譲位」事情
  3―「譲位」禁止と天皇制度の行方
4 品格ある二等国になること
  1―江戸の保守主義
  2―日本の「元」を見出すしかないか
5 日本における国・国民・国民主義―対抗原理なき国民主義は可能か
  1―中世までの世界像―和漢と三国
  2―対抗原理なき国民主義は可能か
6 日本人論を終わらせるために―優越感なる劣情からの脱却
  1―近代日本の「欧化」と「国粋」
  2―優劣感からの脱却するために
7 日本・日本人はどこにも行かないだろう
  1―凡人が治める国と怪物が治める国
  2―日本における自立の仕方
8 成績という文化―近代のアイロニー
  1―成績というもの
  2―作家と成績
  3―成績優秀者たちの集団―陸軍

Part.3 古典入門 その2...和歌と文化の厚みを知る

1 和文にスタンダードはあったのか―和歌のあり方とは
  1―文字と表記
  2―スタンダードとしての漢文とスタンダードがない和文
2 藤原俊成の古典意識―生き、活動する原点にあるものとは
  1―一人歩きした俊成の言葉
  2―俊成の明確な古典意識の理由
3 アヴァンギャルドと伝統―孤語「ゑごゑご」考
  1―源頼政の昇進と和歌
  2―頼政の父仲正とその和歌
  3―仲正歌の特異性と狙い
4 文化の厚みを知る方法―明星本『正広自歌合』をめぐって
  1―正広という歌人
  2―明星大学本『自歌合』
  3―明星本『自歌合』の広がり

Part.4 古典で今を読み解く その2...戦乱・和歌・古典

1 古典・和歌は平和の産物ではない
  1―戦争の起こり方
  2―内乱・戦争・権力闘争と古典・和歌の親和性
2 乱世到来、いよいよルネサンスだ
  1―戦争のもたらした恐怖の共有
  2―戦争と文化創造
  3―とはいえ、平和は続かない
3 破局・古典・復興―精神の危機を乗り越えるために
  1―古典と戦乱の親和性
  2―経済縮小と国民意識の転換
  3―近代の宿痾としての原発

Part.5 古典と近代の歴史を知る

1 国文学始動元年、明治二十三年の夢と幻滅―国学・国文学・井上毅
  1―問題の所在
  2―国文学の始動(1)―田口卯吉と国学者たち―
  3―国文学の始動(2)―東大文学部系国文学者の動向
  4―おわりに―井上毅の夢の行方―
2 古典と出会う、戦時・戦中という時空―清水文雄『戦中日記』を読む
  1―戦中日記というもの
  2―『戦中日記』の三つの柱
   1 文学活動
   2 教育活動
   3 時局に対する思い
 3―おわりに
3 研究者共同体と大衆文化―その歴史と国文学の人畜無害化
  1―はじめに―研究者共同体の解体
  2―近代日本における研究者共同体の形成と展開
  3―研究者共同体と大衆社会
  4―おわりに

初出一覧
あとがき