鈴木宏子『「古今和歌集」の創造力』(NHKブックス1254)

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鈴木宏子氏より頂きました。

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発売日:2018/12/25
出版社: NHK出版
レーベル: NHKブックス
ISBN:978-4-14-091254-6

「日本的美意識」誕生の秘密に迫る画期的論考

なぜ梅にはウグイスなのか。なぜ秋は悲しいのか──。あらゆる詩歌や文学的感受性の〈型〉を創りあげた『古今和歌集』。第一線の古典和歌研究者が、レトリックと配列の緻密な分析から、天才編集者・紀貫之の企図を大胆に読み解く。

【目次】

はしがき

序章 現代につながる「こころ」と「ことば」
しづ心なく花の散るらむ/万葉集と古今集/和歌史の中の古今集/正岡子規の痛罵/子規に残る古今集的感性/「早春賦」を遡る 大正から昭和へ/「夢で逢えたら」 昭和から平成へ/私たちの中の古今集

一章 千百年前の編集者・紀貫之 歌集の〈型〉を創造する
一 成立をめぐる謎
紀貫之の高揚、失われた原本と「定家本」/二つの序と編纂の階梯/位よりも才能/中心人物は紀貫之だった
二 紀貫之は、〈型〉を創る
歌人であり編集者/批評家・紀貫之/四季と恋との二本の柱

二章 移ろう時と「こころ」 理想的な四季を創造する
一 四季歌の世界 巻一から巻六まで
歳時記の原型/四季の節目を捉える/景物を組み合せる/「あるべき」景物の不在/花を「隠す」霞/秋の情感/理想的な四季を創造する「ことば」と「こころ」/変わる心と不変の自然/歌を配列する
二 賀歌・離別歌・羇旅歌・物名歌 巻七から巻十まで
人生を寿ぐ賀歌/離別歌と羇旅歌/高度なことば遊び/仮名の獲得と歌の変貌/貫之の筆跡

三章 センチメンタルな知性 恋の顛末を創造する
一 恋歌の世界 巻十一から巻十五まで
恋情も論理の中に/恋のきっかけ 恋一冒頭歌群/物に寄せるか、心を語るか/古今集の人間観/夢・涙・死 恋ニ/初めての一夜とその前後 恋三/「よひ」から「よなか」ヘ/「あかつき」の別れ/「あした」 禁忌に触れる恋/「飽かず」 逢ってのちに募る恋心/浮き名に悩まされ/熱愛から別離まで 恋四/手紙を返す/失われた恋の追憶 恋五/飽きられ、忘れられて 恋の終焉/歌集の論理と歌の生理/配列イコール解釈/恋歌の時間と、〈型〉 恋四と恋五/男と女の中立性/求める男と待つ女/恋の世界の相対化 恋五巻軸歌
二 哀傷歌・雑歌・雑躰・大歌所御歌 巻十六から巻二十まで
死を悼む哀傷歌/生活感覚の基調をなす雑歌/母と子の情愛/人の世の生きがたさ/スタイルの多様性/声に出して歌う

四章 レトリックの想像力 見えないものにかたちを与える
一 枕詞・序詞。
古典和歌と短歌を分かつもの/枕詞の定義/創作的枕詞/序詞の定義/場から「ことば」を汲み上げる
二 掛詞・縁語
超絶技巧「かきつばた」/縁語はことばのコーディネート/創造を支えることばのネットワーク/恋歌の中の海/瀬に? 銭?
三 見立て
ルーツは俳諧用語/和歌における見立て/二種類の見立て/本当は似ていない/見立ての達人・貫之/貫之の「こころ」と「ことば」

五章 古今集の百年 和歌史を創造する
一 古今集歌の三つの位相
古今集の領分/三つの時期区分/三つの位相
二 唐風謳歌時代から六歌仙時代へ
唐風謳歌時代/六歌仙時代
三 在原業平の「こころ」と「ことば」
権力から遠ざけられた貴種/社交の場で歌う/在原氏と紀氏/貫之の敬慕/「こころ」余りて「ことば」足らず/疑問か? 反語か?/代悲白頭翁の〈型〉/月から春への飛躍/たった一つ、たしかな我が身/業平は〈型〉を破る
四 小野小町と僧正遍昭
六歌仙の紅一点/贈答歌のウィット/エリート官僚から出家歌人へ/聖と俗のあわい/古今集の中の「個」
五 「よみ人知らず」 古今集の基層の歌
「作者不詳」の真意/万葉集との重出歌/「恋もするかな」 万葉から古今へ/秋はどうして悲しいのか/浸透する漢詩文/かぐわしい古今集/花たちばな現象/古歌の想像力

終章 文学史の新しい頁を開く
一 古今集前夜
和歌を愛好する宇多天皇/和歌と漢詩を対にする/遊宴で和歌を楽しむ/寛平期の限界
二 古今集誕生。
「延喜の治」の文化事業/自立する和歌/貫之の予言

あとがき
主要参考文献