東アジア恠異学会 第 119 回定例研究会(2018年 9月15日(土)13時〜、園田学園女子大学第2会議室(1号館2階))

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
http://kaiigakkai.jp

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【第 119 回定例研究会】
日時:2018年 9月15日(土)13時〜
会場:園田学園女子大学第2会議室(1号館2階)

内容:
○ 礼説のはじまり--禘祭を例として--
佐藤信弥(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所 客員研究員)
【要旨】
『論語』八佾には、「子曰く、「禘は既に灌して自り往は、吾れ之れを觀るを欲せざるなり」と」「或るひと禘の説を問う。子曰く、「知らざるなり。其の説を知る者の天下に於けるや、其れ諸れを斯に示るが如きか」と。其の掌を指す」と、孔子が「禘」という祭祀について述べた箇所が二つある。
どうして孔子はこのような発言をしたのだろうか。禘祭は『論語』や『春秋』経伝、『礼記』といった伝世文献のほか、甲骨文と金文にも見える。本報告では殷代甲骨文、西周金文、孔子と同じ時代にあたる『春秋』経伝での禘祭の記録、そして戦国期以後に成立の『礼記』などに見える解説といった具合に、禘祭に関する記述を時代順に見ていくことで、孔子が禘祭について発言した背景を探ることにしたい。

○子彈庫「楚帛書」に見える災異説について
笠川直樹(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所 客員研究員)

【要旨】
「楚帛書」と呼ばれる一枚の帛は、1942年9月長沙子彈庫戦国期木椁墓から盗掘されたのち幾人かの手を経て、現在Sackler Gallery(ワシントン) に蔵されている。一見掛け物のようにも見える帛書の尺寸は長さ38.76cm,寛さ47cm。
帛書の内容は、楚の神話傳說を記す八行文,四時の運行と災異を説く十三行文。月令禁忌を記す十二の外辺の文章の三部分に分かれている。また、四周に描かれた十二個の繪は怪異神像と言われている。
発現以来注目を集め、75年余りの間に多くの論著が発表されてきた。そのうちの一つ、李零『子彈庫帛書』(文物出版社, 2017.1) は最も新しい大冊であるが、十三行文中のキーワードといえる「歳」字について、釋文(45頁)の中で次のように言う。
前人は多くこの篇(十三行文)を「太歲(木星)」に関わる天象をもちいて解釈してきたが、日月星辰を除いて、従前考察された「天梪、李星、歳星、参星」等の星の名は当たらない。
李零氏は再検証と言うのみで、論拠をあげてはいないが、前漢初期の孔家坡漢簡《日書》中に、木星の運行とは関りなく、五行及び五行への配物、五時、四時を説く「歳」篇があり、「楚帛書」中の「歳」字との意味的相似が指摘されている。
今回「楚帛書」十三行文を、「歳星紀年の天文書」ではなく、前漢初期の資料を参考にしながら、「災異説明書」として読み直してみたい。

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