飯倉洋一・盛田帝子編『文化史のなかの光格天皇 朝儀復興を支えた文芸ネットワーク』(勉誠出版)

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飯倉洋一氏・盛田帝子氏より頂きました。

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ISBN978-4-585-29166-4
刊行年月 2018年6月
判型・製本 A5判・上製 408 頁
定価 8,640円 (本体8,000円)

版元公式サイト
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100889

【天皇をめぐる文化体系は、いかに復古・継承されたのか―
政治的・社会的状況が混迷しつつあった江戸時代後期、神事・朝儀の再興と復古に尽力し、歴代最後の「生前退位」を行った光格天皇。
近代天皇制の礎を築いたとされるその営みの淵源・背景にある文化体系・歴史的状況はいかなるものであったのか。
天皇を中心に形成された歌壇とそこで培われた人的ネットワーク、そして、文化の継承・展開を支えた学芸と出版を歴史的に把捉することで、光格天皇、その兄である妙法院宮真仁法親王の文化的営みの意義を明らかにする。

*光格天皇(こうかくてんのう)とは...
第119代天皇。在位、安永八(1780)年11月25日~文化十四(1817)年3月22日。
今上天皇直系の閑院宮家から出た初代の天皇。生前退位をした歴代最後の天皇としても知られる。
好学としても名高く、朝廷の復権を願い、神事・朝議の復古・再興に力を入れ、近代天皇制の礎を築いた。】

■目次

序言(盛田帝子)

緒論
光格天皇をどうとらえるか(藤田覚)

第一部 近世歌壇における天皇公家
後水尾院と趣向(大谷俊太)
霊元院の古今和歌集講釈とその聞書―正徳四年の相伝を中心に(海野圭介)
冷泉為村と桜町院(久保田啓一)
孝明天皇と古今伝受―附・幕末古今伝受関係年表(青山英正)
武者小路実陰家集の二系統について―堂上〈内部〉の集と〈外部〉の集(浅田徹)
香川黄中の位置(神作研一)

第二部 朝廷をめぐる学芸・出版
『二十一代集』の開板―書肆吉田四郎右衛門による歌書刊行事業の背景(加藤弓枝)
『大日本史』論賛における歴史の展開と天皇(勢田道生)
中村蘭林と和歌―学問吟味の提言と平安朝の讃仰(山本嘉孝)
江戸時代手習所における七夕祭の広がりと書物文化(鍛治宏介)
書道大師流と近世朝廷(一戸 渉)
梅辻春樵―妙法院宮に仕えた漢詩人(合山林太郎)

第三部 光格天皇・妙法院宮の文芸交流
寛政期新造内裏における南殿の桜―光格天皇と皇后欣子内親王(盛田帝子)
実録「中山大納言物」の諸特徴―諸本系統・人物造型を中心に(菊池庸介)
冷泉家における光格天皇拝領品(岸本香織)
妙法院宮真仁法親王の文芸交流―『妙法院日次記』を手がかりとして、和歌を中心に(飯倉洋一)
小沢蘆庵と妙法院宮真仁法親王(鈴木淳)
千蔭と妙法院宮(山本和明)

あとがき(飯倉洋一)
執筆者一覧

■編著者プロフィール
飯倉洋一(いいくら・よういち)
1956年生まれ。大阪大学教授。専門は日本近世文学。
著書に『秋成考』(翰林書房、2005年)、『上田秋成 絆としての文芸』(大阪大学出版会、2012年)、『前期読本怪談集』(校訂代表、国書刊行会、2017年)などがある。

盛田帝子(もりた・ていこ)
1968年生まれ。大手前大学准教授。専門は日本近世文学、和歌文学。
著書に『近世雅文壇の研究―光格天皇と賀茂季鷹を中心に』(汲古書院、2013年)、『国立台湾大学図書館典蔵 賀茂季鷹『雲錦翁家集』』(盛田帝子主編・洪淑芬翻訳編集、台湾大学典蔵全文刊本5、国立台湾大学図書館、2014年)、論文に「家集を出版すること―賀茂季鷹『雲錦翁家集』を巡って」(『近世文藝』第106号、日本近世文学会、2017年) などがある。