河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』(岩波新書)【アンコール復刊】

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河添房江氏よりいただきました。

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※左=初版、右=アンコール復刊

新赤版 1477
岩波新書 > 芸術
刊行日 2014/03/20
ISBN 9784004314776
Cコード 0221
並製・カバー・258頁
定価 本体920円+税

版元公式サイト
https://www.iwanami.co.jp/book/b226264.html

【正倉院の宝物,艶やかな織物や毛皮,香料,楽器,書,薬,さらには茶や茶器,珍獣まで.......この国の文化は古来,異国からの舶来品,すなわち「唐物」を受け入れ吸収することで発展してきた.各時代のキーパーソンとの関係を軸に,唐物というモノを通じて日本文化の変遷を追う,野心的な試み.【カラー口絵8頁】】

【目次】

はじめに

第一章 「唐物」のはじまり―正倉院と聖武天皇
唐物のルーツをたどる/『万葉集』の中の「舶来品」/日本産の「からもの」/正倉院の錦の逸品/聖武天皇の遺品あれこれ/遣唐使・吉備真備がもたらしたもの/聖武天皇の舶来趣味/聖武朝の国際関係/新羅使がもたらした舶来品/鑑真の来朝/王羲之父子の書跡/異国文化受容の糧として

第二章 百花繚乱、貴族があこがれた「異国」―「国風文化」の実像
嵯峨天皇という人/「茶」の伝来/王者を彩る文物/正倉院の新羅琴/嵯峨期と渤海/渤海国使と正倉院宝物/承和の遣唐使/仁明天皇の唐物趣味/富裕層への広がり/「国風文化」の実像/黄金と「火鼠の皮衣」/『うつほ物語』と二つの交易ルート/秘色青磁と瑠璃/俊蔭が招来した唐物/蔵開以降の世界

第三章 王朝文学が描く唐物趣味―『枕草子』『源氏物語』の世界から
『枕草子』を読み解く/唐の紙と青磁/定子の華やかな正装/「この世をば わが世とぞ思ふ」/道長の書物への愛着/入宋僧との交流/実資が残した記録/『源氏物語』の時代/源氏の女君たちと和漢の構図/薫物は和か漢か/『うつほ物語』と『源氏物語』/光源氏の見事な手本/「光源氏」にあこがれた人々

第四章 武士の時代の唐物―福原・平泉・鎌倉
平清盛の台頭/清盛と『源氏物語』の明石一族の栄華/福原での日宋貿易/「揚州の金、荊州の珠......」/『平家納経』と『太平御覧』/世界遺産・平泉と唐物/『吾妻鏡』の記事/鎌倉将軍と北条一族/沈没船は語る/渡海僧・渡来僧の時代/金沢文庫の遺物から/兼好の唐物嫌い/『明月記』と『徒然草』

第五章 茶の湯と天下人―中世唐物趣味の変遷
バサラ大名、佐々木道誉/道誉の「逸脱の美学」/足利義満と「日本国王」/朝鮮との外交/義満の文化戦略/美術品としての唐物/『君台観左右帳記』の世界/義政と書院の茶/「つくも茄子」の行方/「和漢のさかいをまぎらかす」/信長の名物狩り/「茶湯御政道」/信長御物から太閤御物へ/家康から柳営御物へ

第六章 庶民が夢みる舶来品へ―南蛮物・阿蘭陀物への広がり
家康の「御分物」/南蛮貿易のはじまり/信長・秀吉の南蛮趣味/秀吉の強硬外交/家康の親善外交/南蛮貿易の終焉とオランダの台頭/鎖国体制の確立/カピタンたちの記録/「蘭癖の将軍」吉宗/朝鮮人参とサトウキビの国産化/天皇に謁見した象/庶民たちの「象フィーバー」/江戸初期の唐物屋/西鶴のまなざし/庶民でにぎわう唐物屋/阿蘭陀趣味の流行/金唐革の変貌/唐物屋の終焉

終章 「舶来品」からみた日本文化
唐物の歴史/尚古趣味と新渡り物/和製の唐物/唐物の日本的変容/「日本の中の漢」に位置する唐物/「日本の中の和」にとりこまれる唐物/「和漢のさかいをまぎらかす」再考

参考文献
あとがき