横光利一文学会 第17回大会 特集:文化資源(コンテンツ)としての文学(2018年 3月 17日(土) 12:30、日本近代文学館ホール)

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2018年 3月 17日(土) 12:30
日本近代文学館ホール
特集:文化資源としての文学

【 メディアが多様化する昨今、コンテンツもまた「多様化」の一語では収まらないほど多岐にわたり、そして大量に生成されてゆく。コンテンツとは一般に、映画、音楽、文芸、漫画、アニメ、ゲームなど、情報財の表現内容を指すが、本企画では、「文化資源」に「コンテンツ」というルビを当てることで、一つのコンテンツである「文学」が資源となって、さらに新しいコンテンツとして広がってゆく動きについて考えたい。
 これまでも、作品の舞台や作家その人のゆかりの地・記念館をめぐる観光資源としての側面、また教科書というメディアにあっては教材としての側面など、文学は一つの文化資源として様々な面を有してきたが、そのような中で、近年興味深い現象として、テクストではなく、作家そのものをキャラクター化し、新しいコンテンツとして立ち上げるような動きも見られるようになった。
 例えば先駆けと言える『文豪ストレイドッグズ』(朝霧カフカ原案・春河35作画、KADOKAWA 二〇一三~)では、中島敦・太宰治といった名前の知られた文豪をキャラクター化し、それぞれの作品にちなんだ「異能力」によって戦うというアクション漫画であるが、二〇一六年にアニメ化、二〇一八年には映画化と、順調に人気を博し、現在も根強い人気を誇る。その他にも、苦悩する詩人・作家の世界を独特の表現で描く『月に吠えらんねえ』(清家雪子、講談社、二〇一三~)など、個別の作品が続く。最近人気を集めるゲーム『文豪とアルケミスト』(DMM.com、二〇一六~)においては、四〇人を超える数多くの作家がキャラクターとして登場しており、太宰治・中島敦といった知名度を誇る作家のみならず、横光利一をはじめ、これまでキャラクター化されることのなかった「文豪」が幅広くラインナップされている。これらのコンテンツは、文学館とのコラボレーション、元となるテクストとのタイアップなど、「文学」との連環を伴いながら、多様な展開を見せている。
 このように、文学が「資源」となるとき、そこにはどのような可能性と問題があるのか。また、教科書的知名度を誇る作家と比べて、横光利一のように接する機会の減りつつある作家は、いかにして「資源」となるのか。あえて、横光利一文学会という個人を対象とした学会から、文学がコンテンツ化するこれらの現象を問い直してみたい。】

◇発表
日比嘉高 文化資源となる文学、ならない文学――〝過疎の村〟で何ができるか

芳賀祥子 「文豪」を愛するということ――女性読者による文豪キャラクターの受容

大杉重男 『文豪とアルケミスト』に「転生」した「文豪」たち――「徳田秋声」と「横光利一」の比較から

◇ディスカッサント山岸 郁子
◇全体討議   司会中沢弥
◇閉会の辞
横光利一文学会代表  柳沢孝子

午後4時終了予定
午前11時より総会を行います。

大会終了後懇親会をおこないます。当日、会場受付にてお申込みください。