古代文学会4月例会(第795回)(2026年4月4日(土)午後2時~5時、二松学舎大学九段1号館4階401教室+Zoom)※Zoom参加は要申し込み

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://kodaibungakukai.sakura.ne.jp/wp/kenkyuuhappyoukai/reikai
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※詳細は上記サイトをご確認ください。


 ハイブリッド開催といたします。

日時:4月4日(土)午後2時~5時 (例会終了後、委員会を開きます)
※Zoom開始時刻は発表開始の15分前となっています。

【対面】
会場:二松学舎大学九段1号館4階401教室

【Zoom参加方法】
公式サイトにてご確認をお願いいたします。
https://kodaibungakukai.sakura.ne.jp/wp/kenkyuuhappyoukai/reikai


発表者:平山 真由子 氏

題目:『古事記』葦原中国平定神話における事代主神の儀礼的動作―「其船」と「天逆手」の解釈をめぐって―
要旨:『古事記』葦原中国平定神話において、事代主神は国土献上を宣言する重要な役割を担う神である。その国土献上に際して記述される「即蹈傾其船而、天逆手矣、於青柴垣打成而隠也。」(以下、当該箇所とする)という一文は、事代主神の行動を示すものとして注目されるが、未だ解釈が定まっていない。最大の難点は「天逆手」の理解である。この語は上代文献に用例がなく、『日本書紀』にも見えない語であるため、『古事記』特有の文脈で用いられた表現と考えられる。故に、『古事記』内の用例や文脈を踏まえた機能の分析が不可欠である。この「天逆手」を解釈するには直前の「其船」の理解も問題となる。多くの注釈書は事代主神の乗る船と見做すが、本文にその描写はなく、倉野憲司や菅野雅雄は「其船」を天鳥船神であると指摘している。まずは「天鳥船神」を「其船」と解することが可能かどうか、『古事記』に即した検討が必要だろう。これを手掛かりとして、事代主神の「天逆手」に至る動作の内実を明らかにする。
 本発表では第一に「其船」について考察する。『古事記』内で「其」は基本的に文脈指示の用法でのみ使用されることなどから、用例に照らすと「其船」は直前に登場した「天鳥船(神)」を指すと証明できる。第二に天鳥船神を「青柴垣」に変えるにあたって「天逆手」がどのような働きをしているのかを考える。「天逆手」については、『古事記』において「逆」が上下前後の反転を示すのみであること、さらに当該箇所では「手」を方向として理解すべきことを踏まえ、「青柴垣」を生み出す方向を示す語として捉える。以上の内容に鑑みると、当該箇所は「其船」(天鳥船神)を天と反対の方向、すなわち地上に「青柴垣」を「打成」し、神籬に入ることとなった事代主神の「隠」れる場所を作り出すという儀礼的な動作であると結論づけられる。最後に、この儀礼的動作によって、事代主神が天鳥船神なしで天つ神らと交流できるようになることを、先行諸論を踏まえて論じる。

(司会:吉田 修作 氏)

※なお、発表資料及び要旨の著作権は発表者に帰属します。