日本近代文学館2026年度春季特別展:「円本」から読む日本近代文学(2026年4月4日(土)~6月13日(土))
展覧会情報です。
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https://www.bungakukan.or.jp/cat-exhibition/16618/
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※詳細は上記サイトをご確認ください。
観 覧 料 一般500円
特別協力 株式会社岩波書店 郡山市こおりやま文学の森資料館
編集委員 十重田裕一 山岸郁子
「円本」、百年前の出版革命
今から百年前の日本で、「円本」は刊行された。大正時代が終焉を迎える1926(大正15)年12月に、改造社社主の山本実彦の発案で、予約販売形式で一冊一円の文学全集『現代日本文学全集』全37巻・別巻1が改造社から刊行開始となったのである。「円本」は、一円で東京市内を乗車できるタクシー、いわゆる「円タク」にちなんだ命名であった。
一冊一円の廉価な文学全集は好評を博し、他の出版社で廉価版全集の企画が相次いだ。『現代日本文学全集』についで、翌1927(昭和2)年3月には新潮社から『世界文学全集』が、5月には平凡社から『現代大衆文学全集』が、6月には春陽堂から『明治大正文学全集』がそれぞれ刊行開始となり、「円本」は一大ブームを巻き起こした。いわゆる「円本」ブームは、一部の作家の経済状況を潤し、出版権・著作権に対する自覚を促進する契機となった。
「円本」登場の背景には、人口増加と学校教育の普及にともなう読者層の拡大があった。また、1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災によって、大量の書物が灰燼に帰し、経済不況のなかで書物の価格が上昇したことも「円本」の登場を促した。「円本」は失われた明治・大正時代の日本文学を甦らせ、活字を渇望する多くの読者たちに「知」を届けるメディアとして機能することになる。そして、著者から読者へと書物が届くまでに介在する出版社・取次・書店のあり方を見直す契機にもなったのである。
百年前の近代日本の出版流通を大きく変えた「円本」の展示を通じて、出版文化の現在と未来を考える機会になればと思う。
十重田裕一(本展編集委員・早稲田大学教授)
★関連イベント★
「現代日本文学巡礼」フィルム全編上映会
(2026年4月25日(土)13:00~15:00、講堂)※要申し込み
https://bungaku-report.com/blog/2026/04/202642513001500.html
同時開催 川端康成の新聞小説
「浅草紅団」「舞姫」「東京の人」「女であること」そして「古都」――。
これらの川端作品は、発表当時に新聞の連載小説であったという共通点があります。
当時の世相を作中に織り込むなどの手法は、新聞というメディアの特性が最大限に活かされたものと言えるでしょう。その一方で、作品によっては川端自身も思いがけない展開・分量になったなどのエピソードには、新聞小説という発表形式の影響が、色濃く反映されているとも考えられます。
様々な表情をみせる「川端康成の新聞小説」の魅力を、貴重な資料とともに探ります。
※併設の川端康成記念室にて開催 特別展の入場料で同時にご観覧いただけます
















































































