国立歴史民俗博物館・若木重行・小池淳一編『REKIHAKU 特集・東日本大震災と基礎科学(サイエンス)』(国立歴史民俗博物館)
10月下旬の刊行予定です。

国立歴史民俗博物館・若木重行・小池淳一編
『REKIHAKU 特集・東日本大震災と基礎科学(サイエンス)』(国立歴史民俗博物館)
ISBN978-4-86766-132-1 C0021
A5判・並製・112頁・フルカラー
定価:本体1,091円(税別)
発行 国立歴史民俗博物館
発売・編集協力 文学通信
国立歴史民俗博物館発! 歴史と文化への好奇心をひらく『REKIHAKU』!
いまという時代を生きるのに必要な、最先端でおもしろい歴史と文化に関する研究の成果をわかりやすく伝えます。
特集は「東日本大震災と基礎科学(サイエンス)」。
未曾有の自然現象に挑んだ科学者たち─
震災直後、地震・津波・放射性元素の拡散など、未曾有の自然現象に基礎科学者たちはどう応答し、災害に対応したのか。その奮闘が歴史の霧の中に霞んでいく前に、歴史としてここに遺す。
常日頃は役に立たない学問と後ろ指をさされ、予算削減の対象になることも多い、基礎科学(サイエンス)。しかし、防災を含む全ての応用技術は、「基礎科学(サイエンス)」に基づいて構築されている。
震災後、地球科学分野を中心とした多くの基礎科学者たちがこのような自然現象を理解するための研究に従事し、未知であった事象に対する多くの新知見が積み重ねられた。その知見は、今や先端的な防災技術の礎となり社会に還元されつつある。新たな知見は、どのように発見されてきたか、知られざる科学史をここに記録する
特集執筆は、廣瀬丈洋、石川剛志、谷川 亘、若木重行、利根川貴志、篠崎鉄哉、高橋嘉夫、大野 剛、谷川 亘。
特集以外の記事も、好評連載・鷹取ゆう「ようこそ! サクラ歴史民俗博物館」、石出奈々子のれきはく!探検ほか、盛りだくさんで歴史と文化への好奇心をひらいていきます。
歴史や文化に興味のある人はもちろん、そうではなかった人にもささる本。それが『REKIHAKU』です。年3回刊行!
●特集趣意文
二〇一一年三月一一日一四時四六分に発生した東北地方太平洋沖地震は、岩手県沖から茨城県沖までにおよぶ広大な震源域をもつ、日本における観測史上最大の超巨大地震であった。この地震による最大震度は震度7(宮城県栗原市)、地震の規模を示すマグニチュードはМ9.0と、世界的にも近代的観測開始以降四番目に大きな地震となった。この地震によって生じた大規模な地震災害、すなわち東日本大震災は、地震による直接的な被害と地震によって生じた火災に加えて、地震直後に断続的に沿岸を襲った巨大津波、さらには地震と津波の影響により発生した福島第一原子力発電所事故によって、大規模かつ複合的な災害として歴史に記録された。この時に生じた地質現象である地震と津波、また、原発事故によって生じた放射性元素の環境中への拡散は、いずれもそれまでの想定を遥かに超えた規模の事象であった。
本特集では、震災の直後より展開された基礎科学的な研究の広がりに、科学史的な観点から注目する。我が国においては、自然現象を理解するための「基礎科学(サイエンス)」と、産業に役立つための「応用技術(テクノロジー)」とが、「科学技術」として一緒くたにして扱われることが多いが、本来これらは別の学問体系である。基礎科学は、常日頃は役に立たない学問と後ろ指をさされ、予算削減の対象になることも多い。しかし、防災を含む全ての応用技術は、基礎科学的な知見に基づいて構築されるものであることに注意が必要である。この基礎科学の観点で震災をとらえると、地震・津波・放射性元素の拡散はいずれも未知の自然現象の発生に他ならず、この現象をいかに正確に理解するかという点が学術的な問題となった。震災後、地球科学分野を中心とした多くの基礎科学者たちがこのような自然現象を理解するための研究に従事し、未知であった事象に対する多くの新知見が積み重ねられた。その知見は、今や先端的な防災技術の礎となり社会に還元されつつある。
私個人のことを振り返ると、震災当時はプロジェクト雇用のポスドク研究員で研究テーマ選択の自由を有していなかったため、このような諸先輩方の動きを周囲からもどかしい思いで眺めているだけであった。一〇年ほど経ったのちに放射性核種の分析法開発でいくばくかの科学的な貢献ができたのは、この時のモヤモヤや無力感を胸のどこかに抱え続けていたからかもしれない。
震災から一五年が経った現在、未曾有の自然現象に対する基礎科学からの応答と災害に対応した基礎科学者の奮闘が歴史の霧の中に霞んでいく前に、その一端を現代の科学史における一つの記録として歴史に遺したいと思う。(若木重行)
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【編者紹介】
国立歴史民俗博物館(こくりつれきしみんぞくはくぶつかん)
千葉県佐倉市城内町にある、日本の考古学・歴史・民俗について総合的に研究・展示する博物館。通称、歴博(れきはく)。歴史学・考古学・民俗学の調査研究の発展、資料公開による教育活動の推進を目的に、昭和56年に設置された「博物館」であり、同時に大学を中心とする全国の研究者と共同して調査研究・情報提供等を進める体制が制度的に確保された「大学共同利用機関」。
〒285-8502 千葉県佐倉市城内町 117
https://www.rekihaku.ac.jp/
若木重行(わかぎしげゆき)
国立歴史民俗博物館准教授(同位体地球化学・文化財科学) 【著書・論文】A part per trillion isotope ratio analysis of 90Sr/88Sr using energy-filtered thermal ionization mass spectrScientific Reportsometry. Wakaki et al., Scientific Reports 12:1151 (2022). 【趣味・特技】子供と博物館・科学館巡り
小池淳一(こいけじゅんいち)
国立歴史民俗博物館教授(民俗学・伝承史) 【著書・論文】『あおもりの伝承と民俗』(青森文芸出版、2026年)、「民俗儀礼の文芸資源化―七五三と岡見」(『国立歴史民俗博物館研究報告』205、2017年) 【趣味・特技】還暦を過ぎて急にクラシックにはまりました。フルトヴェングラーの録音の音質向上どうにかならないでしょうか
【目次】
特集・東日本大震災と基礎科学(サイエンス)
座談会 地震のメカニズムに掘削科学で挑む
―来るべき南海地震被害低減への挑戦―
(廣瀬丈洋・石川剛志・谷川 亘・若木重行)
【日本周辺の海底観測網と基礎科学】
海底ケーブルを利用した地震・津波観測網―地震波速度モニタリング研究の現在(利根川貴志)
【津波堆積物を用いた過去の津波研究の現在】
地層に刻まれた巨大津波の科学史(篠崎鉄哉)
【学会の連合体が作った調査・研究の組織化】
原発事故に科学者たちはどう対応したか
―日本地球化学会など学会連合の取り組みと意義(高橋嘉夫)
【地球環境変動研究も環境放射能研究も行う】
福島第一原発事故と地球化学者の15年(大野 剛)
COLUMN【研究のその先へ、社会とのつながりを求めて】
地球深部探査船「ちきゅう」から自然災害伝承碑へ
―被災体験から始まった歴史災害研究(谷川 亘)
用語集
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たかが歴史 されど歴史
藤原道長は悪筆か?(村木二郎)
博物館マンガ 第17回
ようこそ! サクラ歴史民俗博物館
博物館のデータベース(鷹取ゆう)
石出奈々子のれきはく!探検 第18回
最終兵器にして最弱、して最愛(石出奈々子)
フィールド紀行
土地に刻まれた「記憶」を探る~小城・三原・坂井~
第3回(完) 移りゆく坂井平野の景観(土山祐之)
誌上博物館 歴博のイッピン
民俗の実態を伝える 萩原秀三郎撮影民俗写真(関沢まゆみ)
歴史研究フロントライン
山伏だった家が伝えてきた書籍(佐藤 優)
EXHIBITION 歴博への招待状
特集展示「御用絵師の仕事:歴博の狩野派」(鷲頭 桂)
SPOTLIGHT 若手研究者たちの挑戦
日本の「計算」の歴史を研究する(前山和喜)
これが私の仕事道具
デジタルマイクロスコープ(島津美子)
くらしの植物苑歳時記
特別企画「伝統の古典菊」
「冬の華・サザンカ」のご案内
博物館のある街
福井県大飯郡おおい町 おおい町暦会館の成り立ちについて(山田虹太郎)
くらしの由来記
亥の子と十日夜(小池淳一)
研究のひとしずく
縄文人の考え方を知るために
第4回(完)●研究の広がり(中村耕作)
Kaleidoscope of History
Gathered over two Generations, by Father and Son:
Drum Bodies From the Ikuta Collection
(日高 薫)
歴博友の会 会員募集
英文目次



























































































