民族藝術学会第181回研究例会(2026年7月25日(土)14:30〜17:30、神戸大学大学院国際文化学研究科(鶴甲第一キャンパス)学術交流ルームE410+Zoom)※Zoom参加は要申し込み

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://mg-gakkai.org/2026/05/10/1263/
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※詳細は上記サイトをご確認ください。


第181回研究例会

対面とZoomによるオンラインのハイブリッド開催

日 時: 2026年7月25日(土) 14:30~17:30
会場(対面参加): 神戸大学大学院国際文化学研究科(鶴甲第一キャンパス)学術交流ルームE410
交通: JR「六甲道」/阪急「六甲」より神戸市バス16系統/106系統「六甲ケーブル下」行き、「神大国際文化学研究科」下車。バス停より徒歩すぐ。

テーマ: 20世紀写真史の諸相

内容:

趣旨説明 礒谷有亮

研究発表1
  「サダキチ・ハートマンの写真論」
  甲斐義明(写真史・近現代美術史、新潟大学)

ドイツ人の父と日本人の母を持つ、作家・批評家のサダキチ・ハートマン(1867-1944)は、写真家のアルフレッド・スティーグリッツが刊行した写真雑誌『カメラ・ノーツ』および『カメラ・ワーク』の常連寄稿者のひとりであった。本発表では志邨匠子氏、田野勲氏らの先行研究をふまえたうえで、ハートマンによる写真批評の再検討を行う。「A Plea for the Picturesqueness of New York 」(1900年)でニューヨークの写真の主題としての価値を指摘し、「A Plea for Straight Photography」(1904年)では、手作業で写真プリントを修正し絵画のように見せることを批判したハートマンは、モダン・フォトグラフィの理念をいち早く提唱していたことで知られる。他方で彼は1903年に『Japanese Art』を出版するなど、日本美術の専門家としても自らを売り出していた。本発表ではハートマンの評論において、この二つの領域がどのような内的なつながりを有していたのかを考察する。

研究発表2
  「イタリア未来派の写真とその系譜----写真集とマニフェストにおける理論と実践の展開」
  角田かるあ(西洋近代美術史、東京大学)

アントン・ジュリオ(1890-1960)とアルトゥーロ(1893-1962)のブラガーリア兄弟が1911年に考案した動体写真の実験「フォトディナミズモ」は、20世紀イタリアの前衛芸術運動・未来派(1909-1944)における最初の写真表現として知られる。一時的な停滞を経ながらも、戦間期に未来派における写真表現が再興した際には、ブラガーリアによる写真集『未来主義フォトディナミズモ』(1913)に集約された同実験の理論と実践が、未来主義写真の系譜的起源として再定位されることとなった。
未来派においては、最初期より「マニフェスト」の発表が運動を特徴づけてきた。本発表では、マニフェストを伝播する役目を担った新聞や雑誌などの紙媒体に着目することで、フォトディナミズモの理論的・実践的遺産が、第二世代の未来主義者を含む戦間期のイタリアの写真家たちに、いかに継承されつつ変容していったのかを検討する。

研究発表3
  「写真集『フォトグラフィ』(1930年)とその国際的な伝播」
  礒谷有亮(美術、神戸大学)

1930年にフランスで刊行された写真集『フォトグラフィ』はモダニズム写真をフランスに紹介した記念碑的出版物として知られている。それゆえ先行研究では同書に含まれた写真の表現や様式が中心に議論されてきた。ところが同書は掲載写真だけでなく、カバーデザインやレイアウト、装丁においても新奇な要素を多分に含んでいた。本発表ではそれらを詳細に検討し、同書を同時代の最新のブック・デザインを体現したものとして位置付ける。
また『フォトグラフィ』はその後世界各地へともたらされ、モダニズム写真の世界的な興隆を媒介するとともに、同書と類似したデザインの写真集も生み出すことになった。日本やアメリカでのそうした事例を検討し、印刷物を介した写真の伝播と写真集そのものの伝播について考察する。


担当理事: 礒谷有亮