立命館土曜講座 白球が結ぶ台湾と日本 ―映画『KANO』と小説『蕉葉と樹の約束』を手がかりに―(2026年5月30日(第3448回)10:00~11:30 ハイブリッド講座(衣笠キャンパス末川記念会館+ZOOMウェビナー) )

このエントリーをはてなブックマークに追加 Share on Tumblr

研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://www.ritsumei.ac.jp/doyo/essay/detail/?id=761
--------------------
※詳細は上記サイトをご確認ください。

2026年5月30日(第3448回)

白球が結ぶ台湾と日本 ―映画『KANO』と小説『蕉葉と樹の約束』を手がかりに―
立命館大学文学部 教授 三須 祐介

 日本プロ野球における台湾出身選手の活躍や、WBCにおける台湾代表の奮闘も記憶に新しく、台湾と野球を結びつけるイメージはある程度形成されているだろう。近年では、台湾野球の記憶をめぐる研究書も相次いで刊行されている。なかでも、2014年公開の台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』は、日本統治時代の野球の記憶を広く喚起するとともに、台湾の「親日」イメージを補強することにもつながった。

 2025年には、台湾先住民族作家ナカオ・エキ・パチダルによる小説『蕉葉と樹の約束』(未邦訳)が刊行された。この作品は、『KANO』が描く時代よりも早い1920年代の花蓮を舞台に、野球チーム「能高団」と、そこで活躍したアミ族の青年の姿を描いている。台湾社会のマジョリティである漢人でも日本人でもない、先住民族アミ族の視点から野球と植民地経験が語られている点は重要である。

 21世紀の台湾において、「日本統治時代」はいかに語られているのか。そこには、単純な「親日」というイメージには還元できない、複雑な歴史認識と記憶が反映されている。本講座では、最新の文学作品などを手がかりに、この問題について考えてみたい。