日本近代文学館「芝居は魂だ! 築地小劇場の軌跡1924-1945」(2021年10月9日(土)~12月18日(土))
Tweet展覧会情報です。
●公式サイトはこちら
https://www.bungakukan.or.jp/cat-exhibition/13278/
--------------------
開館時間 午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
観 覧 料 一般300円
中学生・高校生100円
休 館 日 日曜日、月曜日、10/28(木)、11/25(木)
編集委員 武藤康史(当館理事)
●本展について
最近、新国立劇場で三好十郎「斬られの仙太」の公演がありました。初演は築地小劇場です。彩の国さいたま芸術劇場でリーディング公演があったピランデルロ「作者を探す六人の登場人物」も築地小劇場で日本初演。SFの古典カレル・チャペック「ロボット」の日本初演も築地小劇場でした。今でもよく上演される久保田万太郎「大寺学校」、久保栄「火山灰地」、森本薫「怒濤」も築地小劇場初演でした。シェイクスピア、ゴーゴリ、イプセン、ストリンドベリ、チェーホフ、ゴーリキーなどの作品は日本では以前から上演されていましたが、築地小劇場でもさかんに取り上げています(このうち「民衆の敵」「令嬢ジュリー」「三人姉妹」などは築地小劇場が日本初演のようです)。築地小劇場は世界文学の窓であり、日本の劇作家を奮い立たせる空間でもあったのでしょう。
文学座、劇団民藝、俳優座、文化座は、築地小劇場で活躍した人たちが作った劇団(または築地小劇場で公演したことがある劇団)です。劇団四季も、築地小劇場創立時のメンバーの子息によって作られました。映画の世界にも築地小劇場出身の俳優が大勢います。たとえば小津安二郎監督『東京物語』(1953)に出演している杉村春子・東山千栄子・高橋豊子・長岡輝子・中村伸郎・山村聰・十朱久雄・東野英治郎は、みな築地小劇場で(あるいは名称変更後の同じ劇場で)舞台に立っていた俳優です。
かつて世界の作品をどしどし紹介した築地小劇場。日本の作品も次々と上演した築地小劇場。今でいえば実験的な中劇場です。多くの観客がここから感動を持ち帰りました。大勢の俳優やスタッフがここから巣立ち、羽ばたいていきました。開場後もうすぐ百年になるこの劇場を、当時の写真、プログラム、本、雑誌、舞台装置模型などからふり返ります。
(編集委員 武藤康史)
●同時開催 川端康成をめぐる書簡
メールはおろか、電話もまだ一般的ではなかった時代、人々のコミュニケーションを担ったのは手紙でした。そして川端康成はその数えきれないほどの来簡を、度重なる転居を経てなお、保存していました。
学生時代、青年作家時代の同人誌創刊をめぐる臨場感あふれる手紙、「雪国」や「古都」など代表作の創作の現場となった旅先から出された手紙、そして多くの作家との交流をしめす手紙。
本展では、作家・川端康成の文学的出発から戦後の円熟期にいたるまでを、遺された貴重な手紙からたどります。
*併設の川端康成記念室にて開催。特別展の観覧料(300円)で同時にご覧いただけます。