古代文学会10月例会(第702回)(2018年10月6日(土)午後2時〜5時、共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス 本館 823教室)
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日 時 : 2018年10月6日(土)午後2時〜5時
場 所 : 共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス 本館 823教室
(https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/access/)
発表者 : 井上隼人 氏
題 目 : ウシハク考 --『古事記』における大国主神の造形--
【要 旨 :
『古事記』上巻・国譲り条には「汝がうしはける葦原中国は、我が御子の知らさむ国と言依し賜ひき」という表現がある。本発表では、ここに見えるウシハクという語について考えてみたい。
ウシハクは従来、ウシ(主)+ハク(佩)という語構成で、土地の領有を意味すると解釈されてきた。従うべき理解であると考えるが、前掲本文に見えるシラスとの使い分けが一体何を意味するかという点に注目すると、なおその理解を深める余地があると思われる。シラスとウシハクの相違は『古事記伝』以降たびたび問題とされてきた点であり、『万葉集』や「遷却祟神祝詞」に見える用例の検討を通じて、ウシハクは神を主語に据えること、そして自然領域を対象にする語であることが指摘されている。しかし、そのような特徴と語構成面からの理解がどう結びつくかという点に関しては、なお考えるべき余地があると思われるのである。
本発表ではウシハクという語の検討を通じて、『古事記』の大国主神には「超自然の代理人」(J.G.フレイザー『金枝篇』)としての姿が見出せること、そしてそのような造形が国譲りを記すうえで重要な意義を担っていることを論じてみたい。】
司 会 :吉田修作 氏