chapter 6 歴史データはどのように使うのか −災害時の歴史文化資料と情報−(天野真志)★『歴史情報学の教科書』全文公開
Tweet
chapter6
歴史データはどのように使うのか
−災害時の歴史文化資料と情報−
天野真志(国立歴史民俗博物館)
1. 災害と歴史文化資料
全国各地で頻発する自然災害が深刻化する中、地域に伝わる歴史文化資料の災害対策が大きな課題となっています。一般に文化財と呼ばれることもありますが、歴史的・文化的意義のあるモノは、国宝や重要文化財など、国や自治体の指定制度に基づき管理される文化財だけではありません。地域や人びとの歴史や文化を現在に伝える膨大な歴史文化資料は、日本列島各地に伝来しており、その多くが公的な保護を受けることなく所蔵者や関係者の努力によって維持されているのが現状です。
近年、これらの歴史文化資料も日本社会の歴史や文化を象徴する重要なモノであるという認識が広く共有されるようになってきました。きっかけは1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災など大規模な自然災害の経験でした。被災地で倒壊した家屋の解体やがれきの撤去などが進む一方で、地域に伝わる歴史的・文化的なモノも人知れず失われるという危機に直面し、地域の歴史文化を次世代に伝える取り組みが各地で立ち上がりました。こうした取り組みでは、地域に伝来するさまざまなモノに歴史文化的意義を見出だし、歴史文化資料として保存・継承することが目指され、その重要な課題として歴史文化資料の災害対策が掲げられています[01]。
歴史文化資料の災害対策では、まず大前提として守るべき資料の所在を把握することが求められます。とりわけ東日本大震災のあと、地域の歴史文化資料を災害から守るために、危機管理対策として資料の所在把握が重要であることがしきりに唱えられるようになりました。例えば、当時文化財保存修復学会理事長であった三輪嘉六は、危機管理対策として日本列島全域に及ぶ悉皆的な所在情報調査の必要性を指摘しています[02]。しかし、古文書だけでも20億点を超えるであろうといわれる日本社会において[03]、あらゆる歴史文化資料を悉皆的に把握することができるのでしょうか。
地域をくまなく調査して、あらゆる歴史文化資料の災害対策を試みることは、一見して不可能にも思えます。しかし、これまでの地域調査記録など、過去のさまざまな蓄積をデータ化していくことで、解決の糸口が見えてくるかもしれません。どのようなデータを活用すれば歴史文化の災害対策に有効なのか。いくつかの事例を踏まえながら考えていきましょう。
2. 歴史データを活用した災害対策
2.1. イタリアにおける文化財の災害対策
まず、日本列島と類似する条件を備える事例として、イタリアの取り組みから見てみましょう。イタリアは、日本と同様全国各地に歴史的な建造物や文化財を膨大に抱え、かつ地震などの自然災害を多く経験していますが、それらの危機に備えたイタリア全土を及ぶ危機管理体制を敷いています。
イタリアの特徴は、"Carta del Rischio"と呼ばれる文化財危険地図システムを構築していることです。このシステムは、イタリアの国立保存修復高等研究所(Istituto Superiore per la Conservazione ed il Restauro, ISCR)が運営するもので、イタリア国内に存在する文化財に対し、災害などで生じ得る危険性を判断するものとして1990年に作られました[04]。
"Carta del Rischio"は、イタリア全土に存在するさまざまな文化財をマッピングし、それらが置かれる環境を踏まえて被災などのリスクを判定します。同時に、経年などにともなう劣化や破損のリスクについても脆弱性という観点から管理し、文化財が何らかの危機を迎える状態になると、専門家を派遣して危機を回避するという対策がとられています。
このシステムを構築・運営するに際して、イタリアでは主に3つの組織が密に連携しています。ひとつは日本の文化庁に相当する、文化行政を主管する国の行政組織ですが、それとともに、イタリア国内における文化財の網羅的な目録化を担うイタリア中央カタログ研究所(Istituto Centrale per il Catalogo e la Documentazione, ICCD)と、文化財の危険度を調査してシステムに反映させていくISCRが大きな役割を果たしています。イタリアでは、守るべき文化財が詳細に目録化されて統一のIDが付与されているだけでなく、その目録と連動させた保存・管理体制が文化行政の重要な業務として確立しています。いわば、歴史文化の危機管理体制が多様な文化財情報を連結させることで、各種の専門家による複合的な管理システムとして確立されています。イタリア共和国憲法の第9条では、イタリア全土の景観および歴史的・芸術的遺産の保護がうたわれています。この理念を実現するために、イタリアでは歴史文化に関わるあらゆる専門家が結集し、文化財情報を活用した文化財の管理体制として、文化財危険地図という壮大なシステムを構築しています。
2.2. 日本における文化財の災害対策
一方、日本においても文化財や歴史資料に関する多様な情報が存在しますが、イタリアのようにあらゆる情報を包括するようなシステムを構築するには至っておりません。日本の場合、把握されていない膨大な歴史文化資料が個人宅などに伝来しています。
一般に、日本列島に伝わる歴史文化資料は、それらが生成・利用された地域と密接な関わりを持ちながら残されてきました。全国の博物館や文書館などにも膨大な資料が所蔵されていますが、現在に至るまで、日本列島各地には資料を代々受け継いできた個人宅や周辺地域に大多数が伝来しています。
こうした地域に所在する資料の保存運動は、いくつかの段階で試みられてきました。例えば、古文書を主対象とした資料保存運動です。戦後の混乱状況に起因する古文書散逸の危機に対処するため、1951年の文部省史料館開設を皮切りに、国家事業として古文書資料の保存対策がとられました[05]。また、1960年代には「日本史資料センター」と呼ばれる構想も提起されました。この構想は、日本列島に伝来するすべての古文書やそれに関する情報を、特定の機関に集約して保存・管理するというものでしたが、これに対して、日本史研究者を中心に大きな反対運動が沸き起こりました[06]。これらの運動が物語るのは、日本社会における資料保存では、資料を危機的な状況から回避するだけでなく、資料が生成・伝来した地域の中に存在し、対象となる地域と関わりを持ち続けることをひとつの理想としていることです。
近年の特徴的な取り組みとして「資料ネット」活動があります。「資料ネット」とは、1995年の阪神・淡路大震災を契機に全国各地へ広がったボランティア団体で、現在までに25団体が組織されてきました。全国の「資料ネット」活動は、歴史文化研究に関わる専門家が中心となりつつ、対象地域の市民と密接な関係を構築することに共通点があり、その多くが大学に拠点を置いています[07]。
「資料ネット」活動では、災害時に滅失の危機に瀕する地域の歴史文化資料を救済・保存し、継承に向けた取り組みを検討することを目的としていますが、災害に備えた防災対策として、所在情報を調査する活動も行われています。
例えば、宮城歴史資料保全ネットワーク(以下、宮城資料ネット)は、2003年7月に発生した宮城県北部地震を契機に発足しました。宮城資料ネットでは、このときの経験を踏まえ、事前に資料の所在情報を把握して災害に備える取り組みを進めていきました[08]。具体的には、各地域で編纂された自治体史など、かつての地域調査記録を網羅的にデータ化し、そこに記された所在情報から現在の所在情報を追跡調査していきました[09]。
また、自治体を中心とした所在調査活動を展開しています。和歌山県では、1997年より和歌山県立文書館が個人宅などに伝来する資料の所在状況調査を実施し、その後県の教育庁文化遺産課や県立博物館も県内各地の文化財調査を進めています。和歌山県の総合的な取り組みも、災害に備えて救済すべき資料の所在情報を把握することを目的としています[10]。
このように、災害に対する危機意識から地域に伝わる歴史文化資料を把握しようとする試みは各地で進められています。
3. 災害対策に求められる情報とは
3.1. 資料情報把握に向けた課題
日本列島各地に伝来する歴史文化資料の多くは、地域社会と密接な関わりの中で伝来しています。「資料ネット」活動に象徴されるように、日本における資料保存活動は、資料を安全な場所に移して保存するよりも、資料が生成もしくは伝来した場所で保存・継承することを目指しており、災害時に資料が失われないようにさまざまな方策が模索されています。
日本における資料保存では、各地に点在する膨大な資料を把握するためのデータ集積がひとつの課題となっています。さらに、それらのデータをもとにした災害対策の必要性は、多く提起されてきました。では、こうして蓄積されたデータをどのようにして活用すれば、災害対策に役立つのでしょうか。ここで再び、イタリアの取り組みと比較しながら見ていきましょう。
イタリアの事例で特徴的なのは対象とする資料の管理体制です。イタリアの場合、そもそもの目的は災害対策に限定されず、破損や盗難、劣化などを含む多様な危機を回避することにあります。その管理は、文化財に関するさまざまな専門家による診断記録に基づき遂行されています。ここでは、全国に及ぶ網羅的な資料の所在情報に、資料の状態や所有者情報、移動歴や所在地のハザードに至るさまざまな情報が関連付けられており、それを地図上でリアルタイムに観測することが可能となっています。
イタリアでこのように包括的な体制が構築できるひとつの要因は、さまざまな専門家同士の連携がとられていることです。資料の歴史的・美術的な価値の判定、資料の修復、素材の分析、さらにそれらの情報を集約する専門家が情報を共有し、資料の危機を未然に防ぐ体制をとることが、イタリアの体制では徹底されています。いわば、専門家同士の相互理解がこうしたシステムを底流で支えているといえます。
もうひとつの要因は、それぞれの資料に対する管理のあり方です。イタリアでは、守るべき資料それぞれにIDが付与され、統一的に管理されます。それは個人所蔵であっても例外ではなく、一定の条件を満たしたものは、文化財として国の管理下に置かれるといいます。すなわち、個人所有物であっても保護を目的とした規制がかけられ、所有者も容易には移動や売買ができない仕組みとなっています。
こうした事例を見ていると、資料の保護を目的とする場合、あらゆる危機を想定した専門家の連携体制と国などによる保障政策、さらに資料の厳密な管理体制が重要な要素としてあげられます。イタリアの文化財マップは、こうした政策を前提として成り立っていることがわかります。
一方、日本ではこうした課題がどの程度克服されているのでしょうか。各地域に所在する個人資料を対象とした場合、日本で蓄積されているデータは、主に資料の画像データと調査記録を含む資料の所在情報です。これらは主に、歴史文化研究を目的としたフィールド・ワークの過程で、研究者によって蓄積されてきました。そのため、多くのものが必ずしも資料の保存・継承を第一義的な目的として集積したものでないため、データの記録や目録情報に差が生じています。この点は、自治体史編纂の過程で調査されたデータにも共通することで、二次利用を目的とされていないデータといえます。
もうひとつは、「資料ネット」活動など、災害対策として近年集積された調査データです。これらは地域を調査してどのお宅にどのような資料が伝来しているかを把握しています。しかし、個人所有物として存在する資料情報をどの程度共有することが可能なのかについては、多くの検討を要します。さらに、イタリアのような資料に対する規制がない中では、いったん把握したとしてもその後所在が不明になってしまう危険性があります。和歌山県の場合でも、2005年までに実施した古文書調査において、953件の文書群が確認されています。そのうち30年前における調査で確認した文書群は558件であり、当時把握した文書群のうち、およそ三分の一が所在不明となっていたようです[11]。せっかく調査して存在を確認した資料も、時が経てば再び所在がわからなくなり、一度きりの調査データでは災害対策に活かすことが困難であることを、和歌山の事例は示しています。
日本の場合、資料の保存・管理は多くが所蔵者に委ねられており、世代交代や移転などがあると途端に所在がわからなくなってしまいます。かつて沸き起こった「日本史資料センター」構想などは、ある意味こうした危機に対応するために提案された資料管理策であったともいえますが、地域社会と資料が分断されることへの危惧から頓挫しました。しかし現在、日本列島は大規模災害にともなう社会変動に直面しています。特に、東日本大震災に象徴されるように、津波などの甚大な被害で地域が消滅してしまうかもしれない危機にも瀕しています。これまでの歴史的経過を踏まえながら、日本社会に即したかたちで資料を把握し、危機から救うための方策が求められています。
3.2. 災害対策に活用できるデータとなるには
建築物を対象とした活用と課題
歴史データを活用した災害対策としては、建築物や景観などの不動産を対象とした取り組みが注目されます。二神葉子・隈元崇は、国宝・重要文化財を対象として、文化財の地理情報と活断層の地理情報データを連携させ、地震にともなう文化財の網羅的なリスク評価を検討しています[12]。また、全国を網羅した「歴史的建築総目録データベース」[13]を実際の地震被害調査に活用した事例も確認できます。永井康雄らは、2008年6月に岩手・宮城内陸地震が発生した際、このデータベースを用いて被害状況を調査し、被災建築物の復旧を試みています[14]。
2011年の東日本大震災時には、立命館大学歴史都市防災研究所が「国指定文化財等データベース」[15]を活用して、16,247件に及ぶ建築物および景観の被害状況を把握する文化財被災地図を作成・公開しました[16]。この被災地図は、文化庁が公開する指定文化財データベースと被災情報を連結させることで、文化財被害を視覚的に把握する効果がありました。このシステムを作成した中谷友樹は、東日本大震災の文化財被災地図をモデルケースに、発生が危惧される南海トラフ地震などの大規模災害への対策として、予測される震度分布と文化財の所在情報を連結させ、被災リスク評価と連動した文化財データベースの可能性を展望しています[17]。確かに被災リスクを踏まえた所在情報の把握は、災害対策を検討する際に重要な情報となります。また、災害発生後、現地への救済活動を進めるにあたり、被害予測に基づく優先順位の策定は、緊急時対応としても有効な手段となり得るものです。
一方で中谷は、被災地図の作成時に直面した課題として、公開される文化財情報に統一的な規格が存在しないこと、識別コード(ID)の欠如や文化財名の表記ゆれなどによる、データベースへの結合時における問題点をあげています。さらに、居住地となっている建築物も多く存在することから、文化財の保有者・管理者情報の公表範囲や時期などについては慎重に考慮する必要性があることも指摘します。
資料データの統一性に関しては、それぞれの情報を作成する側の合意形成が重要となります。いわば歴史や建築、情報に関する専門家間での情報共有と共通言語の設定という、専門家同士の議論によって解決すべき課題であると思います。
これに対して後者は、資料保存の推進主体に関わる問題です。換言すれば、仮に共通のデータが作成され、被害予測や被害状況と連結された網羅的な所在情報地図が構築されたとして、その情報を誰が災害対策や資料保存の基盤として活用するかが重要な課題です。
建築物や景観など、いわゆる不動産文化財は、所在情報の把握が容易ですので、災害対策への活用に向けたデータ構築がさまざまな角度から進められ、一部では実用例も紹介されています。こうした状況を踏まえ、動産の多様な歴史文化資料に対しても応用することができるかどうかが問われています。
4. 歴史文化資料を対象としたデータ活用は可能なのか
最後に、災害時を想定した歴史データの活用に関する展望を示しておきます。現在蓄積されている歴史データで、地図情報や災害情報と連結させやすいものは建築物などの不動産と国宝・重要文化財などの指定文化財情報です。これらはすでに地図情報とリンクさせた詳細なデータが作成され、活用段階にあることは本章で見てきた通りです。一方、近年その重要性・緊急性が注目されている未指定の民間所在歴史文化資料については、地域単位で取り組まれていることから、資料情報の統一化や網羅的なデータ構築が極めて困難であること、資料の移動が容易に可能であり、地図情報との連結に精密な効果が見出だしづらいという問題を検討しなければなりません。
これらの問題に対しては、まず既存の多様なデータをゆるやかに連結させていく方法が考えられます。現在多くの歴史データは、建築物や美術品といった資料の種類や、文化財指定・登録の有無といった対象物の性格などを軸に整理されています。分類基準としては重要ですが、あらゆるものが破壊されてしまう災害を想定した場合、対象となる地域を包括するデータが求められます。そのためには、歴史文化資料に関するデータを蓄積する諸分野間でデータを連結させるための役割が必要です。例えば、伝統的な建築物の中には、古文書や美術品が収蔵されていることが予想されますし、資料の修復履歴などには対応した資料に関する情報も記録されているでしょう。各分野の調査・研究に関するデータを連結させることが可能になると、特定の専門分野でしか認知されてこなかった資料情報が共有され、資料に対する複合的なアプローチが見込まれます。さらに、こうしたデータの共有は、同じ地域を対象とする専門家間の日常的な連携を促し、災害時において分野を横断した緊急対応を進めることも期待できます。ただし、その際に求められるものは、現地での救出作業に際して必要な資料情報だけでは十分ではありません。救出した資料を一時的に保管する場所の確保や、そこで集積した資料を取り扱う専門家への呼びかけ、資料管理に関する所蔵者との手続きなど、資料と資料保存を取り巻く関係者間の連携や整備を進めることによってはじめて活用できるデータとなります。
津波により多様なモノが被災する家屋(2011年5月8日、宮城県石巻市)
われわれが生活する社会は実に多様で可変的です。時間の経過とともに歴史や文化の捉え方は変化していきますし、価値観の変容とともに歴史文化を象徴する資料の範疇も増大していきます。資料保存はそうした文化の変容に対応するかたちで常に進展していきますが、頻発する災害や社会変容に影響され、近年その対応は激しく動揺しています。特に地域に遺された資料の保存に際しては、これまでのように個別的な営為努力に依存するのではなく、資料を取り巻く地域的な連携、さらには資料に関わる専門分野の横断的な連携が不可欠になります。イタリアの取り組みとして紹介した"Carta del Rischio"も、単に資料の所在情報だけを管理するシステムではなく、システムを構築する過程で歴史文化に関わるあらゆる専門家の協議に基づいた認識の共有と厳密な役割分担のもとに成り立っています。こうした先行的な取り組みに学びつつ、日本においても、災害対策として求められる行動と連携のあり方について幅広く議論し、おのおのが保有するデータを共有・連結させていくための模索を進めていく段階にあるのではないでしょうか。
─注(Webページはいずれも2018-10-10参照)
[01]2015年2月15日「「地域歴史遺産」の保全・継承に向けての神戸宣言」, http://siryo-net.jp/info/201502-kobe-declaration/.
[02]三輪嘉六「阪神・淡路大震災から東日本大震災」、文化財保存修復学会編『文化財の保存と修復14 災害から文化財をまもる』クバプロ、2012年。
[03]奥村弘「なぜ地域歴史資料学を提起するのか」、同編『歴史文化を大災害から守る』東京大学出版会、2014年、17頁。
[04]カルロ・カカーチェ「イタリアにおける文化財危険地図システムの構築と運用について-システムの活用-」、奥村弘・内田俊秀・天野真志編『文化財防災体制についての国際比較研究報告書』科学研究費補助金基盤研究(S)「災害文化形成を担う地域歴史資料学の確立-東日本大震災を踏まえて」研究グループ(研究代表者・奥村弘:課題番号26220403)、2016年、69頁。
[05]全国歴史資料保存利用機関連絡会議編『日本の文書館運動-全史料協の20年-』(岩田書院、1996年)、大友一雄「民間所在の記録史料と戦後の「国立史料館」構想」(国文学研究資料館編『社会変容と民間アーカイブズ』勉誠出版、2017年)。
[06]木村礎「日本史資料保存・利用問題-「いわゆる日本史資料センター」問題-について」(『木村礎著作集10 資料の調査と保存』名著出版、1997年、初出は『地方史研究』76、1965年)、津田秀夫「国立史料センター問題に関する若干の所見」(同『資料保存と歴史学』三省堂、1992年、初出は『歴史学研究』300、1965年)、林英夫「公文書館法の成立と「史料保存」運動」(『地方史研究』216、1988年)など。
[07]奥村弘「地域歴史文化拠点としての大学の重要性」、『歴史学研究』955、2017年。
[08]平川新「災害「後」の資料保全から災害「前」の防災対策へ」、『歴史評論』666、2005年。
[09]伊藤大介・椿井達也・吉川圭太「宮城資料ネットの活動と成果-歴史資料所在調査における諸技術について」、『歴史』107、2006年。
[10]前田正明「和歌山県における津波被害想定地域を対象とした文化遺産所在確認調査について」(前掲4所収)。
[11]前掲10、前田論文、34頁。
[12]二神葉子・隈元崇「活断層に起因する国宝文化財の地震危険度評価-国宝文化財所在地データベースの構築と活断層データベースとの連携」、『考古学と自然科学』44、2002年。
[13]「歴史的建築総目録データベース」(https://glohb-aij.eng.hokudai.ac.jp/)とは、一般社団法人日本建築学会が作成したもので、国や地方公共団体から文化財指定もしくは登録を受けた建築物、および指定・登録文化財ではないものの、築50年を目安として歴史的価値が高いと判断された建築物などを集積したものである。
[14]永井康雄・月舘敏栄・角哲・崎山俊雄「歴史的建築総目録データベースを用いた地震被害調査-2008年6月14日岩手・宮城内陸地震を例に-」、『歴史都市防災論文集』3、2009年。
[15]https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.asp.
[16]http://www.r-dmuch.jp/jp/project/c_heritage.html.
[17]中谷友樹「地理情報システムによる東日本大震災の文化財被災地図-震災による文化財被災リスク分布の把握に向けて-」、吉越昭久編『災害の地理学』文理閣、2014年。
─参考文献
・奥村弘『大震災と歴史資料保存』吉川弘文館、2012年。
・奥村弘編『歴史文化を大災害から守る』東京大学出版会、2014年。
・奥村弘・内田俊秀・天野真志編『文化財防災体制についての国際比較研究報告書』科学研究費補助金基盤研究(S)「災害文化形成を担う地域歴史資料学の確立-東日本大震災を踏まえて」研究グループ(研究代表者・奥村弘:課題番号26220403)、2016年。
・東京文化財研究所国際文化財保存修復協力センター編『ヨーロッパ諸国の文化財保護制度と活用事例[イタリア編] イタリアの文化財保護制度の現在』独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所国際文化財保存修復協力センター、2006年。
・文化財保存修復学会編『文化財の保存と修復14 災害から文化財をまもる』クバプロ、2012年。
・吉越昭久編『災害の地理学』文理閣、2014年。
------
【全体目次】
ご挨拶○新たな学の創成に向けて(久留島 浩)
はじめに(後藤 真)
chapter1 人文情報学と歴史学
後藤 真(国立歴史民俗博物館)
chapter2 歴史データをつなぐこと―目録データ―
山田太造(東京大学史料編纂所)
chapter3 歴史データをつなぐこと―画像データ―
中村 覚(東京大学情報基盤センター)
●column.1 画像データの分析から歴史を探る―「武鑑全集」における「差読」の可能性―
北本朝展(ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター/国立情報学研究所)
chapter4 歴史データをひらくこと―オープンデータ―
橋本雄太(国立歴史民俗博物館)
chapter5 歴史データをひらくこと―クラウドの可能性―
橋本雄太(国立歴史民俗博物館)
chapter6 歴史データはどのように使うのか―災害時の歴史文化資料と情報―
天野真志(国立歴史民俗博物館)
●column.2 歴史データにおける時空間情報の活用
関野 樹(国際日本文化研究センター)
chapter7 歴史データはどのように使うのか―博物館展示とデジタルデータ―
鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
chapter8 歴史データのさまざまな応用―Text Encoding Initiative の現在―
永崎研宣(人文情報学研究所)
chapter9 デジタルアーカイブの現在とデータ持続性
後藤 真(国立歴史民俗博物館)
●column.3 さわれる文化財レプリカとお身代わり仏像―3Dデータで歴史と信仰の継承を支える―
大河内智之(和歌山県立博物館)
chapter10 歴史情報学の未来
後藤 真(国立歴史民俗博物館)
おわりに