『図書新聞』3516号にて、朝里樹『玉藻前(たまものまえ)アンソロジー 殺之巻』(文学通信)の刊行を記念した【対談 朝里 樹 × 伊藤慎吾】が掲載されました
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第3516号 2021年10月23日 (土曜日)
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●2021年7月刊行
朝里 樹編著『玉藻前アンソロジー 殺之巻』(文学通信)
ISBN978-4-909658-59-3 C0095
A5判・並製・376頁
定価:本体1,900円(税別)
世界が始まり、悪狐が目覚める――。
人間離れした美貌を持ち、人を超えた才知をほこり、数千数万の軍隊を相手に戦うことができる強さを持つ、伝説上、最「恐」のヒロイン、玉藻前(たまものまえ)。しかし本邦には玉藻前を扱った作品が膨大に存在するにもかかわらず、広く読める現代語訳がありません。
本書は大の玉藻前好きであった著者が、「誰でも玉藻前に触れることができ、彼女の魅力を広めることができるならば」と、膨大な作品群を現代語訳で編んだアンソロジーです。
玉藻前の日本における活躍とその死後を描いた御伽草子『玉藻の草子』。殺生石と化した後、玉藻前の魂の救済を描いた謡曲『殺生石』。世界の始まりとともに生まれ、世界を魔界に堕とすため、中国、インド、日本の三国に渡った九尾の狐の暗躍とその脅威を描いた読本『絵本三国妖婦伝』。玉藻前が殺生石と化した後、その魂が救われるまでの空白の期間に起きた玉藻前に纏わる事件を描いた合巻『糸車九尾狐』。殺生石説話の主役である源翁和尚と殺生石に纏わる話を記した戦記物語『那須記』。
これらを現代語訳でお届けします。
付録エッセイに、「狐の窓」大屋多詠子(青山学院大学文学部教授)収録。
【玉藻前にはさまざまな魅力があります。
天地開闢(世界の始まりのこと。天と地が初めてできたこと)とともに生まれ、平安時代まで生き続け、死後、殺生石と化しても害をなし続けたしぶとさ。
この世を魔界に堕とそうとする大きな目的。
権力に取り入り、次々と国を滅ぼすほどの人間離れした美貌。
あらゆる事物に精通し、どんな問いにも明確に答えを返す、人を超えた才知。
神通力を自在に操り、生身でも数千数万の軍隊を相手に戦うことができる強大さ。
玄翁和尚の説法に己が仏心を受け入れ、善心を得て悪事をなすことを止めた最後。
そして中世から現在に至るまで、さまざまな物語の中でキャラクターのモチーフとなり、生き続けるその人気。
彼女には、私にとっての好きな要素が詰まっているのです。】
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【著者プロフィール】
朝里 樹(あさざと・いつき)
怪異・妖怪研究家。1990年北海道生まれ。法政大学文学部卒業。
在野研究者として怪異談の収集・研究を行う。
著書に、『日本現代怪異事典』『日本現代怪異事典 副読本』(笠間書院)、「好きなものに取り憑かれて」(荒木優太編著『在野研究ビギナーズ』明石書店)、『歴史人物怪異談事典』(幻冬舎)、『1日1話、つい読みたくなる世界のミステリーと怪異366』(監修、徳間書店)、『大迫力!禁断の都市伝説大百科』(監修、西東社)、『放課後ゆ〜れい部の事件ファイル たったふたりのヒミツのクラブ』(集英社みらい文庫)、『21世紀日本怪異ガイド100』(星海社新書)など。@asazato4
Cover illustration
とびはち
動物好きのイラストレーター。web、書籍の装丁を中心に活動中。@tonbippo08
【凡例】
○各作品を現代語訳するにあたり参照した資料は巻末「参考資料」にまとめた。
○『絵本三国妖婦伝』『糸車九尾狐』登場人物の関係性については巻末「主要人物相関図」(文学通信編)参照。
○固有名詞やそのほかの用語はなるべく通行の表記で統一した。
『絵本三国妖婦伝』
・編名(妲己・華陽夫人編・褒姒編・玉藻編)は原文にはないが読みやすさを考慮して転生ごとに付した。
・挿絵は国文学研究資料館蔵本(請求記号ナ4-945-1~15)より選び掲載した。
『玉藻の草子』
・原文では「玉藻前」という名がつけられる前の名である「けしょうのまえ」「化性の前」「けしょうの前」などさまざまな表記で登場するが、本書では「化生」が「神仏の人の姿で現れたもの」を表す言葉であり、本文中で「けしょうのまえ」が神仏の化身と例えられる場面が多いこと、また「化生」=「妖怪」の意味を含むことから「化生前」として統一している。
『糸車九尾狐』
・通し番号(一〜十七)と見出しは原文にはないが読みやすさを考慮して主に場面の転換ごとに付した。
・挿絵は国立国会図書館蔵本(請求記号191-150)より選び掲載した。
『那須記』
・読みやすさを考慮して、人名の羅列等省略した部分がある。
『殺生石』
・読みやすさを考慮して、直訳ではなく文章を整えた部分がある。
【目次】
まえがき─憧れであり理想の妖怪、玉藻前
玉藻前の物語
玉藻前の歴史
本書の構成
玉藻前の魅力
凡例
『絵本三国妖婦伝(えほんさんごくようふでん)』(読本)
妲己(だっき)編
第一章 蘇妲己、殷の紂王を惑わす 幷摘星楼にて遊宴する
第二章 紂王が妊婦の腹を裂く 幷伯侯を因え、伯邑考の肉を塩漬けにする
第三章 呂子牙の奇術が樵夫の難を救う 幷西伯が熊を夢に見る
第四章 西伯が子牙の庵を訪れる 幷子牙の名を太公望に改め、軍師として雇い入れる
第五章 太公望が雲中子に会い、照魔境を譲り受ける 幷雷震の伝説
第六章 周の武王が殷を討ち滅ぼす 幷太公望が妖狐を斬る
華陽夫人(かようふじん)編
第七章 悪狐が天竺に至る 幷鶴氅裘の由来
第八章 斑足太子の遊宴 幷華陽夫人が斑足太子を惑わせる
第九章 悉達太子が仏道を広める 幷悪狐花園に眠って傷つく
第十章 棄叉は忠義を尽くして死す 幷名医耆婆が、華陽夫人の脈を診る
第十一章 耆婆が孫晏に会う 幷華陽夫人、耆婆と問答する
第十二章 華陽夫人、耆婆と医学を論じる 幷耆婆、霊夢を見る
第十三章 耆婆が金鳳山に到り、薬王樹を得る 幷華陽はその正体を現し、塚の神の跡を残す
褒姒(ほうじ)編
第十四章 周の廬氏、懐妊十九年にして子を産む 幷悪狐が再び唐土に化生する
第十五章 褒姒が周の幽王を昏迷させる 幷犬戒の兵、幽王を殺す
玉藻(たまも)編
第十六章 仲麻呂の亡霊、吉備大臣を助ける 幷吉備公が野馬台の文を読む
第十七章 吉備大臣の帰朝 幷妖狐が真備を謀って日本に渡る
第十八章 坂部行綱が女の赤子を拾う 幷藻女、和歌を捧げて官女に召される
第十九章 藻女に依り行綱は恩顧を賜わる 幷小町以上の女房歌道名誉の話
第二十章 高陽殿にて藻女がその身より光を放つ 幷安部泰親が易道の妙を究める
第二十一章 玉藻前が泰親と問答する 幷玉藻前の弁舌、聴衆を驚かす
第二十二章 泰親が恥辱を受ける 幷加茂大明神の託宣
第二十三章 安倍泰親が祈祷を修する 幷玉藻前は帝都を去る
第二十四章 狐、那須野の原に逃げ隠れる 幷那須八郎の野干狩
第二十五章 狐が人民を殺し、傷つける 幷八郎上京して返事を奏上する
第二十六章 狐が泰親に化け、八郎を誑かす 幷山鳥の尾により化生を知る
第二十七章 内裏において狐狩りの稽古、犬追物の始まり 幷三浦、上総の両介が那須野へ向かう
第二十八章 両介、那須野原での狐狩り 幷泰親が降雨の法を行う
第二十九章 悪狐石に変じ災いをなす 幷貴僧が殺生石を教化しようとして毒にあう
最終章 玄翁が殺生石と問答し、教化する 幷玉藻神社勧請
『玉藻の草子』(御伽草子)
上
下
『糸車九尾狐(いとぐるまきゅうびのきつね)』(合巻)
一 物語の由来
二 蝮婆と九尾の狐
三 安村の母、秋桐
四 糸車九尾狐
五 玉縄生駒之助のこと
六 敷妙御前、娘との別れ
七 安村の最期、光村の決意
八 生駒之助、今生の別れ
九 敷妙御前の最期
十 鏡の宮
十一 光村、錦木村での出会い
十二 光村と八重機の再会
十三 小絹の覚悟
十四 鶴の羽衣
十五 袖萩が卯藤次を訪ねる
十六 安達ヶ原の鬼婆
十七 おわりに
『那須記(なすき)』(戦記物語)
巻四「一、頼朝公那須野御狩」
巻五「一、殺生石のこと」
『殺生石(せっしょうせき)』(謡曲)
関連資料
『おくのほそ道』
黒羽
殺生石・遊行柳
『下学集(かがくしゅう)』「犬追物」
『臥雲日件録(がうんにっけんろく)』「玉藻前ノ説話、那須ノ狐」
『甲子夜話(かっしやわ)』巻六十七
参考資料
[付録エッセイ]「狐の窓」大屋多詠子(青山学院大学文学部教授)
[付録]人物相関図(絵本三国妖婦伝・糸車九尾狐)