ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクション:「浜口陽三と波多野華涯ー匂い立つ黒と黒ー」(2024年6月11日(火)~2024年8月18日(日))

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展覧会情報です。

●公式サイトはこちら
https://www.yamasa.com/musee/exhibitions/20240611-0818/
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※詳細は上記サイトをご確認ください。

会期
2024年6月11日(火)~2024年8月18日(日)

休館日
月曜日、(ただし7/15,8/12は開館)、7/16(火)、8/13(火)

開館時間
11:00~17:00(土日祝は10:00~)、最終入館16:30
(ナイトミュージアム)会期中の第1・3金曜日*は20:00まで開館、最終入館19:30(6/21,7/5,7/19,8/2,8/16)

料金
大人600円/大学・高校生400円/中学生以下無料

静かな闇に浮かぶさくらんぼ。
浜口陽三( 1 9 0 9 ‐ 2 0 0 0 )の銅版画は、光を含んだ闇のグラデーションが印象的です。本展ではその銅版画と共に、陽三の父と交流のあった南画家・波多野華涯( 1 8 6 3 - 1 9 4 4 )の「蘭竹図銀屏風」を展示します。清流と切り立つ岩に竹と春蘭をあしらった銀屏風は、黒の濃淡によって、立ち上る霧や蘭の芳香まで表現され、臨場感をもって迫ってきます。浜口作品における墨絵の影響は、これまで幾度となく評論家に指摘されてきました。

今回は画風を超えたさらなる繋がりを求めて、永遠の時空で響き合う二人の画家の作品、とりわけ黒の諧調をご覧いただきます。

ごあいさつ

世界的銅版画家浜口陽三氏の美術館創設25周年を記念して、この度、浜口陽三氏の作品と、私の曽祖母波多野華涯の南画作品「蘭竹図六曲一双銀屏風」を取合せる企画が実現致しました。実はこの屏風は、昨年5月、G7広島サミットの宮島会合において、各国首脳達の背後に飾られたものです。今年は奇しくもこの屏風が描かれてから100年目の年にあたります。この度、所蔵者岩惣旅館の御協力をいただき、初めて東京にやってまいります。浜口陽三氏の銅版画との出会いが、新たな世界を生み出すかもしれません。一期一会のこの機会に、より多くの皆様に御清鑑いただけますよう祈念致しております。

華涯文庫代表 小田切マリ

〇波多野華涯について

波多野華涯( 1 8 6 3 - 1 9 4 4 )は、大阪に生まれ、東京に出て跡見花蹊や瀧和亭、のちに地元で森琴石に学んだ後、1 9 1 7 年に岡山に住まいを定め、南画家として生き抜いた女性です。浜口陽三の父、第十代濱口儀兵衛の後半生の南画の師でもありました。構図やモチーフのとりあわせ、配色など、華涯は南画の伝統を守りつつも、新鮮な感性を盛り込み、当世の南画とも言える力強い作品を残しました。昨年は実践女子大学香雪記念資料館にて展覧会が開かれ、この夏には岡山県立美術館で本格的な回顧展が予定されています。

〇浜口陽三と南画

浜口陽三は、40歳を過ぎてから本格的に銅版画に取り組み、独自の作風を大成させました。東京芸術大学を中退し、銅版画家に至るまで、陽三は自分なりの芸術を探求しつづけ、油彩、水彩、彫塑など、様々な制作を手がけています。陽三が試みたのは、西洋の芸術だけではありません。浜口陽三の父、第十代濱口儀兵衛は、南画の収集家として知られ、自身も小室翠雲について南画を描きました。南画は、当時の名士たちの多くが身につけた共通の教養であり趣味でした。浜口陽三も南画に親しんで育ち、画業の転機に際した30代の一時期には墨絵を習いました。