第二四回澁澤龍彥研究会「澁澤龍彥と金井美恵子:「母子像」の構造および反転のイメージから」(2024年3月3日(日)14:00~、ZOOM)※要申し込み
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◆発表者
安西晋二
◆発表題目
澁澤龍彥と金井美恵子:「母子像」の構造および反転のイメージから
◆発表要旨
澁澤龍彥と金井美恵子とのあいだには、少なくとも1970年代には交流が始まっていたようだ。『澁澤龍彥をめぐるエッセイ集成』にも、澁澤との記憶を語った金井の文章が複数収録されている。それに対し、澁澤から金井への言及はほとんど見当たらない。そのなかで金井美恵子の創作を対象とした、唯一といってもよい文章が、「金井美恵子『兎』書評」(「文藝展望」第5号1974.4/『貝殻と頭蓋骨』所収)であろう。ただし、ここで澁澤は、表題作の「兎」ではなく、「人間関係やイメージの夾雑物が少なく、自己と他者の関係が、複雑な構造を見せながら、それだけですっきりと際立っているような作品」として「母子像」を高く評価した。また、この「母子像」は、近親相姦を描きつつ、娘が母へ、父が息子へとイメージの反転が描かれている。「兎」も、父と娘の近親相姦的な内容であり、かつ類似した反転イメージを読み取れるが、澁澤はそこには言及しなかった(むしろ、「母子像」や「愛あるかぎり」に比べ、「兎」は「完成度から言えば前記の諸作に劣る」とまでされている)。
本発表では、このような澁澤龍彥による金井作品の評価と、澁澤作品を「お話し」と語る金井美恵子の評価を対照させつつ、両者の創作における接点を検討したい。そこから、澁澤龍彥と他作家の比較研究というようなテーマに向けた、問題提起的な発表を進めていく予定である。
◆発表日時
2024年3月3日(日)、14:00~