民族藝術学会第168回研究例会(2023年7月22日(土)14:00〜16:30、大阪大学中之島芸術センター「スタジオ」)

このエントリーをはてなブックマークに追加 Share on Tumblr

研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://mg-gakkai.org/2023/06/13/839/

--------------------

※詳細は上記サイトをご確認ください。


■ 日時:2023年7月22日(土曜日) 14:00〜16:30

■ 会場:大阪大学中之島芸術センター 「スタジオ」(*対面のみの開催です)
    〒530-0005 大阪市北区中之島4丁目3-53
    大阪大学中之島センター 3階「アートスクエア」内

■ 内容:

鈴木聖子(音楽学・大阪大学)
「音響映像メディアにおける日本の伝統音楽・伝統芸能の記録と表現 ― 雅楽を事例として」

音響と映像の記録再生技術が発明されてから、約120年が経つ。日本の「無形文化財」の保護制度など、「失われゆく」伝統音楽・伝統芸能を保存しようとする文脈においては、音楽・芸能の「記録の作成」が行政事業として設定されてきた。しかしメディア・リテラシーの観点から言えば、記録という行為には権力や主観が働くものであるから、このような記録も作者の表現として捉えなおす必要があると思われる。本発表は、雅楽が記録/表現された音響映像メディア(フィルム、ビデオ、YouTube)を事例として取り上げ、作者たちがそれらをどのような効果を生みだすものとして制作したかを歴史的に読み解きつつ、伝統的な音楽・芸能の記録/表現の今後の在り方を考察する。

中村恭子(日本画・大阪大学 )
「書き割りの風景・肉体」

南米チリで信仰されるアニミータは、不慮の死などの悲劇的な死を遂げた魂のために建てられる墓碑である。通常、アニミータを建てるのは死者の近親者で、死者の生前を偲び、死を悼むのも近親者であり、無関係な者が訪れることは無い。そのようなアニミータは、無人格なアニミータとされる。無人格のアニミータはしたがって、基本的に死者と家との関係が切り離されることは無い。一方で人格的アニミータという驚異の存在がある。人格的アニミータは、アニミータそれ自体が死者個人とは独立に人格化されていく。本研究では人格的アニミータがどのように創出されるのか、という問いを通して、創造の原理を日本画による藝術制作の実践から示す。