琉球新報2023年4月30日に、<書評>『おもろさうし選詳解』 復帰とともに歩んだ研究(古橋信孝・武蔵大名誉教授)、掲載
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本書の詳細は以下より。
島村幸一『おもろさうし選詳解』
ISBN978-4-909658-97-5 C0095
A5判・上製・896頁
定価:本体10,000円(税別)
今までの注釈ではオモロを捉え切れない――最新の『おもろさうし』研究である、全六十九首の『おもろさうし』の「選詳解」。
これまでのオモロの注釈や解釈では、特に他の琉球歌謡との比較がほとんど行われていなかった。また、オモロ語の詳しい用例、オモロ以外の歌謡の中の用例も参照する必要があるが、オモロ語注に利用できる研究成果も現在では多数存在している。また新たに加えられなくてはならない視点として、オモロが位置付く巻の性格や前後の排列に配慮しなければならない。本書はこういったことを加えたうえで、本文・鑑賞・歌形・語釈・解説で一首の詳しい注釈と解説を行いユニークな魅力を伝える、最新の『おもろさうし』詳解。
【『おもろさうし』(全二十二)には、一五五三首(尚家本)のオモロが収録されている。編纂年は、巻の扉書きから第一が「嘉靖十年」(一五三一。琉球国の元号記載の基本は中国元号)、第二が「万暦四十壱年」(一六一三)、第三以下が「天啓三年」(一六二三)である。ただし、第十一、十四、十七、二十二には編纂年の記載がない。『おもろさうし』の編纂の実質は、第三回目の「天啓三年」が中心であったと考えられる。】
【オモロは、おそらく万葉歌や記紀歌謡、あるいは神楽歌、催馬楽等とほとんど比較できない唯一無二の歌謡であると考えられる。西郷が「オモロの世界」で示した「オモロはちょっと他に類比項の見あたらぬ歌謡であり」、「私には、同質性よりはむしろその独自性の方が強く印象づけられている」という理解は妥当である。そして、このことは琉球文学が現在の日本文学の枠にそのまま収まらないことを意味している。】......「序文」より
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【著者紹介】
島村幸一(しまむら・こういち)
1954年生まれ。立正大学文学部教授。専門は琉球文学・琉球文化史。
著書・編著に『『おもろさうし』と琉球文学』(笠間書院、2010年)、『琉球文学の歴史叙述』(勉誠出版、2015年)、『おもろさうし研究(立正大学文学部学術叢書3)』(角川文化振興財団、2017年)、『琉球船漂着者の「聞書」世界 『大島筆記』翻刻と研究(叢書・沖縄を知る)』(勉誠出版、2020年)など。
【目次】
序文―『おもろさうし選詳解』を読むために
1 はじめに
2 オモロの理解の難しさ
3 オモロの歌形、小野重朗が提示した分離解読法
4 オモロの記載と歌形
5 舞踊歌としてのオモロ
6 連続部と反復部の接近、二節のオモロなど
7 まとめとして
8 凡例
『おもろさうし』選詳解
第一
〔01〕「天が下 平らげて ちよわれ」「神 てだの 守りよわる按司襲い」―『おもろさうし』の始まり―(第一―一・二)
〔02〕「良底名よ 乞ゆわちへ/み御船名よ 乞よわちへ」―聖名を付ける船―(第一―三八)
第二
〔03〕「よきやのろす おもろ音や 取りよわれ」―「地方オモロ」の神女―(第二―五一)
〔04〕「あはれ 若松」―「くじ」(故事)が付くオモロ―(第二―六五)
〔05〕「越来綾庭に 黄金木は 植へて」―祭場の黄金木―(第二―七五)
〔06〕「たう〳〵は 走ちへ ひら〳〵は 這うて」―越来のティダの元に駆けつける―(第二―八三)
第三
〔07〕「明けま年 向かは/向かかお吉日 押し開けば」―時の出現―(第三―九九)
〔08〕「にるや鳴響む大主/大島鳴響む若主」―来訪神を謡う―(第三―一〇〇)
〔09〕「きやの内庭に 金 降り満ちへて」―「直伝」が付くオモロ―(第三―一三七)
第四
〔10〕「東方の黄金穴 黄金花の 咲き居れば」―姿をあらわす太陽―(第四―一五九)
〔11〕「あまみやから 相手君やれば」―国王の「相手」をする神女―(第四―二〇三)
第五
〔12〕「きやかす 囀るな 側す 囀るな」―按司・ティダに仕える―(第五―二七四)
〔13〕「おぎやか思いぎや おこのみの 並松」―都を造る王―(第五―二八一)
第六
〔14〕「筑紫ちやら 佩きよわちへ/手金丸 差しよわちへ」―歌唱者としての君(神女)―(第六―三二四)
〔15〕「あま 鳴らちへ さしふ 助けわちへ」―家譜に引かれたオモロ―(第六―三四二・三四三)
第七
〔16〕「聞得大君や 知念杜ぐすく 掛けて 相応よわちへ」--国王・聞得大君の知念行幸--(第七―三四六)
〔17〕「おれづむが 立てば/初北風が 押し出ぢへば」―二つの季節―(第七―三四九)
〔18〕「百歳 成るぎやめむ 面変わり しよるな」
―「君手擦りの百果報事」のオモロ、国王の永遠の命を言祝ぐ―(第七―三六三)
〔19〕「金精 付き遣り 御前 輝居らに」―輝く王―(第七―三八〇)
〔20〕「よこたりが 貢 按司映いが 捧げ」―正月元日の献上を謡う―(第七―三八五)
第八
〔21〕「面影ど 立ち居る」―ティダを見に行く―(第八―三九六)
〔22〕「月や おだし子 てだは 世の主」―ティダ(太陽)と月―(第八―四五九)
第九
〔23〕「げらへ屏風 鳴響めば 見物」―舞の手が付くオモロ―(第九―四七九)
〔24〕「珍らしやど 有り居る」「明けとまに 降れ欲しや」―神女を迎える王―(第九―五〇八)
第十
〔25〕「嶺間くびり 七十 倒ちへ/儀保くびり 百十 倒ちへ」―琉球侵攻、首里の戦い―(第十―五二五)
〔26〕「あれや この 櫂取り/押せや この 櫂取り」―櫂を取る神女―(第十―五三五)
〔27〕「なよ笠の 船頭 上手/袖清らが ゆ取り 上手」―神女の航海―(第十―五五二)
〔28〕「聞へ押笠 鳴響む押笠 やうら 押ちへ 使い」―シマを渡る神―(第十―五五四)
第十一
〔29〕「鬼より 勝り せぢ 添わて」―久米島の歌唱者―(第十一―六一四)
〔30〕「宮古こいつ/八重山こいつ」―オモロの宮古と八重山―(第十一―六四五)
〔31〕「鱬艮 百 取り遣り/亀 百 取り遣り」―鱬艮・亀を捕る―(第十一―六五〇)
第十二
〔32〕「嶽中 杜中 降れわちへ」―神女の降臨―(第十二―六五六)
〔33〕「思い君 金門 淀しよわ/げらへ君 金門 淀しゆわ」―祭場に神女を迎える―(第十二―六九〇)
〔34〕「あくれなの鳥/口長の鳥」―神女を追う鳥―(第十二―七三一)
第十三
〔35〕「蒲葵島の神々 おさん為ちへ 守りよは」―見下ろし見守る神々―(第十三―七六九)
〔36〕「按司襲いぎや 親御船/おぎやか思いぎや 親御船」―唐から帰る琉球船―(第十三―九〇〇)
〔37〕「遣り襲いは 崇べて 真南風風 乞うたれ」―真南風を乞う―(第十三―九〇二)
〔38〕「かゑふたの親のろ 親御船よ 守りよわ」―与論島の親のろ―(第十三―九二九)
〔39〕「何 見ちへが なよる 君 見ちへす なよれ」―波の踊り―(第十三―九六四)
第十四
〔40〕「蹴上げたる露は 露からど 香しや 有る」―露の力で称えられた英雄―(第十四―九八二)
〔41〕「がぢやも せゝられて 糠子 せゝられて」―山に籠もる娘―(第十四―九八七)
〔42〕「西嶽のさくらが 咲く様に/東嶽に むらさきやが 咲く様に」―神の訪れを告げる比喩―(第十四―九八九)
〔43〕「按司の孵で親国」―佐敷と浦添と―(第十四―一〇一四)
〔44〕「雨くれ 降ろちへ 鎧 濡らちへ」―薩摩の軍船を迷わす―(第十四―一〇二七)
〔45〕「中 盛らちへ 按司襲いに みおやせ」―王に捧げる―(第十四―一〇三九)
第十五
〔46〕「孵で水よ おぎやか思いに みおやせ」―「吉方御水献上」を謡う―(第十五―一〇八〇)
〔47〕「白種の 寄り靡く 清らや」―豊作を幻視するティダ(領主)―(第十五―一一〇三)
第十六
〔48〕「足 ねぶさ やぐめさ」―神女の首里上り―(第十六―一一六二)
〔49〕「勝連す 国手持ちぐすく」―勝連グスクの力―(第十六―一一六四)
第十七
〔50〕「名護境 親境 来居もの」「喜瀬の子や 我が弟ぢや」―名護グスクに集まる酒と人―(第十七―一一八〇・一一八一)
〔51〕「鼓声 聞ゝ欲しや しよわちへ」―あらわれを待つ神女―(第十七―一二〇五)
第十八
〔52〕「百名わ 浦南風 吹けば」「百名 浦白 吹けば」―百名に吹く二つの風―(第十八―一二五七・一二五八)
〔53〕「雨たもす 漏らね/くれたもす 漏らね」―雨乞いのオモロ―(第十八―一二六四)
第十九
〔54〕「君がけおの内る かにある」「君が金内る かにある」「神楽のけお内る かにある」―類型表現の連鎖―(第十九―一三一八・一三一九・一三二二)
〔55〕「苦世 歓世 為す てだ」―理想のティダ(領主)―(第十九―一三三〇)
第二十
〔56〕「山内仁屋が 兄部子ぎや おもろ」―「地方オモロ」の歌唱者―(第二十―一三四五)
〔57〕「那覇港 橋 渡ちへ 道 渡ちへ」―碑文記とかかわるオモロ―(第二十―一三五四)
〔58〕「世掛け鷲 捕りよわちやる 勝り」―鷲を捕る―(第二十―一三六二)
第二十一
〔59〕「あまみやみるやにや まきよ 選です 降れたれ」―久米島に渡った男神―(第二十一―一三九四)
〔60〕「なさい子が 御み顔の 見欲しや」―オモロの「恋歌」―(第二十一―一四二四)
〔61〕「精声 聞ゝ欲しや 国鳴響み」―鼓の声―(第二十一―一四七八)
第二十二
〔62〕「穂花 取て ぬき上げは 塵錆は 付けるな」―稲穂祭を謡う―(第二十二―一五〇八)
〔63〕「御肝愛しぎや/御顔愛しぎや」―新オモロ―(第二十二―一五五二)
あとがき
初出一覧
索引(引用歌謡・語注・一般項目)