パラミタミュージアム(三重県):開館20周年「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」(2023年2月3日(金)~3月28日(火))
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●公式サイトはこちら
https://www.paramitamuseum.com/plan/next_exhibition.html
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※申し込み等は上記サイトをご確認ください。
2023年2月3日(金)~3月28日(火) ※会期中無休
KAWASE HASUI
旅情詩人と呼ばれた木版画家
大正から昭和にかけて活躍した木版画家・川瀬巴水(かわせ・はすい/1883~1957)。日本各地を旅し、庶民の生活が息づく四季折々の風景を描き続けた巴水は「旅情詩人」とも呼ばれ、今なお多くの人に愛されています。その巴水に影響を与えたのが、版元の渡邊庄三郎です。庄三郎は浮世絵の技術を継承しながらも、新しい時代の版画芸術として「新版画」を推進、巴水は庄三郎や、高い技術を誇る彫師・摺師らと協業しながら、日本国内における木版画の「芸術作品」の制作に励みました。
巴水の創作活動が順調に進んでいた1923(大正12)年、関東大震災が発生し、この震災で庄三郎は作品や版木のほとんどを、巴水は写生帖を焼失してしまいました。早々に店の再建に取り掛かった庄三郎は、憔悴する巴水の背中を押して旅に送り出し、巴水は生涯で一番長い旅に出かけ、各地での写生を基に制作を再開します。この頃から巴水の筆致に変化が生まれ、震災前の作品に比べ、より写実的で鮮やかな色彩の作品が制作されるようになりました。
本展では川瀬巴水の生涯を〈版画の制作を始めた頃から関東大震災が起きるまで〉〈震災を経て変化した作風〉〈太平洋戦争前後から晩年まで〉の3章に分け、代表的な作品と共にご紹介いたします。
この機会に、日本の風景を詩情豊かに描いた、巴水の版画世界をご堪能下さい。
スティーブ・ジョブズも魅了した巴水
アップル・コンピュータの共同創業者スティーブ・ジョブズは、日本の新版画を愛し、特に川瀬巴水はお気に入りの作家でした。図版④はジョブズが購入した中にもあった作品です。
主催 公益財団法人岡田文化財団パラミタミュージアム
後援 中日新聞社、朝日新聞社、読売新聞社、NHK津放送局、三重テレビ放送
特別協力 渡邊木版美術画舗
資料提供 大田区立郷土博物館
企画協力 NHKエンタープライズ近畿、ステップ・イースト
関連イベント 記念講演会
日時:2月19日(日) 午後2時~午後3時30分
演題「川瀬巴水と新版画」
講師:渡邊章一郎(渡邊木版美術画舗 代表取締役)
◆聴講は無料ですが当日有効の入館券と整理券が必要です
◆整理券は当日午後1時から配布します
◆先着50名
※関連イベントは諸事情により中止になる場合がございます
★★★文学通信の川瀬巴水の本★★★
最新刊
川瀬巴水とその時代を知る会編
『川瀬巴水探索 無名なる風景の痕跡をさがす』(文学通信)
ISBN978-4-909658-90-6 C0070
A5判・並製・160頁(フルカラー)
定価:本体1,900円(税別)
いまや、日本のみならず、世界でも大きく注目される川瀬巴水(かわせはすい)。
明治・大正・昭和の日本全国を旅して優れた風景画を手掛け、「旅情詩人」との高い評価を得ました。無類の旅好きの巴水は、「無名の、市井の、誰も注目しないような「ふとした景色」に無限の同情を寄せて(林望)」いました。
本書は、巴水の絵を持って、その描かれた場所(茨城や東京その他)を探索したものです。さまざまな発見が紹介されますが、言えることは、巴水の風景画は、その土地に立ってみなければ分からないことがたくさんあるということでした。巴水作品を地元から掘り起こすというのは、はじめての試みといってよいと思います。
巴水が亡くなってから六十五年。まだその風景の痕跡は残っています。巴水の見た世界やその当時の息吹、そして巴水の思いが次々と立ち上がってきます。結果、より深く巴水の絵を知ることができるようになります。
一体どこでこの絵を描いたのか? 茨城を中心に、東京、小樽を旅した、旅と探索の報告書です。推理小説的でもあり、読み物として面白い。またさまざまな発見のためのノウハウも満載。皆さんも、本書を片手に、ぜひ探索の旅に出掛けませんか。
推薦・林望(作家・書誌学者)「無名なる風景を逐一特定しつつあるのは、非常に大きな業績である」。
執筆は、林望(推薦文)、鈴木昇、染谷智幸、五十嵐俊之、柏原民代、加藤瑤子、小岩美帆、助川桂子、根本敬三、平山順子、深澤文子。初公開の関東大震災後の巴水東京スケッチもあります。フルカラーでお届けします。
PayPalでお支払い(各種クレジットカード対応)入金を確認次第、すぐに発送(送料無料)。
案内をメールでお送りいたします。
【編者紹介】
川瀬巴水とその時代を知る会(かわせはすいとそのじだいをしるかい)
本会は、2015年7月結成、茨城を中心に巴水作品の探究とそれを通しての親睦を目的としている。
代表の染谷智幸、顧問の鈴木昇をはじめ、五十嵐俊之、柏原民代、加藤瑤子、小岩美帆、助川桂子、根本敬三、平山順子、深澤文子(五十音順)よりなる。
染谷智幸(そめや・ともゆき)
博士(文学)。茨城キリスト教大学文学部教授、国際新版画協会理事。専門は日本近世文学・日韓比較文化・文学。著書に『西鶴小説論』(翰林書房)、『冒険・淫風・怪異』(笠間書院)、編著に『はじめに交流ありき』(東アジア文化講座第1巻、文学通信)、『全訳 男色大鑑・武士編/歌舞伎若衆編』(文学通信)、『日本近世文学と朝鮮』(勉誠出版)など。
【目次】
[巻頭特別寄稿]すべてはここから始まる(林 望)
[巻末推薦文](鈴木 昇)
1 探索エピソード
1 この石、ひょっとして(茨城「河原子乃夜雨」)(染谷智幸)
2 探し始めて一年半、ついに発見、兜作りの瓦屋根(茨城「金郷村」)(染谷智幸)
3 市松模様の着流し、女か男か、それとも......ふるさと東京のトワイライトゾーン(東京「大森海岸」)(染谷智幸)
4 巴水が「静寂な画趣」と、自画自賛した作品(北海道「小樽之波止場」)(助川桂子)
[はじめに]川瀬巴水の絵を持って小旅行に出よう(染谷智幸)
[略歴]川瀬巴水とは(染谷智幸)
[コラム]愚直の版画道―巴水の人生から見えてくるもの(小岩美帆)
2 巴水作品全県調査――何が分かるのか
1 巴水作品の県別・年次別調査報告(柏原民代)
2 調査の結果から見えてくるもの―巴水の目からすれば、茨城が全国魅力度ランキング第1位?(染谷智幸)
[コラム]地図で紹介する巴水と茨城(染谷智幸)
3 巴水の絵を訪ねる1 平潟の風景
「平潟東町」―巴水版画に織り込まれた世界(加藤瑤子)
4 巴水の絵を訪ねる2 五浦の風景
「五浦之月」―船を漕ぐ人、それは誰なのか(深澤文子)
[コラム]「金郷村」には何が描かれているか(助川桂子)
5 巴水の絵を訪ねる3 水木の風景
「水木の曇り日」―巴水の描いた道を〈大祭礼〉は通ったか(平山順子)
[コラム]河原子はひなびた漁村だったか(平山順子)
[コラム]新聞に載りました―巴水の水彩画発見など(染谷智幸)
◎小特集「巴水と東京」
初公開! 関東大震災後の巴水東京スケッチ(染谷智幸)
6 巴水の絵を訪ねる4 水戸・磯浜の風景
1 「水戸大野」―巴水の描いた家を探して(根本敬三)
2 「磯浜」―地元だからこそ気づいた時のうつろい(根本敬三)
[コラム]「水戸薬王院」の歴史と巴水(柏原民代)
7 巴水の絵を訪ねる5 浮島・潮来・牛堀の風景
1 浮島―巴水を魅了した景色がここにある(染谷智幸)
2 潮来・牛堀―巴水の見た水郷、一泊二日の写生旅行(柏原民代)
[コラム]「牛堀乃夕暮」―初摺と覆刻の違いから見えてくるもの(染谷智幸)
8 巴水と茨城キリスト教学園―依頼された水彩画とポストカード
[座談会]「川瀬巴水、誰ですかそれは?」(鈴木昇・五十嵐俊之・染谷智幸)
巴水と茨城関連年表(五十嵐俊之)
所収作品解題(染谷智幸)
[あとがき]巴水のご息女・川瀬文子さんを囲んだあの日(染谷智幸)
編者・執筆者紹介