東京大学ヒューマニティーズセンター:第77回オープンセミナー「海保青陵は動く──江戸後期の異色の儒者を捉え直す二つの視点」(2022年8月12日(金)17:30〜19:30、Zoom)※要申し込み

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/open-seminar/2022/77-kaiho-seiryo/
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※詳細は上記サイトをご確認ください。


日時:2022年8月12日(金)17:30 - 19:30
場所:Zoomオンライン開催

報告者
ミヒャエル・キンスキー(フランクフルト大学日本学科 教授)
徳盛 誠(東京大学大学院総合文化研究科 講師)

使用言語:日本語
主催:東京大学ヒューマニティーズセンター


〈概要〉

海保青陵(1755年 - 1817年)は、異色の経済論で知られる江戸後期の儒者です。当時の日本を、安定した全体秩序の下で商品経済が浸透した結果、あらゆる次元で経済上の争いが行われている時代と捉え、主君と武士の関係を含めたすべての社会関係は等しく売買関係であると喝破しました。この独特の認識に立って、同時代の儒者の無力を痛烈に批判し、現代とほぼ同様の意味で「経済」という語を用いながら、各地の武士や商人、農民らに状況打開のための活発な提言を続けたのです。

こうした言動は、経営コンサルタントといった現代の職業も想起させてきわめて興味深く、青陵に思想史上の独自の位置を与えてきました。しかし今回のセミナーでは、この人物がそれとは異なった顔をもっていたことに注目して、青陵像をあらためて考えたいと思います。

一つは、遊歴した各地で、また後年居を構えた京都でしばしば漢詩や絵画をつくり、それを介して多種多様な人びとと交歓した文人としての青陵です。もう一つは、世情の分析から離れ、経済論経済策も交えず、儒教経典の根本書である『書経』「洪範」の解釈に正面から取り組んだ青陵です。

皆さんと、さまざまな議論ができればと思います。皆さんの参加を待っています。


〈プログラム〉

17時30分:M・キンスキー「詩画が描き出す「孤鶴」のすがた──文人としての青陵」
18時00分:徳盛誠「水源に向かって歩く──青陵の『書経』「洪範」解釈」
18時30分:休憩
18時40分:議論の時間
報告についての議論/江戸時代の思想家とどう付き合うか──『海保青陵全集』から原本・写本に遡る/海外で日本文化史・思想史を研究すること。
19時半:終了予定。