読売新聞・本よみうり堂(2021.6.20)にて、渡辺尚志『言いなりにならない江戸の百姓たち─「幸谷村酒井家文書」から読み解く』(文学通信)が紹介されました
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https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/briefcomment/20210619-OYT8T50093/
本書の詳細は以下。
渡辺尚志『言いなりにならない江戸の百姓たち─「幸谷村酒井家文書」から読み解く』(文学通信)
ISBN978-4-909658-56-2 C0021
四六判、並製、168頁
定価:本体1,500円(税別)
百姓たちは無学で読み書きができず、
武士に一方的に支配される、無力で弱い存在だったのか。
しかし、古文書をひもといてみれば、そこには百姓たちが生き抜くために読み書き・計算の能力を身につけ、村のルールを自分たちで決め、積極的に訴訟を起こし、ときには支配する領主たちに敢然と自己主張するたくましい姿が浮かび上がってくる。
本書では江戸時代の圧倒的多数者だった無名の百姓たちの実像を、実際の古文書をひもとき、解説を加えながら明らかにしていく。
江戸時代の人口の約八割は村の百姓たちだった。彼らについて知ることは、その時代の生活・思考様式について知ることにもつながる。
百姓像のイメージをアップデートする入門書、誕生。
【自分たちの暮らす村を自治的に運営していた百姓たち、読み書き・計算を学んで、さかんに商品の売買を行ない、ときには積極的に訴訟を起こして要求を実現しようとする百姓たち、広範囲にわたって結びつきを拡げることで災害に立ち向かった百姓たち、武士に対しても敢然と自己主張する百姓たち、そうしたたくましい百姓たちの姿が浮かび上がってきたのではないでしょうか。本書が、江戸時代の百姓たちの実像を知っていただく一助となれば幸いです。】......「おわりに」より
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【著者紹介】
渡辺尚志(わたなべ・たかし)
1957年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。
一橋大学名誉教授。専門は日本近世史・村落史。主要著書に、『百姓の力』(角川ソフィア文庫)、『百姓たちの江戸時代』(筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉)、『百姓たちの幕末維新』(草思社文庫)、『東西豪農の明治維新』(塙書房)、『百姓の主張』(柏書房)、『海に生きた百姓たち』(草思社)、『日本近世村落論』(岩波書店)などがある。
【目次】
はじめに―百姓は無学で読み書きができなかった?
江戸時代の主人公は無名の百姓たち/幸谷村酒井家文書からみえる江戸時代/古文書を実際に読む
第一章 入門、江戸時代の村!
江戸時代の村とは?/江戸時代は石高制の社会/村の住民/村のしくみ/百姓の負担と村請制/江戸時代の貨幣制度/江戸時代には閏月があった/一つの村に三人の領主/異なる領地・領民が入り交じる/村の神社は村人全員で維持する/寺を支える中心的な檀家だった酒井家
第二章 領主と村と百姓の関係
もっともポピュラーな年貢額の決め方/個々の百姓の年貢額は村が確定する/古文書を読む その1/文書から見えてくる百姓たちの権利と能力/自主的に定めた村の掟/村掟から読みとれる生活様式/作物の盗難を防ぐために講じられた対策
第三章 なぜ年貢をめぐって村人同士が争ったのか
領主からの負担をめぐる村内対立/四郎兵衛を擁護する人たち/争いの決着と背景/古文書を読む その2/一つの村から浮き彫りになる江戸特有の制度/百姓たちに求められた能力
第四章 水をめぐる協力と対立―農業用水・堤防・排水
用水をめぐる争いと和解/江戸川の堤防を守る/坂川の排水を良くするための課題と行動/古文書を読む その3/排水機能の改善が引き起こした対立
第五章 武士に「もの言う」百姓たち―武士の罷免を求め、領主の人事に口を出す
百姓が武士の罷免を求める/百姓が領主の人事を左右する/身分制の柔軟なあり方/続く百姓と領主のせめぎ合い/古文書を読む その4/領主の借金を百姓に転嫁/幕末になってさらに深まる矛盾
第六章 イワシも屎尿も貴重な肥料―裁判をいとわない百姓たち
肥料の売買をめぐるトラブル/栄吉をめぐるトラブル、再び/古文書を読む その5/裁判をいとわない百姓たち/肥料を金で買う時代/酒井家が地域の金融を支える
おわりに――協力しあい暮らしを守るたくましい百姓たち