日本近世文学会 2021春季大会シンポジウム「デジタル時代の和本リテラシー 古典文学研究と教育の未来」(2021年6月12日(土)13:30〜15:40、オンライン=Zoom・YouTube。大会は12-13日です)

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
http://www.kinseibungakukai.com/doc/taikai140.html

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日本近世文学会 2021春季大会シンポジウム
「デジタル時代の和本リテラシー 古典文学研究と教育の未来」

2021年6月12日(土)13:30〜15:40
オンライン=Zoom・YouTube

公式サイト
http://www.kinseibungakukai.com/2021haru_symposium/

★参加申し込み
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScf3IoQUkMEmejm_zEiCHE3oD9_6scBFU_hhf5q_cGsVlHuGw/viewform


昨年秋のシンポジウムは「つながる喜び――江戸のリモート・コミュニケーション」と題しましたが、それを受けて今回は、我々が体験したオンラインでの「つながる喜び」の先を考える機会にしたいと思います。

国や地域を越えてオンラインでつながって、デジタル化が進んでいく、その先にある古典文学研究や教育の課題について、様々な取り組みから見えてくる課題や今後に向けた知見を共有します。

このシンポジウムでは、日本近世文学会が長らく普及を行ってきた「和本リテラシー」に関わる事柄、そして古典籍から情報を得て翻刻をするという、この本学会員にとって研究の基礎ともいうべき行為に焦点を当て、デジタル時代にどう研鑽し、どう活用するのか――そして我々が得たものを未来にどう残していくのかを考えます。

我々がつきあうことになるデジタルのシステムは決して魔法ではありません。出来ること、出来ないことをきちんと理解することで、おのずから、我々がなすべきこと、そして我々の仕事の意義が見えてくるのではないでしょうか。

【登壇者・発表内容】

●佐々木孝浩
書誌学の国際的なeラーニングとワークショップを通じて
海外での和本調査を通して、和本の知識を得たいと希望する日本研究関係者が多いことを知り、欧米を中心に和本ワークショップを行ってきた。折しもオンラインでの大学授業配信が世界の流行となり、勤務先でも行うことになったので、経験を活かしたコースを公開してきた。新型コロナの流行は、その受講をしやすくしただけでなく、より高度なオンラインセミナーの開催を促進させている。このような現状を簡単に紹介するとともに、こうした傾向がもたらす未来について私見を述べてみたい。

●ラウラ・モレッティ
AI時代における和本リテラシー ―海外の研究者を育て続ける未来―
未翻刻の資料を自分で解読するのは、中野三敏氏が述べる「江戸人の眼を持つ」ことに繋がり、斬新な知見を生み出す元となる。海外の研究者にとっても、近年、この能力を身につける重要性が認識されつつある。ケンブリッジ大学で毎年開催されるサマー・スクールは、八年間にわたって二〇〇人の若手の研究者を育ててきた。本発表では、原文を速やかに読み、忠実な翻刻を作成するためのAIの役割を検討し、外国人の和本リテラシー教育にどのような形で利用すべきか、その未来像を論じる。

●海野圭介
大規模画像蓄積からデータ駆動型の研究・教育へ
国文学研究資料館の「データ駆動による課題解決型人文学の創成」は文部科学省科学技術・学術審議会の、学術研究の基本構想「ロードマップ2020」に掲載された十五計画の一つとして策定された。しかしながら、人文学・社会学分野からはわずかに1件のみの策定であり、人文学の存在感はほとんど無きにひとしい。私どもには何が求められているのか? また、何ができるのか? 立案過程で議論を重ねてきた、異分野融合、AIとの共存、国際化の推進等々の課題について、改めて本学会に示したい。

●宮川真弥
紙面と画面―「翻刻の未来」続貂―
我々が書籍や雑誌において行っている翻刻は、古典籍というモノから情報を抽出し、紙というモノにその情報を定着させる営為である。一方、組版や印刷を経ずに、それらの情報を電子テキストとして公開することもしばしば行われている。翻刻に関連する学術情報提供活動を分析した上で、紙面と電子テキストにおいて翻刻の志向するところにどのような差異があり、それぞれにとって望ましい作業のあり方はどのようなものなのかを検討し、具体的な「翻刻の未来」の提示を試みたい。

●山田和人
古典教育に学会は何ができるのか―出前授業から見えてきたもの―
新学習指導要領には「伝統的な言語文化」の事項が設けられ、既に小学校の教科書にくずし字学習が導入されている。学会が推進してきた和本リテラシーが文科省の教育指針の中に結果として盛り込まれた形である。そこで、従来実施してきた学会の出前授業を、実施形態、実施体制、授業形態、使用教材等に注目して整理し、その上で、あってほしい、あるいはあるべき出前授業のモデルを検討し、和本リテラシー教育(くずし字や和本を用いた古典教育)における教材のあり方について考えたい。

【司会】
津田眞弓
慶應義塾大学教授、専門:日本近世文学。著書:『山東京山年譜稿』(ぺりかん社、2004)ほか。

【ディスカッサント】
勝又 基
明星大学教授、元ハーバード大学客員研究員、元ブランダイス大学客員教授。 専門:日本近世文化。編書:『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』(文学通信、2019)ほか。

【プログラム】
13:30〜13:40 開会挨拶 小菅隼人(慶應義塾大学教養研究センター所長)
13:40〜13:50 佐々木孝浩:「書誌学の国際的なeラーニングとワークショップを通じて」
13:50〜14:00 ラウラ・モレッティ:「AI時代における和本リテラシー ―海外の研究者を育て続ける未来―」
14:00〜14:10 海野圭介:「大規模画像蓄積からデータ駆動型の研究・教育へ」
14:10〜14:20 宮川真弥:「紙面と画面―「翻刻の未来」続貂―」
14:20〜14:30 山田和人:「古典教育に学会は何ができるのか―出前授業から見えてきたもの―」
14:30〜14:40 休憩
14:40〜15:40 全体討議:ディスカッサント 勝又基 / 司会 津田眞弓

★議論を深めるための情報提供をお待ちしております
我々以外の多くの皆様が様々な試みをなさっていると存じます。
自薦・他薦を問わず、議題にかかわる情報をお待ちしています。
各種取り組みはもちろん、書籍なども、こちらからお教え下さい。(2021年6月5日まで受け付けます)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf6t0psED_6IsWHq2d_UJJZNePKuQr2LmRifr6PCILpA6kBLw/viewform

★YouTubeライブ配信
シンポジウムをライブ配信します。 遠距離の方は、ぜひご覧ください。

※大会オペレーションを文学通信で行います。

第2日 6月13日(日)

研究発表会 午前の部(10:30~11:50)

1 勧化の素材としての漢籍受容 ――〈倩女離魂〉を例として―― 日本学術振興会特別研究員(PD) 木村 迪子

2 『西鶴諸国はなし』巻三の六「八畳敷の蓮の葉」試論
――『 太平記』『信長公記』との関係から―― 安田女子大学 島田 大助

研究発表会 午後の部(13:30~16:20)

3 市川湫村と彰義隊の墓を詠った詩
――明治期の大沼枕山一派の詩風について―― 慶應義塾大学 合山 林太郎

4 長嘯子関連の狂歌資料 ――石水博物館蔵[狂歌書留]をめぐって―― 中部大学 岡本 聡

5 書物としての芝居
――小津桂窓書簡中の演劇記事を手がかりに―― 奈良女子大学(非) 早川 由美

6 「小牧長久手合戦図屏風」はどのように描かれたか
――典拠となった合戦記の発見―― 愛知工業大学 松浦 由起