全訳『男色大鑑』予告的あらすじ公開!★巻1の5「墨絵につらき剣菱の紋」

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井原西鶴が1687年に描き出した、詩情あふれる華麗・勇武な男色物語『男色大鑑』を現代に甦えらせるプロジェクトが始動します。
『男色大鑑』の、若衆と念者の「死をも辞さない強い絆」は、作品中、常に焦点となっている三角関係の緊張感とともに、長い間、誠の愛を渇望して止まぬ人々の心を密かに潤し続けてきました。
そんな作品群を、分かりやすい現代語と流麗なイラストによって新たに世に送り出します。

ここでは、そんな『男色大鑑』のあらすじを予告編的に紹介していきます。今回は巻一の五を紹介いたします。

※あらすじの一覧は以下で見ることができます。
https://bungaku-report.com/blog/2018/07/post-235.html

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■巻一の五

墨絵につらき剣菱の紋
丹之介を救った大右衛門、恋は幸せな結末(ハピエン)のはずだったのに...。

 長年の浪人時代を経て、ようやく奉公先を見つけた薩摩藩の若侍、島村大右衛門(だいえもん)。ある夜、蛍見物に出かける途中、文箱(ふばこ)をわざと人目につくところへ置き去る不審な男を見付け、その身を捕らえる。文箱は、岸岡龍右衛門(りゅうえもん)が自分をふった春田丹之介(たんのすけ)を陥れるために仕掛けたわなであった。大右衛門は、詮議(せんぎ)される丹之介の身の潔白を示すため、奉行所前に捕らえた龍右衛門の下男を置き去る。
 時は過ぎ、大右衛門の働きにより助けられた丹之介は、自分の身を助けてくれた恩人を探していた。そして、野原で偶然出会った二人は、いつしか恋仲となる。大右衛門は丹之介のもとへと大河を渡って通い、愛を語り合った。そんな二人の仲を引き裂く悲劇が起こる。偶然が重なり紡がれる二人の武士の運命。二人の出会いと別れは偶然なのか、それとも必然なのか。西鶴が織り成す悲しき男たちの恋愛譚(ラブストーリー)。


★佐藤智子(さとう・さとこ)東京都公立小学校教諭。

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■編集部より

2018年11月に、『男色大鑑』八巻中、前半の武家社会の衆道に取材した作品四巻までを収録した〈武士編〉を刊行し、後半の四巻を〈歌舞伎若衆編〉として、2019年6月に刊行します。

イラストに、あんどうれい、大竹直子、九州男児、こふで、紗久楽さわ、といった豪華な漫画家陣が参加。現代語訳は、若手中心の気鋭の研究者、佐藤智子、杉本紀子、染谷智幸、畑中千晶、濱口順一、浜田泰彦、早川由美、松村美奈。

このプロジェクトが気になった方は、ぜひ以下の特設サイトをご覧下さい。
文学通信

また本書の詳しい紹介はこちらです。ご予約受け付け中です!
●2018.11月刊行予定
文学通信
染谷智幸・畑中千晶編『全訳 男色大鑑〈武士編〉』
ISBN978-4-909658-03-6 C0095
四六判・並製・192頁 定価:本体1,800円(税別)
※ご予約受付中!
amazonはこちら https://www.amazon.co.jp/dp/4909658033/