菊池庸介編『歌麿『画本虫撰』『百千鳥狂歌合』『潮干のつと』』(講談社選書メチエ)
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編:菊池 庸介(キクチ ヨウスケ)
菊池庸介(きくち・ようすけ)
福岡教育大学教授。日本文学。著書に『近世実録の研究―成長と展開―』(汲古書院)。
発売日 2018年05月10日
価格 定価 : 本体1,600円(税別)
ISBN 978-4-06-258678-8
判型 四六
シリーズ 講談社選書メチエ
版元公式サイト
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000195635
【時は天明、寛政の改革前の江戸。
まだ習作に励み画力を磨いていた新進気鋭の絵師・喜多川歌麿。
一方文人たちの遊びか本気かの試みが大成功、すっかり江戸に定着していた「天明狂歌」。
そこに遊び心か商魂か、目を付けた新興版元・蔦屋重三郎。
これらを組みあわせたら――江戸中期のコラボ企画「狂歌絵本」はこうして生まれる。
本書はそのうち歌麿三部作と呼ばれる『画本虫撰』(えほんむしえらみ、1788)、『百千鳥狂歌合』(ももちどりきょうかあわせ、1789)、『潮干のつと』(しおひのつと、同)を選書サイズで翻刻。美人絵の代名詞・歌麿の描く「虫・鳥・貝」は、大胆な筆致と実験的な印刷技術により、美しくも得体の知れない迫力を生み出している。唐衣橘洲・四方赤良・朱楽菅江「狂歌三大人」を初めとする狂歌は、後半に作品内の同じ位置に活字に変え配し、語釈を加えたものを併録。そして解説では歌麿、蔦重、そしてそれらの時代背景について説明する。
才能と時代の幸せな出会い。ある一時期、その場その時にしか生まれない勢い。若いときにしか、できないことがある。歌麿が大首絵を創出、美人絵の大家に上りつめるのは、まだ少し先の話。】
【目次】
・まえがき 歌麿狂歌絵本の魅力
・凡例
・「狂歌絵本」について
狂歌絵本の定義/江戸時代の「狂歌絵本」がどのようにして起こったか/狂歌絵本いろいろ 葛飾北斎「絵本隅田川両岸一覧」 宿屋飯盛「吾妻曲狂歌文庫」 竹杖為軽「絵本見立仮譬尽」
・『画本虫撰』(カラー影印)
・『百千鳥狂歌合』(カラー影印)
・『潮干のつと』(カラー影印)
・拡大ギャラリー
・『画本虫撰』(翻字、語釈)
・『百千鳥狂歌合』(翻字、語釈)
・『潮干のつと』(翻字、語釈)
・解説―歌麿狂歌絵本の生まれた背景と三部作―
幼少期の歌麿/絵師としての出発/蔦屋重三郎とのかかわり/蔦屋重三郎の本屋創業と展開/狂歌界とのつながり/江戸での狂歌流行のはじまり/狂歌会の拡がりと「天明狂歌」/四方赤良の時代と狂歌撰集の出版/狂歌界の翳りと蔦屋の策/絵入り狂歌本・狂歌絵本の刊行/歌麿三部作の姿
・主要参考文献一覧