伝承文学研究会 第505回東京例会(2025年10月18日(土) 16:00より、國學院大學 渋谷キャンパス)

研究会情報です。
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https://densyouken.exblog.jp/30771641/
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※詳細は上記サイトをご確認ください。
日程:2025年10月18日(土) 16:00より
★開始時刻が通常と異なりますのでご注意ください。
会場:國學院大學 渋谷キャンパス
若木タワー5階・0504演習室
《研究発表》
題目:〈翁〉詞章と御伽草子 ―歌謡と喩えの摂取をめぐって―
宮嶋隆輔氏
要旨:
〈翁〉は、鎌倉時代中期に成立した猿楽系の芸能である。主に正月祭礼(修正会など)で行われ、共同体の長久と安寧を祈る「祝言」を基調とする。現在、能楽・民俗芸能・寺院儀礼という三種類の形態で、各地に伝承される。
各種〈翁〉の詞章台本は、資料的には十六世紀以降に下るものの、永仁五年(一二九七)成立の『普通唱導集』に記された〈翁〉詞章と共通の文句が含まれるなど、古くからの伝承が確認される。一方で、御伽草子の本文と共通する文句も多く見出せ、注目される。たとえば「松虫・鈴虫・轡虫」の歌謡(『浄瑠璃御前物語』『釈迦の本地』他)、宝数え(『きまん国物語』)、春秋の風流な暮らし(『釈迦の本地』他)、生まれて七日の喩え(『毘沙門』)、長寿の喩え(『唐糸草子』)などである。
〈翁〉と御伽草子が、一部共通する詞章(歌謡と喩え)を摂取している点を整理し、両者の本文形成の背景について検討する。この作業を通して、〈翁〉が少なくとも室町中期に至るまで随時に詞章を摂取・アレンジしてきたと推定されることや、御伽草子における歌謡の影響について指摘を行う。
★2025年10月4日(土)~11月30日(日)の間、國學院大學博物館にて、
企画展「中世日本の神々―物語・姿・秘説―」が開催されます。
ぜひ例会前にご観覧ください。