古代文学会9月例会(第788回)(2025年9月6日(土)午後2時~5時、Zoom)

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://kodaibungakukai.sakura.ne.jp/wp/kenkyuuhappyoukai/reikai
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※詳細は上記サイトをご確認ください。

日時:9月6日(土)午後2時~5時(例会終了後、委員会を開きます)
※Zoom開始時刻は発表開始の15分前となっています。

【参加方法】
①参加登録ページで登録してください。
https://nihon-u-ac-jp.zoom.us/meeting/register/BW00ihKfT0CuTBHliE-bKw
②登録が済むと、ミーティング参加用URLなどの情報の確認メールが届きます。
③発表資料は例会の前日にアップロードされますので、以下のGoogle DriveのURLよりダウンロードしてください。(資料の著作権は発表者に属します)
2025年9月 例会資料
④開催時間にメールに記載された参加リンクをクリックして、ご参加ください。

発表者:星 愛美 氏
題目:古代私撰史書の由縁表現--「縁(也)」を中心に
要旨:先代旧事本紀・古語拾遺・住吉大社神代記といった私撰史書類は、日本書紀の叙述を引いたうえで、後世(述作現在)の事物を挙げ、先掲の叙述と結びつけることを積極的に行う。このような箇所で「〜縁(也)」という表現がよく使用される。
 「〜縁也」は書紀にみられる定型表現で、語り手の表出とも見做されてきたが、続紀以降の五国史や略史類では使用されなくなる。一方、当該私撰史書類においては、書紀ほど表現が固定的でないもののよく使用されている。伝承の時間軸から一時的に離れ、述作現在に実在するものを伝承に由来するものとして定位する表現として、柔軟に展開される。
 古語拾遺・神代記の「〜縁(也)」は独自本文に使用されることが多い。書紀の神話、つまり公的な史伝を拠り所として、ここに自らの関心の中心であることがらを織り込んでいくために当該表現を活用したとみられる。これに対し旧事本紀では、書紀の「〜縁也」を含む文をそのまま本文に取り入れたり、既存の文に「〜縁」を挿入したりすることが多い。これは、独自伝承などを強調する態度というよりは、現前する事物の「由縁」を語ることそのものが目的化されていたためと推測される。
 なお、いずれの私撰史書も本文内に説話/注釈の階層が存在する。しかし、「〜縁(也)」を介した説話から由縁への繋がりはなめらかで、ここで明確な階層化(注釈化)が行われているとはいいがたい。由縁説明を本文と同質化することで、時間の経過・時間の幅、および伝承と現在との繋がりを、本文内に確かに記述することが可能となる。ここに各書の、史書としての編纂の眼目があったと考える。(司会:津田博幸氏)

※なお、発表資料及び要旨の著作権は発表者に帰属します。