町田市立国際版画美術館:特集展示「夢の江戸へ―美人画と歴史ロマン」(2025年9月26日(金)~12月21日(日))

展覧会情報です。
●公式サイトはこちら
https://hanga-museum.jp/exhibition/schedule/2025-615
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※詳細は上記サイトをご確認ください。
会期 9月26日(金)~12月21日(日)展示替えあり
前期 9月26日(金)~11月9日(日)
後期 11月11日(火)~12月21日(日)
観覧料 入場無料
浮世絵は江戸時代初期に誕生して以来、浮世すなわち当世を題材とし、遊郭の花魁や芝居町の歌舞伎役者といった当代のスター達を描きつづけました。ところが明治時代になると、政府による極端な欧化政策に対する反動として、江戸時代を回顧する風潮が生まれてきます。世間の感情を敏感に察知し、その需要に応じてきた浮世絵のなかにも、過ぎ去った時代を題材とする作品があらわれ始めました。
本展で紹介するのは、月岡芳年【つきおかよしとし】(1839-1892)と水野年方【みずのとしかた】(1866-1908)による美人画です。明治時代に活躍したこの二人の浮世絵師は、師弟の関係で結ばれながら多くの共通する画題に取り組み、江戸時代の女性像もそのひとつでした。しかしながら彼らが描いた江戸は、必ずしも正確な歴史理解に基づくものではありません。そこに表されたのは江戸時代を理想化した姿であり、史実にしばられない「夢の江戸」とも言える世界だったのです。
芳年と年方の没後、浮世絵は急速にその姿を消していきます。当世を題材としていたはずの浮世絵が過去を描き始めたことは、図らずも浮世絵の終焉を暗示しているようです。浮世絵最後の傑作をどうぞお楽しみください。