日本近代文学会東海支部 2024年度シンポジウム・第79回研究会(2025年3月16日(日)14時00分~17時40分、愛知淑徳大学 星が丘キャンパス 1号館2階 12A教室+オンライン)※会員外のオンライン参加要申し込み
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研究会情報です。
●公式サイトはこちら
https://nihonkindaibungakukai-tokai.blog.jp/archives/31172247.html
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※詳細は上記サイトをご確認ください。
日本近代文学会東海支部 2024年度シンポジウム・第79回研究会のご案内
梅花の候、皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、日本近代文学会東海支部では3月16日(日)14時より、2024年度シンポジウム・第79回研究会を対面/オンラインのハイブリッド形式で下記のとおり開催いたします。対面ベースの開催ですので、多くの皆様が会場まで足を運んでくださると幸いです。
なお、当日の資料やオンライン参加希望者のためのリンクは、開催の週にメールにて改めてご案内いたします。
東海支部では支部会員以外のご参加も歓迎しております。ぜひご所属先等でもご周知くださいますようお願い申し上げます。
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日本近代文学会東海支部 2024年度シンポジウム・第79回研究会
【日 時】 2025年3月16日(日)14時00分~17時40分
【会 場】 愛知淑徳大学 星が丘キャンパス 1号館2階 12A教室
※対面・オンラインによるハイブリッド開催
【特 集】 その翻訳の姿
【シンポジスト】
片岡真伊(国際日本文化研究センター)
荒河秀(名古屋大学大学院人文学研究科 博士後期課程2年)
尹芷汐(椙山女学園大学)
【ディスカッサント】
山本亮介(東洋大学)
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2024年度シンポジウム・特集趣旨
日本の近代文学は、徳冨蘆花『不如帰』の英訳 Nami-ko(1904/明治37年)の例が示すとおり、早くから日本語とは別の言語体系に移され、異国の読者たちのもとに届けられてきた。その流れは途切れることなく、より豊かさを増しながら今日に至っている。また、現代の文学作品も海外への浸透を深め、注目度を高めていることは言を俟たない。
こうした日本の近現代文学の翻訳をめぐり、まず素朴に興味を惹かれるのは、誰の、どの作品が、誰によって、どのように訳述されるのか、という点であるだろうか。もっとも、ここから引き出されるのは、原文と訳文とを対比させれば事足りるような問題のみにとどまらない。翻訳という営みが成立・実現しようとするその背景には、さまざまに交錯する文化的、歴史的、政治的等々の文脈が潜在しているためである。
本シンポジウムでは、英米語圏における三島由紀夫の『潮騒』や川端康成の『雪国』、中国語圏における東野圭吾、湊かなえらの推理小説を俎上に載せながら、近現代の日本文学の翻訳を取り巻いているもの――異国間での種々の差異、国際情勢下における日本の位置、さらには受容の動態など――に眼差しを向け、浮かび上がる諸問題について討議を深めたい。
日本の近現代文学が異国の言葉、表現によって織り直されようとするとき、その翻訳はいかなる姿をもって立ち現われてくることになるのか。こうした問いに、3名の発表者、ディスカッサント、参加者のみなさまとともに向き合い、新たな視界を拓くことをこころざす。
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タイムスケジュール
13時30分~14時00分 受付
14時00分~14時05分 開会・趣旨説明
14時05分~14時35分 研究発表1:片岡真伊
14時40分~15時10分 研究発表2:荒河秀
15時15分~15時45分 研究発表3:尹芷汐
15時45分~16時10分 休憩・オンラインでの質問受付
16時10分~17時30分 全体討議(ディスカッサント:山本亮介)
17時30分~17時40分 閉会挨拶
[司会・趣旨説明 吉田遼人(愛知学院大学)]
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研究発表要旨
片岡真伊「ミシマの英米語圏への航海と航跡 ――その始まりの一書『潮騒』英訳(1956)から拓く視界」
今年生誕百周年を迎える三島由紀夫(一九二五―七〇)は、二〇世紀半ばに最も多く翻訳された日本の作家であり、川端康成・谷崎潤一郎とともに御三家として国際的に認知され、今なお新たな翻訳が刊行され続けている。その英訳出版草創期において、三島の作品はいかなる事情により選定・翻訳され、その結果、どう受けとめられたのか。
本発表では、三島の国際的な認知の最初の一歩となった『潮騒』の米語訳(The Sound of Waves, 1956; メレディス・ウェザビー訳、クノップフ社刊)に焦点をあてる。翻訳・編集・出版過程で生じた諸問題と変容の内実、受容の具体相を明らかにし、英米語圏で立ち現れた『潮騒』像を描き出すことで、その新たな姿が移植先においていかなる帰結をもたらしたのかを探る。
三島の国際的な歩みの始まりの一書に着目することで、同時代に英訳された川端・谷崎の場合や、その後の三島作品の英訳の展開を織り交ぜつつ、『潮騒』英訳出版の特徴を振り返りたい。
荒河秀「日本文学の翻訳における序文の効果 ――インターネット読者レビューを用いた分析――」
本発表は、川端康成の『雪国』の英訳 Snow Country に対する読者レビューを分析することで、翻訳文学における序文の役割を再考することを目的としている。1956年にはじめて英訳された Snow Country には現在に至るまで、翻訳者のサイデンステッカーによる序文が記載され、英語版読者に多大なる影響を与えてきた。ジュネットが指摘する通り、序文を含むパラテクストは読者に影響を与えるものである。日本文学の英訳では多くの作品がその効果を戦略的に用いているにもかかわらず、これらの影響は分析、解明されていない。従って本発表は、プログラミング技術を応用し、形態素解析やn-gramによる構文解析を行うことで、序文が読者の作品評価、読みにどのように作用しているのかを解明することを目指す。分析対象は、"Goodreads"に投稿された読者レビューであり、これらのレビューにおける評価や言及内容をデータとして収集し、解析を行う。
尹芷汐「「清張以降の社会派」とは何か ――21世紀中国における日本推理小説の翻訳と読者レビュー」
21世紀の中国では、オンライン書店や電子書籍の一般化により、読者の読書範囲が急速に拡大しているだけではなく、読者が積極的にレビューを投稿し、意見を発信するようにもなった。そんな中、日本のミステリー小説は多様化の傾向を見せつつも、やはり「本格派」と「社会派」という二つの領域に還元して認識されることが多い。本発表は、中国の各オンライン書店及び読書サイトDoubanの「推理」カテゴリーで上位を占め、「松本清張以降の社会派」と評価されている東野圭吾や湊かなえ、葉真中顕、中山七里といった作家の作品を広く考察する。それらの作品に遍在する「社会派」らしき要素、例えば児童虐待や介護問題、孤独死などの表象は、どのように日中の言語的・社会的差異を越えて翻訳されているのか。また、読者はどのように中国の文脈と結びつけて、文学表象として受け止めているのか。翻訳と受容の過程において共有されたイメージだけではなく、新たに浮かび上がってくるテクストの可能性もあるだろうと予想する。
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ご参加にあたって
対面参加の場合、事前登録は不要です。どなたでもご参加いただけます。
オンライン参加の場合、支部会員の方にはZoomのURLおよび資料を開催週にメールでご案内いたします。会員外の方でオンライン参加をご希望の場合、シンポジウムの前々日までに下記の事務局宛にお問い合わせください。
お問い合わせ 日本近代文学会東海支部事務局 mail:kindaiiin2014@gmail.com
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■東海支部では、例会での発表者を募集しています。
研究発表を希望なさる方は幹事(kindaiiin2014@gmail.com)までご連絡下さい。