古代文学会10月例会(第789回)(2025年10月4日(土)午後2時~5時、会場:共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス 本館1317教室 ハイブリッド開催)

このエントリーをはてなブックマークに追加 Share on Tumblr

研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://kodaibungakukai.sakura.ne.jp/wp/kenkyuuhappyoukai/reikai
--------------------
※詳細は上記サイトをご確認ください。

日時:10月4日(土)午後2時~5時(例会終了後、委員会を開きます)
※Zoom開始時刻は発表開始の15分前となっています。

【対面】
会場:共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス 本館1317教室
 東京メトロ「神保町」駅下車 A8出口から徒歩2分

【Zoom参加方法】
①参加登録ページで登録してください。
https://nihon-u-ac-jp.zoom.us/meeting/register/oyW_GZKmTT626WXBuP4GmA

発表者:渡部 亮一 氏
題目:「天年」から考える『日本霊異記』
要旨:景戒『日本霊異記』下巻第三縁は、「天年有辨」という沙門辨宗が、借金を返済するため泊瀬の十一面観音菩薩に願う縁だが、「天年有辨」が何を意味するかは必ずしも明らかではない。『霊異記』において「天年○○」は、生前に決定され一生涯変えられない性質であり「宿業」とも異なる。そこで「天年」「天」の再検討から「有辨」を考えたい。
 「天年」は上位存在「天」が定めた寿命を意味する語として『荘子』など諸書にみられ、日本国でも山上憶良「沈痾自哀文」や『続日本紀』にある。しかし『霊異記』の「天年」は輪廻転生を前提とした時間の区切りであり、それを定める「天」が何者かも分からない。そこで漢訳経典類を確認すると、闍那崛多訳『仏本行集経』には釈尊が兜率天で生きた時期の記述に「天年」「天寿」などの訳語があり、菩薩が如来に至るシステムを定めた上位存在「天」があらわれる。『梵網経』が、盧遮那仏が無数の釈迦を無数の世界に派遣するという官僚体制を描いていることも、仏教的世界観と中国的な上位存在の「天」が共存しうる証左と言えなくもない。「格義仏教」期のテキスト、偽経類も合わせ広く検討したい。
(司会:山口敦史氏)
※なお、発表資料及び要旨の著作権は発表者に帰属します。