文学通信のおとなたち(就活生K)

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就活生Kさんのインターンシップ日誌3回目。最終日です。
前回の日誌は「編集者って、すごいです。」(就活生K)。

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本日、最終日です
こんにちは。文学通信の短期インターンシップに参加している就活生Kです。早いもので今日はインターン最終日。正直、もっとお邪魔していたかったという気持ちもありますが、今回は最終日にした仕事体験とインターンシップを通して見つけることのできた気持ちについてまとめてみようと思います。

わたしだけの企画書を作ってみました
まず、今日は本の企画書づくりを体験させてもらいました。自分で一から企画を考えるなんて編集志望の方はわくわくするような作業ですよね。わたしも「やるからには納得いくものをつくりたい」と気合が入っていました。
今回の企画書の設定としては、自分の専門分野である国語教育に絡めた内容にすること、そして論文をいくつか出している研究者に執筆をお願いするということです。が、企画ってそんなにすぐ出てこないです。なぜかというと、自分が名前を挙げられるほど知っている研究者がそもそも数人しかおらず、そして何をテーマにすればヒットするかという市場を全く把握していなかったためです。開始早々自分の知識量の少なさに愕然としてしまいました。静かに悔しい。ここでも編集者の皆さんの凄さを痛感します。

早速打ちひしがれながらも、何とか知り合いの大学教員の論文を参考に大枠を作り出してみました。概要は「歌詞や漫画で頻用される《当て字》のこれまでの変遷を分析し、現代でヒットしそうな当て字を辞典の形で提案する」というものです。文字表記に興味があったことと、これまで本としてまとめられることが多くなかっただろう《当て字》に焦点を当ててみたいという思いで考えてみました。読者の反応がいいかどうか図りきれないのと、果たして国語教育のジャンルなのか、という疑問もありますが、とりあえずまとまったのでよしとします。

次に文学通信の編集者にフィードバックをしてもらいました。執筆を依頼する研究者と作家について、《当て字》に焦点を当てるにあたって何を参考情報として引っ張ってくるかについて、内容構成について、作品の方向性について。一つ一つ丁寧に直してもらい、はじめはバラバラだった内容がまるで生まれ変わっていくように一本の筋になっていました。すごい。どんどん読んでみたい内容になっていきます。フィードバックの中では、一貫性のある内容にするためにどの情報をどこの部分に入れ込むかを細かく指示していただき、「情報の配置って本づくりに大きく影響するんだ」と身に沁みて理解しました。

最終的には、もし企画書を作り上げるのであれば、《当て字》という表記だけではなく、《ルビ》や《フリガナ》についての論文とそれをテーマにしている研究者や漫画家を再度調査してみる、という方向でまとまりました。さらに内容が深まりそうです。何となくで始めてみた企画書がこんなに形になるとは思わずうれしいです。愛着もすごい。

インターンシップに参加してみて
今回、3日間のインターンシップに参加させていただいて、本当に学びや発見を得ることの多い時間を過ごすことができました。自分が読んでいた本の出版社でお世話になることができるだけでも本当に有難かったのですが、なにより文学通信で働く皆さんの、大人としての振舞い方や仕事に対する姿勢を間近で見ることができたのは大きな財産だったと感じています。どら焼きやケーキを食べさせてくれる、そういう優しさももちろんあるのですが。自分たちにとって利益になるかわからない学生を、お仕事をされながらも受け入れて見守ってくれる姿は、就活で不安な自分にとって安心できるものでした。

新卒で出版業界に入るというのは狭き門かつ、入社できたとしてもその後が必ずしも楽とは限らないようです。したいお仕事を割り振ってもらえなかったり、自分の能力が追い付いてなかったり、高給取りにはなかなかなれなかったり。それでも「本を作る」という憧れで進むことのできる道は真摯で素敵だと改めて感じました。文学通信の編集長から言っていただいた「一生懸命やること、孤独にならないこと」という言葉はこれから先、自分の中に残り続けると思います。大事ですね。ここでの貴重な経験を糧に、引き続き就職活動がんばっていきたいと思います。本当に素敵な時間でした。

ちなみになのですが、文学通信はエッセイ漫画に出てきそうな雰囲気の良さとキャラクター性がある職場です。いつかゆるい絵柄の漫画で読んでみたいですね。

3日間のインターンシップを受け入れてくださった文学通信の皆さん、ここまで記事にお付き合いくださった方、本当にありがとうございました。
就活生、がんばります!