古代文学会五月例会(第746回)(2022年5月7日(土)午後2時〜5時、Zoom)※要申し込み
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日時:2022年 5月 7日(土) 午後2時より5時まで
※zoom開始時刻は発表開始の三〇分前となっています
場所:Zoom(登録後、参加用URLを含むメールがZoomより送信されます)
発表者: 服部 剣仁矢 氏
題目:『古事記』国譲りにおける天若日子と阿遅志貴高日子根神―類似と差異の力学―
要旨:国譲り条の天若日子の喪の場面では、阿遅志貴高日子根神が天若日子と「相似」であるという描写が、かえって阿遅志貴高日子根神の御名を現す(固有性を確認する)展開を導く。この阿遅志貴(鉏)高日子根神は記紀以外の上代文献にも散見され、一定の存在感を持つ。そのためか、阿遅志貴高日子根神の氏族・土地との関係や、神の性質に関する追及が早くから行われてきた。また、喪の儀礼の中で死者と似た者が現れる意味も、葬送の表現に関わって研究が重ねられている。これらの先行論は天若日子の喪の場面を理解する上で重要である。しかし一方で、大国主系譜も含めた『古事記』の文脈、特に国譲り条の文脈と天若日子の喪の話の関係ついては、研究が進んでいないように見える、喪の場面の後に続く建御雷神の派遣との関わりもほとんど明らかにされていない。しかし大国主系譜で事代主と阿遅鉏高日子根が異母兄弟として記されることから考えても、国譲りとの関係は追及すべき問題ではないか。今回の発表では、先行論を踏まえて天若日子の喪の場面の解釈を更新しつつ、国譲り文脈の中での働きを明らかにしたい。特に天若日子と阿遅志貴高日子根神が天神・国神の関係であることや、阿遅志貴高日子根神が刀剣神と目される点に着目して前後との関係を探っていく。
(司会:山崎健太氏)