教員をめざす人、教員になったばかりの人のために「コラム② 古典教育研究・古典教育実践を知るために」★井浪真吾『古典教育と古典文学研究を架橋する 国語科教員の古文教材化の手順』より期間限定全文公開

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井浪真吾『古典教育と古典文学研究を架橋する 国語科教員の古文教材化の手順』より「コラム② 古典教育研究・古典教育実践を知るために」を期間限定全文公開いたします。

前回の公開はこちら。
教員をめざす人、教員になったばかりの人のために「コラム① 文学研究の成果を知るために」

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●本書の詳細はこちらから
文学通信
井浪真吾『古典教育と古典文学研究を架橋する 国語科教員の古文教材化の手順』(文学通信)
ISBN978-4-909658-26-5 C1037
A5判・並製・344頁
定価:本体2,700円(税別)

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コラム② 
古典教育研究・古典教育実践を知るために

井浪真吾

 古典教育のこれまでの成果やこれからの展望を知るためには、全国大学国語教育学会編『国語科教育学研究の成果と展望』(明治図書、二〇〇二年)、同編『国語科教育学研究の成果と展望Ⅱ』(学芸図書、二〇一三年)が便利です。が、ともに絶版ですので、近くの図書館などで閲覧する必要があります。また、現在にも大きな影響を与えているとされる論考については、飛田多喜雄ほか監修、小和田仁ほか編『国語教育基本論文集成第17巻 国語科と古典教育論』(明治図書、一九九三年)に収録されています。

 インターネット上の検索では、やはりCiNiiが便利です。CiNiiで「古典教育」、「古典 教育」、「古典 教材」、「古典 授業」などで検索すると、論考を見つけることができます。ものによってはそのまま無料で読めるので便利です。

 J-STAGEには全国大学国語教育学会の学会誌『国語科教育』が登録されていますので、これの目次を眺めてみると、新しい発見があるかもしれません。

 また、Googleなどでそのまま「古典 教育」などで検索すると、発見があるかもしれません。

 古典に関する授業実践も右記と同様ですが、なかなか出てこないこともあります。『月刊国語教育研究』(日本国語教育学会)や『解釈』(解釈学会)などの学会誌、『教育科学国語教育』(明治図書)、『日本語学』(明治書院)、『月刊国語教育』(東京法令出版、二〇一一年休刊)などの商業誌、それぞれの古典教育や国語教育の特集号に実際に当たった方が見つけられるかもしれません。それらからは、たくさんのヒントを得られると思います。扱う教材が決まっていて、教材研究や授業のアイデアが欲しい場合は、右記に加えて前田雅之ほか編『〈新しい作品論〉へ、〈新しい教材論〉へ─文学研究と国語教育研究の交差─』(右文書院、二〇〇三年。4巻)、明治書院編、全国高等学校国語教育研究連合会協力『高等学校国語科授業実践報告集』(明治書院、二〇一四年。3巻)、早稲田久喜の会編『学びを深めるヒントシリーズ 伊勢物語』(明治書院、二〇一八年)、吉永昌弘編『学びを深めるヒントシリーズ 平家物語』(明治書院、二〇一九年)などが便利です。また、日本国語教育学会監修、高橋邦伯ほか編『シリーズ国語授業づくり 中学校 古典─言語文化に親しむ─』(東洋館出版社、二〇一八年)、古田尚行『国語の授業の作り方─はじめての授業マニュアル─』(文学通信、二〇一八年)は、授業を作る上で考えるべきポイントの押さえ方を教えてくれます。

 古典教育に関する論考や実践報告に関しては、国文学研究資料館の論文データベースのようなものがありません。それゆえ、特に実践報告に関しては、図書館などに行って、前に記した雑誌を実際に閲覧していく方が、検索に時間をかけるよりよいかもしれません。二〇〇八年以降のものを見ていくだけでも、ある程度の傾向をつかんだり、授業のヒントを得たりすることはできると思います。もちろんすぐれた実践は二〇〇八年以前にも発表されていますので、それらからも学ぶところは多くあります。少しずつさかのぼって見ていってはどうでしょうか。