情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会:第123回人文科学とコンピュータ研究会発表会(2020年6月6日(土)13:00-17:10)※要申し込み

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
http://www.jinmoncom.jp/index.php?CH123

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※申し込みは上記公式サイトをご確認ください。

主査: 鹿内菜穂
幹事: 河瀬彰宏、北﨑勇帆、後藤真、山田太造

第123回研究会は、新型コロナウイルスの影響に鑑み、学生セッションのみの縮小開催といたします。また、今回は、オンラインで実施することにいたしました。発表要領・参加要領につきましては、追ってウェブサイトで告知するとともに、発表者へはメールにてもご連絡いたします。詳細の告知は5月20日前後を予定しています。

【参加費(聴講)】
研究会登録会員 無料
学会正会員 2000円
学会会員学生 500円
学会非会員学生 1000円
非会員 3000円

 日時 2020年6月6日(土)
 ※オンライン開催になります
 発表申込締切 2020年4月15日(水)
 原稿提出締切 2020年5月12日(火)


プログラム †
2020年6月6日(土)

13:00-13:10 開会挨拶
※すべてのセッションが学生セッション(発表15分・質疑15分+入替5分)

13:30-15:10 セッション1

13:10-13:40
(01)貼り込み形式の資料に対するフォント画像を用いたテキスト検索手法の検討 - 東京大学総合図書館所蔵『捃拾帖』を対象として
○高橋大成(東京大学大学院)
・中村覚(東京大学)

 近年、深層学習技術の発展とともに様々な言語の文字認識精度が向上しており、画像内の文字列に対するテキスト検索を可能とするサービスが数多く展開されている。このような検索機能は、画像資料が多く含まれるデジタルアーカイブにおいて、資料検索の効率化という点で特に重要である。この検索タスクのうち、本研究では様々な種類の資料が貼り込まれている貼り込み形式の資料を検索対象とする。この形式の資料には、印刷された資料や崩れた毛筆手書きの資料、絵やラベルが含まれ、さまざまな字体が混在しているために文字認識が難しい。本研究では、文字認識を行わずに様々な字体に対応するフォント画像と資料画像の類似度を考えることで資料画像内の文字列に対するテキスト検索を行う手法を提案する。そして、貼り込み形式の資料に対するテキスト検索において、フォント画像を用いることの有用性を検討する。

13:45-14:15
(02)『日本語歴史コーパス』へのTEI適用に基づく諸本比較― 『万葉集』における「読添えのモ」を事例として―
○小池俊希(東京大学大学院)
・大向一輝(東京大学)
・鴻野知暁(東京大学)
・永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

 『万葉集』は,和歌が漢字のみで記された資料である.多くの写本や注釈書には,原文である漢字とその原文が表わす訓が記されるが,訓は後世に推定されたものであるため異同が生じることが多い.『万葉集』の諸本の比較は,テキストの信頼性の評価を可能とするだけでなく,『万葉集』研究史の資料としても活用できるものである.日本古典文学作品における最も代表的な電子テキストである『日本語歴史コーパス』は,2020年3月に『万葉集校本データベース』へのリンクを追加したものの,諸本の比較はいまだ困難である.本研究では,『日本語歴史コーパス』を用いて検索した『万葉集』の「読添えのモ」を事例として,写本や注釈書のテキストをTEIに準拠してマークアップすることにより,諸本比較を行う.

14:20-14:50
(03)18世紀パリ王立科学アカデミー集会の出席会員分析に向けたデータ構築と可視化
○小風綾乃(お茶の水女子大学大学院)
・大向一輝(東京大学)
・永崎研宣(人文情報学研究所)

 本稿では,18世紀ヨーロッパで最高水準の科学研究機関であったパリ王立科学アカデミーで開かれた集会に出席した会員のデータから,同機関の会員制度分析において用いた手法を報告する.会則が制定された1699年から活動が停止された1793年までの出席記録は議事録と出席簿に分散しており,いずれも手稿史料でテキストデータ化されていなかった.本稿では,それらのデータ(約23万行)を翻刻したのち,会員名簿と対照して会員を特定,SQLiteを使ってデータベースを作成した.分析では,PythonのMatplotlibライブラリによる所属状況・職階別出席状況のデータ分布などの基礎統計分析に加え,Tableauによる分野別出席状況の推移分析を行った.この一連のデータ構築は,これまで先行研究が依拠してきた同アカデミーの会則では述べられなかった職階や分野の実態について明らかにすることに大きく貢献した.

14:50-15:00 休憩
15:00-16:40 セッション2

15:00〜15:30
(04)デジタルアーカイブの設計・運用における課題:2010年代の国内の研究動向から
○大月希望(東京大学大学院)
・大向一輝(東京大学)
・佐倉統(東京大学)

 デジタルアーカイブに関する研究は数多く行われてきており、技術的な問題や個々の実践に関するもの等、様々な議論が出てきている。そこで、本研究では、2010年代日本におけるデジタルアーカイブ研究のサーベイを通じて、デジタルアーカイブの設計・運用において議論・研究対象とされてきた課題を整理する。特に、システムの制約に関する問題や、個々の対象に合ったシステムと一般化の両立といった課題について見ていく。とりわけ、東日本大震災後に震災アーカイブはどう変化してきたか、約10年経過した現在どうなっているかについて焦点を当てることで、研究動向との関連についても検討する。

15:35-16:05
(05)美術館における視覚補助システムの調査と考察 -石川県の事例から-
○西野涼子(北陸先端科学技術大学院大学)
・井出明(金沢大学)

 美術館は文化的公共施設でありながら,視覚障がい者が楽しむことに十分な配慮をしているとはいい難く,彼らが如何に芸術文化を享受できるのかという観点から考えると,その取り組みは未だ手薄である.例えば美術鑑賞の支援には専門員の解説の他,音声ガイドによる聴覚的な支援や点字の説明,さらには絵画作品を三次元立体で表現した触覚的支援を行うもの等があるが,視覚補助に関する取り組みは少ない.本稿では石川県内の文化施設の取り組みに対する調査を通し,情報システムや技術の活用による作品とロービジョンの鑑賞者との橋渡しの可能性を考えるとともに,多様な人々が楽しめる共創の場としての文化施設のありかたを探る.

16:10-16:40
(06)美術展覧会を際立たせるもの ~河鍋暁斎展の構成分析~
○原翔子(東京大学大学院)

 同一作家の同一作品でも、展示される文脈によって作品が持たされる意味は異なる。個々の展覧会を唯一無二のものにする展覧会構成には、どのような仕掛けがあるのだろうか?本研究では2019年、2017年、2015年に東京都内の異なる美術館で開催された河鍋暁斎を主題とする展覧会を対象とし、展覧会図録に記載された要素をまとめて可視化することで、章立てや展示順など展覧会構成の特徴を把握し、その差異や共通点を理解する。さらには、定量的な手法の展覧会構成への利用可能性を提示する。

16:40-16:50 休憩(CH研究会奨励賞審査最終確認)
16:50-17:10 CH研究会奨励賞受賞者発表等・閉会