八木書店古書部:活字をはみだすもの(第24回)(2024年11月30日(土)・12月14日(土)、八木書店古書部 三階催事場)※要申し込み
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●公式サイトはこちら
https://company.books-yagi.co.jp/archives/news/10601
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※詳細は上記サイトをご確認ください。
【募集人数】 各回10人程度、延べ40人の募集となります。
【講座の内容】
文芸時評の流儀 ―徳田秋聲と正宗白鳥の原稿より
講師 大木志門 先生 ◇11月30日(土) 13:00~14:00
作家や評論家が他者の作品を評価する文芸時評は、文壇でその作者や作品を同時代の文学の中に位置づける重要な役割を担ってきました。今回の講座ではともに自然主義の作家で親しい間柄でもあった徳田秋聲と正宗白鳥の昭和期の文芸時評の原稿を読み比べます。一方は生粋の小説家、一方は文芸評論も得意とした小説家ですが、その資料からどんなことが見えてくるでしょう。作家の個性や文壇状況などとの関りから検証してみたいと思います。
【講師紹介】 東海大学教授、1974年生。自然主義文学・私小説を中心に研究。関連する著書・編著に『徳田秋聲と「文学」』(鼎書房、2021)、『月日のおとなひ 徳田秋聲随筆集』(手のひらの金魚、2024)、『徳田秋聲俳句集』(龜鳴屋、2023)、『島崎藤村短篇集』(岩波文庫、2022)など。
谷崎潤一郎の「事件」後 ―佐藤春夫宛書簡を読む
講師 河野龍也 先生 ◇11月30日(土) 15:00~16:00
昭和5年8月19日、谷崎潤一郎・同夫人千代・佐藤春夫の三人が連名で文壇関係者に送った挨拶状が新聞各紙に報道され、潤一郎から春夫への「細君譲渡事件」として騒がれました。実際には、自己を活かすための芸術家らしい選択として、当事者どうし話し合いを重ねた末の決断でしたが、因循な世間の様々な穿鑿や曲解に晒され、そこに春夫が脳溢血に倒れる事態が重なって三人は苦悩します。今回は「事件」の余波が続く昭和6年4月に潤一郎から送られた春夫宛書簡をご紹介しながら、昨年佐藤春夫記念館に寄贈された多数の春夫書簡との接続についても考えていきたいと思います。
【講師紹介】 東京大学准教授、1976年生。佐藤春夫を中心に、美術と文学ジャンルの交流や作家の異文化理解に関心がある。著書に『佐藤春夫と大正日本の感性』(鼎書房、2019)、編著に『知られざる佐藤春夫の軌跡』(武蔵野書院、2022)、『佐藤春夫読本』(勉誠出版、2015)など。
内田百閒のブックワーク ―『無絃琴』を例として
講師 中澤 弥 先生 ◇12月14日(土) 13:00~14:00
内田百閒が自身の本作りに強いこだわりを持っていたことは、知られている。最初の著書『冥途』(大正11年2月、稲門堂書店)では、途中で読むのをやめて後で続きを読もうとするのは著者に失礼だとノンブル無しで刊行し、多数の乱丁本が発生したともいう。今回取り上げる『無絃琴』(昭和9年10月、中央公論社)の刊行にあたっても編集者の松下英磨に宛てて、書籍の判型から文字の組み方にいたるまで細かく指示をした書簡が残されている。内田百閒の考える理想の書物の姿を探っていこう。
【講師紹介】 多摩大学教授、1959年生。文学と美術・映画などとの交流を主な研究テーマとする。また、横光利一など租界都市上海における日本人作家の活動にも興味を持つ。
芥川龍之介の「反故草稿」を読む愉しみ―「金春会の「隅田川」」などを例として
講師 庄司達也 先生 ◇12月14日(土) 15:00~16:00
「反故草稿」は、「反故原稿」と呼ばれたり「下書き稿」などとさまざまに云われますが、一般には作品が脱稿した時点、或いは発表された時点などに役目を終えて捨てられる類いの資料でもあります。創作のプロセスで幾度も書き直しを試み、一字一句に心血を注いだ芥川龍之介は、必然として膨大な量の「反故」を生み出した文学者の一人です。今回の講座では、捨てられるはずの資料としての「反故草稿」を取り上げ、研究資料としての可能性を探りたいと考えています。
【講師紹介】 横浜市立大学教授、1961年生。芥川龍之介の〈人〉と〈文学〉を主たる研究テーマとし、出版メディアと作家、読者の関係にも関心を持つ。また、作家が聴いた音楽を蓄音機とSPレコードで再現するレコード・コンサートを企画・開催。著書に倉敷市編『薄田泣菫読本』(共編著、翰林書房、2019)、他。
【会費】無料
【会場】八木書店古書部 三階催事場
【主催】八木書店古書部 (担当八木乾二・小沼貴裕)
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-1-7 (靖国通り沿い・三省堂〔工事中〕並び)
営業時間:10:00~18:00