中森康之 金子はな編『門人から見た芭蕉』(和泉書院)

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金子はな様、佐藤勝明様、中森康之様よりいただきました。
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公式サイトはこちら。
https://www.izumipb.co.jp/book/b651204.html

価格(税込):2,970円
発行日:2024年8月20日
A5・240ページ
ISBN:9784757611023

【内容】
俳諧研究では、この数十年、「違い」の解明が大きなテーマとなっていた。芭蕉と門人についても、芭蕉を起点としてその「風」の違いが強調されたのである。確かに各門人の「俳風」は芭蕉とは違っていた。だがそれは誤解でも逸脱でもない。むしろその多様性こそが芭蕉と門人たちの豊かさであり、魅力なのである。

本書で取り上げた門人たちは、芭蕉に何かを見、惹かれ、同じ夢を見た。本書で描こうとするのは、それぞれの門人の個性と、各門人から見た主観的な芭蕉像であり、それらを通して浮かび上がってくる、芭蕉と門人が共有していたものである。それぞれの門人は一体どのような人間なのか。彼らに芭蕉はどう見えていたのか。そして彼らは共に何を目指したのか。

これまでにない視点から門人と芭蕉を描く本書は、従来の研究では見えてこなかった芭蕉と門人を浮き彫りにする。その意味で本書は、新しい芭蕉の本であると同時に、新しい門人の本でもある。

【目次】
はじめに 中森康之

序論―芭蕉と門人 中森康之
1本書が提示する新しい視点
2さまざまな違いと共有

杉風から見た芭蕉 付、曽良―等身大の革新者 佐藤勝明
≪発句抄≫ ≪略年表≫
はじめに 
1杉風から見た芭蕉―進化・深化する等身大の芭蕉 
2芭蕉流の理解
付 曽良から見た芭蕉―どこまでもなつかしい存在 

其角・嵐雪から見た芭蕉―俳諧の原点を共有した同志 稲葉有祐
≪発句抄≫ ≪略年表≫
はじめに
1江戸の俳諧師、其角・嵐雪と芭蕉 
2江戸蕉門の出発―詩人への憧憬から 
3深川芭蕉庵―行為としての俳諧・臨場感の演出
4芭蕉と其角・嵐雪の俳諧理念
おわりに
 
去来・凡兆から見た芭蕉―絶対的な師か対等の関係か 佐藤勝明
≪発句抄≫ ≪略年表≫
はじめに 
1『猿蓑』という撰集 
2去来から見た芭蕉―ひたすらついていく絶対的存在
3凡兆から見た芭蕉―自己の理想を強く主張してくる存在 

支考から見た芭蕉―思想としての俳諧の元祖、求道者、魂の救済者 中森康之
≪発句抄≫ ≪略年表≫
はじめに 
1支考と芭蕉の出会い
2芭蕉が教えたこと 
3支考が学んだこと 
4支考が見た芭蕉

惟然から見た芭蕉―貧楽の体現者、命を賭して旅した詩人 金子はな
≪発句抄≫ ≪略年表≫
はじめに 
1芭蕉との出会い 
2芭蕉の「乞食」と「貧楽」 
3 俳諧の修行と「貧楽」
4芭蕉没後の惟然―行脚の継承と芭蕉追善 
おわりに―惟然が見た芭蕉
 
許六から見た芭蕉―俳諧の革新者 砂田 歩
≪発句抄≫ ≪略年表≫
はじめに 
1俳諧の革新者としての芭蕉 
2革新の俳諧「正風体」
おわりに
 
土芳から見た芭蕉―俳諧の誠の探究者、いつも感じながらともに生きる命 中森康之
≪発句抄≫ ≪略年表≫
はじめに 
おいたち、豊かな愛情と喪失感
1芭蕉との出会いと再会―命二ツ 
2俳諧専心と芭蕉の死去 
3芭蕉の命と共に生きる 
おわりに

野坡から見た芭蕉―自分の個性を解放し、発揮させてくれた恩師 中森康之
≪発句抄≫ ≪略年表≫
はじめに 
1芭蕉入門前
2野坡、蕉風へ―覚醒
3芭蕉没後の野坡―師恩への感謝に生きる
4野坡の芭蕉流
おわりに

参考文献一覧

あとがき 金子はな