八木書店古書部:活字をはみだすもの(第23回)(6月15日(土)・29日(土)13:00~14:00・15:00〜16:00、八木書店古書部 三階催事場)※要申し込み

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講演会情報です。

●公式サイトはこちら
https://company.books-yagi.co.jp/archives/news/10158
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※詳細は上記サイトをご確認ください。

活字をはみだすもの(第23回)

【募集】
各回10人程度、延べ40人の募集となります。

【内容】
「檸檬」誕生の謎 ―梶井基次郎の直筆から再考する  講師 河野龍也 先生

◇開催 6月15日(土) 13:00~14:00
梶井基次郎の代表作「檸檬」(『青空』1925年1月)は、詩形式の原型をノート上で熟成させ、70枚ほどの中篇(「瀬山の話」)を目指して原稿用紙に書き始めたものの、完成を諦め一部だけを短篇として発表した経緯が知られています。そのプロセスは長い間、全集編者であった淀野隆三の翻刻と年代推定に依拠してきましたが、近年原資料の出現が相次ぎ、その見直しが始まっています。定説のどこが、なぜ塗り替え可能なのかを詳しく検討します。
【講師紹介】 東京大学准教授、1976年生。佐藤春夫を中心に、美術と文学ジャンルの交流や作家の異文化理解に関心がある。著書に『佐藤春夫と大正日本の感性』(鼎書房、2019)、編著に『知られざる佐藤春夫の軌跡』(武蔵野書院、2022)、『佐藤春夫読本』(勉誠出版、2015)など。


川端康成と鎌倉文庫 ―文士と出版社  講師 中澤 弥 先生

◇開催 6月15日(土) 15:00~16:00
鎌倉文士たちが終戦直前に始めた貸本屋・鎌倉文庫は、戦後出版業に乗り出す。社長に久米正雄、川端康成・大佛次郎・高見順等が重役に就任した。鎌倉文庫は、1949年の倒産までに雑誌「人間」「文藝往来」などの雑誌の他、170冊余りの書籍を刊行した。今回取り上げる川端康成の谷崎潤一郎宛書簡は、著書の出版や「人間」への寄稿についてのやりとりが記されている。出版社の一員として奮闘する川端の姿を見ていこう。
【講師紹介】 多摩大学教授、1959年生。文学と美術・映画などとの交流を主な研究テーマとする。また、横光利一など租界都市上海における日本人作家の活動にも興味を持つ。


受け継がれてゆく友誼 ―徳田秋聲と島崎藤村の書簡より  講師 大木志門 先生 ※※※※※ご好評につき満員御礼※※※※※

◇開催 6月29日(土) 13:00~14:00
戦後の文学ブームで流行作家が次々と生まれる前の文壇は、一流作家でさえ生活は楽ではなく、相互扶助的な性格が極めて強いものでした。そのような中から芽生えた文士たちの絆がわかる資料として、田村俊子を気遣う徳田秋聲の久米正雄宛葉書と、その秋聲を気遣う島崎藤村の菊池寛宛書簡を取り上げ、それらの文脈や彼らの人間関係を解説します。
【講師紹介】 東海大学教授、1974年生。自然主義文学・私小説を中心に研究。関連する著書・編著に『徳田秋聲と「文学」』(鼎書房、2021)、『月日のおとなひ 徳田秋聲随筆集』(手のひらの金魚、2024)、『島崎藤村短篇集』(岩波文庫、2022)など。


成瀬正一と第四次『新思潮』 ―「久米正雄宛書簡」に現れたその思い 講師 庄司達也 先生

◇開催 6月29日(土) 15:00~16:00
成瀬正一は、芥川龍之介、久米正雄、菊池寛、松岡譲らと共に第四次『新思潮』を刊行し、その創刊号に「骨晒し」という、誠に一途な短編を発表しました。間もなくニューヨークに留学した成瀬は、愛する『新思潮』への思いを、そして新進作家として活躍し始めて『新思潮』を疎かにしているように見える友人らに向かっての激烈な怒りの声を、彼の地からの書簡に託して伝えています。新出の「久米宛書簡」から、成瀬の思いを読み解きます。
【講師紹介】 横浜市立大学教授、1961年生。芥川龍之介の〈人〉と〈文学〉を主たる研究テーマとし、出版メディアと作家、読者の関係にも関心を持つ。また、作家が聴いた音楽を蓄音機とSPレコードで再現するレコード・コンサートを企画・開催。著書に倉敷市編『薄田泣菫読本』(共編著、翰林書房、2019)、他。

【会費】無料
【会場】八木書店古書部 三階催事場
【主催】八木書店古書部 (担当八木乾二・小沼貴裕)