アマビエやアマビコ、神社姫...全国の妖怪一冊に 江戸期からの「予言獣」 県文書館職員ら発刊 「ふく特」で確認古文書も(福井新聞、2024年1月24日)【『予言獣大図鑑』が紹介されました】
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長野栄俊編・岩間理紀・笹方政紀・峰守ひろかず著『予言獣大図鑑』(文学通信)
ISBN978-4-86766-026-3 C0020
A5判・並製・344頁+カラー口絵
定価:本体2,200円(税別)
ユルく、愛らしく、謎な獣たち! 予言獣はこんなにいた!
150点以上の資料を収めた、本邦初の予言獣大図鑑。
予言獣を再定義し、十二系統に分類。それぞれの名称・別名・収載資料名・所蔵機関・資料形態・予言獣出現日・図版・翻刻・現代語訳を収録。図書館司書・アーキビストである長野栄俊が蒐集してきた資料をもとに編んだものである。
クダン研究を牽引する〝クダニスト〟笹方政紀、小説家であり〝フォークロア・コレクター〟でもある峰守ひろかず、わが国屈指の〝予言獣ハンター〟岩間理紀も加わり、全力で予言獣を追うテキストも収載。
「四人でコツコツ蒐集した資料や事例は、独り占めするのではなく、多くの方と共有したい。そんな思いで作った本書をぜひとも楽しんでほしい。ようこそ、予言獣の世界へ!」
【予言獣の多くは、非合法の印刷物=かわら版として即席に印刷されたものであり、またはそれらを絵心のない素人が転写したものも多くある。したがって、石燕や国芳、水木の妖怪画との間には絵としての完成度に雲泥の差がある。それでも、庶民がさまざまな思いで描いたこれらの図像には、何とも言えない妙味がある。まずは、ページをパラパラめくり、ユルかったり、愛らしかったり、謎だったりする予言獣の姿形を眺めてみてほしい。】......「はじめに」より
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【編者・著者紹介】
[編者]
長野栄俊(ながの・えいしゅん)
福井県文書館職員(福井県立図書館司書を兼務)。共著に『日本奇術文化史』『近代日本奇術文化史』(東京堂出版)、『忍者学大全』(東京大学出版会)、『妖怪文化研究の最前線』『妖怪文化研究の新時代』(せりか書房)など。上掲のほか予言獣を扱った論考に「変質するアマビエ」「アマビエのかわら版を読む」などがある。
推し予言獣は「海彦」。勤務先の書庫で偶然目にして、この不気味な横顔と三本足に憑かれました。
[著者]
岩間理紀(いわま・りき)
毎日新聞記者。2013年に入社し、高知、福井、福島の各支局や東京科学環境部に所属。米国のビキニ水爆実験を巡る被ばく者問題や、東京電力福島第一原発の廃炉などを取材する一方で、妖怪の記事を執筆。主な取材に、連載「アマビエの正体を追って」、「謎の光線出す玉持ったアマビエの仲間を確認」、「『きたいの童子』ルーツは『陰陽師』か」など。
推し予言獣は「人にもあらず魚にもあらず」の備後の予言獣。なんだこのインパクト。初めて目が合った時、本当に背筋がぞくぞくしました。
笹方政紀(ささかた・まさき)
東アジア恠異学会会員。論文に「近世疫病神と妖怪:甘酒婆の全国的展開から」(『御影史学論集』37号)、「戦時に件(クダン)を語る訳:戦時流言に関する一考察」(『世間話研究』27号)、東雅夫氏との対談「クダン対談 クダン研究の最前線」(『クダン狩り-予言獣の影を追いかけて』白澤社)。他に妖怪同人誌『怪魅型』『お化け研究 上方』を編集。
推し予言獣は、長く付き合っているので「件(クダン)」を。
峰守ひろかず(みねもり・ひろかず)
小説家。2008年に『ほうかご百物語』でデビュー。著作に『少年泉鏡花の明治奇談録』『金沢古妖具屋くらがり堂』『今昔ばけもの奇譚』『ゲゲゲの鬼太郎(TVアニメ第6期ノベライズ)』など。予言獣を扱った作品に『ほうかご百物語8』、『絶対城先輩の妖怪学講座 十』(いずれもKADOKAWA)、『アマビエを探しに』(『文芸ラジオ』8号)などがある。
推し予言獣は「左立領」。中に二人くらい入っていそうなデザインが着ぐるみ怪獣愛好家としてはたまりません。
【目次】
はじめに―ようこそ、予言獣の世界へ!―(長野栄俊)
序章 「予言獣」とは何ものか?─研究史の整理と再定義─(長野栄俊)
一 「予言獣」研究
二 メディア史研究からみた予言獣
三 コロナ禍以降の研究動向
四 「予言獣」の再定義
[コラム]かわら版と予言獣●長野栄俊
第一部 予言獣資料図鑑(長野栄俊)
凡例
第一「神社姫・姫魚」系
[巨体に輝く宝珠と剣 海より来たる最古の予言獣──]
[解説] 神の姫/八幡宮の神主娘さと/神池姫/姫魚/神社姫(ヘン魚)/神社姫/姫魚/姫魚/肥前国平戸浜より上る神/姫魚/神社姫/神社姫/神社姫/神社姫/神社姫/姫魚/姫魚/姫魚/(参考)姫魚/龍宮の使/(参考)神社姫/(参考)神虵魚/奇魚/異魚/肥後国熊本珍ら敷もの/人魚/(参考)姫魚/熊本の神主山本氏の娘/大神社姫(化魚)/龍神の使(人魚)/(参考)神蛇姫/龍宮之使(異物)/女魚/肥後国熊本海中より上るめづら敷もの/(参考)神蝮媛/(参考)蛇媛/竹駒大明神之神主の娘/竹駒大明神の神主の娘/竹駒大明神の神主の娘/肥後国の神主娘
[コラム]予言獣フィギュア、いずこに? ●岩間理紀
第二「件(クダン)」系
[仍って件の如し 人面牛身の短命予言獣]
[解説] (参考)件/(参考)件/(参考)件/(参考)件/(参考)件/件獣
第三「くたべ」系
[地獄と浄土が併存する 霊峰に現れた黒い体の人面獣 ]
[解説] くたべ/クタヘ/くたべ/人獣/どだく(とたく)/クダベ(山精)/ぐだべ/くだべ/クタヘ/(くたべ)/スカ屁(すかべ)
[コラム]転写する予言獣 ●笹方政紀
第四「奇鳥」系
[悪星接近中! 伊勢神宮を照らす金色の鳥]
[解説] 奇鳥/奇鳥/金色の奇鳥/金色奇鳥
第五「双頭烏」系
[死の国熊野より霊峰白山へ ヨゲンを届ける両頭のカラス]
[解説] 双頭の烏/双頭烏/両頭白首の烏/(参考)両頭之烏/両頭の烏/熊野権現の使/両頭の烏/両頭之雁/両頭の烏/(参考)両頭烏之絵摺立御仕置/ヨゲンノトリ(御神武の烏)/両頭の鳥/(参考)両頭ノ烏/熊野大権現神霊の烏/白山両頭烏/両頭烏/両頭の烏
第六「異鳥」系
[どこから来てどこへ行くのか 群集の前に舞い降りた謎の鳥]
[解説] 万福豊年鳥/異鳥/異鳥/豊年鳥/異鳥
[コラム]謎の地名「真字郡(真重郡)」 ●長野栄俊
第七「アマビコ」系
[ビコからビエ、ヒユまで ブームを呼んだ三足の異形]
[解説] (参考)穴彦/あま彦/あま彦/あま彦/アマビコ/雨彦(あまひこ)/雨彦(あま彦)/雨彦/海彦(アマヒコ)/あま彦/(参考)「山彦」/(参考)アマビヱ/アマヒユ/天日子尊/尼彦/尼彦/尼彦/尼彦入道/尼彦入道(海神)/(参考)天彦入道/左立領/天彦大神(天彦神)/天彦/あま彦/絵尼彦/鈴厄彦/尼彦入道/(参考)三本足の猿の像・老人の面に鳥の足の付いたゑたいの分らぬ絵/(参考)人面鳥形十足のもの・猿面三足のもの/(参考)三本足の猿/(参考)面ハ人にて体ハ鳥の形にて十足あるもの・猿の三足あるもの/尼彦/尾彦/(参考)阿磨比古
[コラム]新聞記者と予言獣 ●岩間理紀
第八「山童」系
[山中に現れる三本足の獣人]
[解説] 化物/山童/(参考)あま彦(異本)/(参考)あま彦(異本)/神霊
第九「蜑人」系
[アマビコ? いいえアマビトです バリエーション豊かな姿に注目]
[解説] 海土/蟹人/人魚/人貝/海出人/人貝/海中に住む人/蜑人/海土人/蜑人/かいし人/海中にすむ人/亀女
[コラム]「ヨゲンノトリ」繁盛記 ●峰守ひろかず
第十「きたいの童子」系
[人か鬼神か 神田明神に現れた不思議な童子]
[解説] きたいの童子/(参考)妻恋稲荷大明神/(参考)産子/(参考)きたいの童子/(参考)きたいの童子/奇稀の童子
第十一「豊後国に出で候もの」系
[童か女か、はたまた文字絵か 詳細不明の謎の予言者]
[解説] 豊後国へ出申す者/豊後国へ出候もの/(参考)豊後の国にあらわれしもの/豊後国へ出申候者
第十二 その他
[解説] 形は飛龍のごとく顔は蟒蛇のごとし(恐山の予言獣)/(参考)戸隠山の霊怪/人間にもあらず魚にもあらず(備後のおじさん)/霊鳥/あやしき鬼人(海神の仕)/比叡山に怪しげな光/アリエ/アリエ/天狗
[コラム]アマビエ=変容する妖怪? ●峰守ひろかず
第二部 予言獣論
件(クダン)の予言●笹方政紀
はじめに
一 予言をしないクダン
二 予言をし始めたクダン
三 吉兆と予言のクダン
四 農村部に広がる予言
五 農村部から広がる予言
六 予言の変容
七 戦時の予言
まとめにかえて
予言から疫病退散へ
─刊行物・報道から見るアマビエの属性の変質と定着─●峰守ひろかず
はじめに
一 コロナ禍以前のアマビエ(1)─予言する幻獣「予言獣」─
二 コロナ禍以前のアマビエ(2)─神に近い人魚型妖怪─
三 コロナ禍のアマビエの流行と変質
四 流行後のアマビエの姿
五 新聞報道に見るアマビエの変質過程
おわりに
「予言獣の探し方」メモランダム
─記者のデジタル利活用の事例から─●岩間理紀
はじめに
一 予言獣探し・ケーススタディ─「海彦」と「備後の予言獣」を通して─
二 予言獣探し・実践編─デジタル利活用と近所の文書館のすすめ─
むすびに代えて 調査中間報告
繰り返す人魚の流行●笹方政紀
一 文政二年の神社姫など
二 文化二年の悪魚など
三 宝暦九年の龍魚などと宝暦七年の人魚
四 繰り返す人魚の流行
五 流行正月における予言
付表 繰り返す人魚の一覧
あとがき
参考文献
資料図版出典/掲載文献
編者・著者紹介